1 事業概要
◆近年の建設業は、建設投資の減少により受注競争が激化し、厳しい経営環境にあり、技能労働者の賃金低下や社会保険未加入等の労働環境の悪化により、若年入職者の減少が続いている。
◆なかでも、技能労働者集団であり建設業を下支えしている専門工事業者(とび、鉄筋、型枠、塗装、大工、内装など)は、若年労働者の減少、若手入職者の確保や育成困難といった課題が一層顕著化。
◆これまでの厳しい価格競争により、技能を持たない若年者を現場で使用し、育成する時間と資金的余裕がない状況であり、既存の人材育成助成制度を活用した人材育成を促し、当該制度の有効性等を検証してより良い支援のあり方を検討するための支援について、平成27年度に申請を受付け、平成28年度に債務負担により助成するもの。
2 事業内容
国の人材育成助成制度である「キャリアアップ助成金」について、助成期間が最長6ヶ月と短期間であり、現場で技能労働者として活躍するのに十分な育成ができない可能性が高いことから、1年間の助成期間を確保できるよう、試行的に国助成制度と同条件(助成期間は別)での上乗せ支援を行う。
<試行的支援対象業者>
専門工事業者10社 (前年度5社)
(とび工1、型枠工1、鉄筋工1、塗装工1、内装工1)
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土木一式及び建築一式工事を行わない専門工事業者に対象を拡大
<キャリアアップ助成金制度の概要>
有期契約労働者等のキャリアアップを図り正規雇用等処遇改善を図ることを目的とした制度で、実習型訓練(Off・JT1割以上)に要した経費等を助成するもの。
・Off・JT(現場外実習) 賃金800円/h・1人
経費20万円/1人限度
1,200時間を限度
・OJT(現場実習) 実施助成700円/h・1人
680時間を限度
3 債務負担要求額
平成27年度債務負担行為 11,691千円(4,846千円)
○前提:Off・JT1割、月22日訓練実施=2,112h
< 経費積算(1人当たり)>
Off・JT 211h−68h*800=114,400円
経費助成 1人あたり200,000円を上限
OJT 1901h−680h*700=854,700円
計1,169,100円
<必要額>
1,169,100*10件=11,691,000円
※昨年度はOJT中心の利用を想定し、Off・JTの経費助成は行わないこととしていたが、利用が低迷した一因とも考えられるため、国の制度と同様に経費助成を行うこととした。
4 事業の必要性等
平成26年度の当該制度の申請受付期間は平成26年9月1日から平成27年2月27日までであるが、平成26年10月現在で当該制度活用見込みは1件と低迷している。主な低迷理由は、「当該制度を活用して人材を確保・育成したいが新規入職者を確保できない」ということである。よって、事業主の制度活用意欲はあることから、次年度も次の点を見直した上で事業を実施し、助成金制度を活用した人材確保・育成を推進する必要がある。
<見直した点>
- 対象業者をとび工等5工種の専門工事業者に限定していたが、これを全ての専門工事業者に拡大し、併せて対象数も10社に拡大し、利用しやすくする。
- Off・JTの経費助成を行い、求人の際の研修メニューの幅を広げ、求職者の拡大につなげる。