1 現状と課題
○全国では、性暴力被害の相談対応等を一元的に行うワンストップ支援センターが15か所設置されており、その他に17都府県において設置が予定・検討されている。
○本県では、平成25年度から被害者支援に関係する機関・団体と情報共有・意見交換を行っており、平成26年4月には関係機関・団体と性暴力被害者支援連携ネットワーク検討準備会を立ち上げ、検討を進めている。
○被害者支援には、関係する機関・団体が協働・連携して支援する連携ネットワークの構築が必要であるが、拠点病院や支援員の確保に時間を要するなど早急な対応が困難。
2 事業概要
性暴力被害者支援体制の早期構築を目指すため、県や関係機関・団体で構成する検討準備会を改組し、支援業務を担う協議会組織を立ち上げ、先ずは急性期(被害直後〜概ね6ヶ月)の被害者の方を関係機関・団体が連携して支援する。
県は、協議会組織に対して、急性期被害者支援等に要する経費を補助する。
区分 | 性暴力被害者支援連携事業補助金 |
事業主体 | 県、関係機関・団体で構成する協議会組織 |
補助率 | 10/10 |
3 事業内容
(1)急性期被害者支援
○産婦人科医療の提供 (891千円)
・急性期被害者の方への診療、緊急避妊措置、性感染症検査など産婦人科医療の提供を実施
○通報対応等 (3,453千円)
・警察、医療機関からの通報等に基づき、急性期被害者の相談を傾聴し、被害状況を把握
・被害者ニーズに応じた情報提供と急性期被害に必要な支援(医療、捜査関係、カウンセリング)をコーディネート
○連携会議 (618千円)
・被害者支援に関わる機関・団体の連携強化を図るため、急性期被害者支援の連携会議を定期的に実施
(2)啓発・支援員研修等
○啓発・研修事業 ( 556千円)
・性暴力被害の実態や被害者支援に関する公開講座などの啓発事業や支援員研修等を実施
○協議会組織の運営等 (3,441千円)
・協議会組織の運営等に要する経費(事務局職員1名分の人件費含)
4 (参考)性暴力被害者支援連携ネットワーク検討準備会での議論
・早期に被害者支援に向けた動きを可能とするためには、早急に解決すべき課題から優先的に対応することが必要
・既存の相談窓口だけでは、自分の抱えた問題の相談先が分からない被害者の方への分かりやすい窓口が必要
⇒ 大規模な機関の立ち上げには時間を要することから、先ずは既存の相談窓口等の連携をコーディネートし、支援へとつなげる仕組みづくり
5 (参考)性暴力被害の現状
性暴力は、被害を受けた方の人権と尊厳を踏みにじる極めて悪質な行為であるが、世間体を気にする、身内や知人からの被害が多いなど、声をあげられない被害者の方が多い。
・内閣府の調査によれば、性被害の経験があるとした者のうち
どこ(誰)にも相談しなかった者は 67.9%
どこ(誰)かに相談した者は 28.4%
そのうち警察に連絡・相談した者は 3.7%
・本県における性犯罪(強姦、強制わいせつ)の認知件数は29件(H25年)であるが、声をあげられない被害者の方が相当数あるものと推測