事業目的
公共事業において、県産木材利用製品の劣化等に対する点検、診断を行うことにより、安心して県産木材を利用したガードレールや転落防止柵等を活用できる体制を整備する。このことにより「公共土木のための県産木材率先活用プログラム」に掲げている県産材利用率100%を達成する。
○耐久性等に問題がある場合は安全な製品に交換する。
・コスト面等を再度検討し(必要に応じて)交換時期には他の製品に交換する。
○(仮称)木製防護柵点検診断指針を作成する。
(道路施設としての耐用年数を提示、交換の容易な製品仕様の提案等)
事業の内容
○事前調査
〔木製構造物使用箇所調査:道路建設課〕
木製構造物(転落防止柵、ガードレール等)の使用箇所リストを作成する。
○本調査(点検・診断)
〔木製構造物の劣化調査:農林総合研究所林業試験場〕
現地で経過年数毎の部材の腐朽状況を目視、触診、ピロディン針の打込み深さ、超音波等により調査する。
実大試験により設計強度を確認し、腐食具合との関係を調査する。
○木製構造物の劣化等に関する整理
〔評価、取りまとめ、指針作成:農林総合研究所林業試験場〕
構造種別、現場状況、経過年数毎に評価、とりまとめを行うとともに、交換の容易な製品の活用を提案する「(仮称)木製防護柵点検診断指針」の作成を行う。
○安全対策
〔木製構造物の点検等:各県土整備局を想定〕
指針に基づき木製構造物の腐朽について点検診断を行い、「継続使用」「同様の木製構造物へ交換」「交換の容易な製品への交換」等の判断を行う。
(補足)交換が必要な場合の対応は道路維持修繕費で行う。
要求内容
指針とりまとめ費用 C=200千円
H26時点の状況・H27実施方針
○事前調査
各総合事務所に調査を依頼し、木製構造物のリストを作成済みだが、各事務所とも台帳等が未整備のため十分なリストが作成できていない上に設置年度の把握ができていないものがある。
新たに設置されている木製構造物の把握も含め、H27もリストの更新作業を行う。
○本調査
作成したリスト(91箇所)に記載してある箇所についてはH26までに全箇所の本調査(目視、触診、ピロディン針の打込み深さ調査)を完了する見込み。現地載荷試験による設計強度の確認については作成したリスト(91箇所)に記載してある箇所のうち、5箇所をH26に調査完了する見込みである。指針作成に必要なデータについてはH26の調査で完了する見込みであるため、H27は本調査は実施しない。なお、本調査の結果は安全管理(交換等の補修)に活用することとしている。
○木製構造物の劣化等に関する整理
木材の腐朽具合は設置後の年数で一律ではないため、交換時期を容易に診断出来る方法・基準の検討が必要。
併せて、継続して診断していくための体制の検討が必要。
例えば、現在使用している転落防止柵(木製)は交換が容易ではない構造であるため、交換等補修が容易となるような、県産材を活用した新たな製品仕様を提案できないか検討。
○「(仮称)木製防護柵点検診断指針」のとりまとめ
H26までにデータの蓄積が完了するため、H27はデータの解析及び指針のとりまとめを行う。指針とりまとめに当たっては各県土整備局職員との意見交換を行いながら、進めていく予定である。
木製構造物活用における現状と背景
(1)県産木材利用の現状
本県では県産木材利用推進の観点から県土整備部所管の公共事業においても「公共土木施設のための県産木材率先活用行動プログラム」を策定し、県産木材の利用を推進してきているが、H23の利用実績はH18の2割弱(19.5%)まで減少してきている。道路事業で木製防護柵を多く使用した箇所があることから、H25の利用実績はH18の5割まで回復しているが、今後の継続使用については確証がない状況である。
○木材利用実績
平成18年度 369.5m3
→平成22年度 213.4m3(H18の57.8%)
→平成23年度 72.2m3(H18の19.5%)
→平成24年度 77.3m3(H18の20.9%)
→平成25年度 173.2m3(H18の46.9%)
(2)県産木材利用の問題点
○安全性を確保するため木材の劣化等に対して定期的に点検を実施し交換など適切に管理する必要があるが、今まで定期的な点検を実施していない上に台帳が未整備かつ設置年度さえ分からないものもある。
→転落防止柵など歩行者等の通行の安全を確保を目的とした製品が破損していた場合、人命に関わる重大な事故が発生する恐れがある。
・屋外で使用される公共土木施設は、従来品(鋼製等)に比べ耐用年数が短い上にコストが2倍となる製品もありトータルコストは非常に割高である。
・例えば転落防止柵は、交換が非常に難しい構造となっているなど、維持管理していく上で構造上が問題もある。
→交換等補修の容易な仕様の提案ができれば、木製構造物の利用が促進されると期待される。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
作成したリスト(91箇所)に記載してある箇所についてはH26までに全箇所の本調査(目視、触診、ピロディン針の打込み深さ調査)を完了する見込み。現地載荷試験による設計強度の確認については作成したリスト(91箇所)に記載してある箇所のうち、5箇所をH26に調査完了する見込みである。指針作成に必要なデータについてはH26の調査で完了する見込みである。
これまでの取組に対する評価
H26までにデータの蓄積が完了するため、H27はデータの解析及び指針のとりまとめを行う。指針とりまとめに当たっては各県土整備局職員との意見交換を行いながら、進めていく予定である。