○コンクリート構造物の長寿命化対策として、コンクリートのひび割れ抑制が重要。
○コンクリートひび割れの抑制対策について、受注者だけに任せるのではなく、発注者として関わっていく。
○コンクリート構造物に係る各段階(設計→積算→生コン製造→施工→維持管理)での役割分担を明確にし、「コンクリートひび割れ抑制対策マニュアル」をH26年度中に作成する予定。
○今後、マニュアルを適用してコンクリート構造物を施工することになるが、これに従った場合でも、ひび割れの発生が皆無とはならないことが想定されるため、引き続き発生原因を調査し、マニュアルを検証していくことが必要である。
○H26年6月に品確法(公共工事の品質確保の推進に関する法律)の改正により、完成後の適切な点検や診断等を行い、将来に渡り品質を確保するよう努めることとされた。
○マニュアルの作成にあたっては、専門家から構成される検討委員会に諮っているが、委員の方から、マニュアルの作成後も追跡調査により効果検証を加える必要があるとの意見があった。
○このため、マニュアルに基づいて施工した現場について、ひび割れの発生状況の追跡調査及びマニュアルの内容の検証を行う。
コンクリートのひび割れが発生した場合、次の問題点へつながる。
(1)工事工程遅延・工事コスト増大
○工事中にひび割れが発生すると、調査・補修のために工事工程の遅延や工事コストの増大
(2)耐久性の低下・維持管理コスト増大
○ひび割れは、構造物の耐久性に悪影響を及ぼす場合が多く、点検・補修に要する維持管理コストが増
○コンクリート構造物のひび割れは、施工後瑕疵担保期間(2年間)には顕在化しないことが懸念され、今後顕在化した場合、発注者の負担で補修する必要がある。
(3)構造物の信頼性低下
○トンネルや高架橋からのコンクリート片落下事故に代表されるように、ひび割れに起因した構造物不具合や性能低下による信頼性低下
⇒これまで、コンクリートのひび割れ対策は受注者の責任としてきたが、今後は受発注者が協働してその抑制に取り組むことが喫緊の課題
(1)現地追跡調査
マニュアルに基づき施工された現場について、ひび割れの発生状況の追跡調査を行う。
(2)検討委員会の開催
追跡調査の中間報告や調査方法の相談・確認をするため、関係者による検討委員会を開催する。(1回)
(検討委員会)
鳥取大学院工学研究科名誉教授、同教授、鳥取県コンクリート診断士会、(一社)鳥取県測量設計業協会、鳥取県生コンクリート工業組合、(一社)鳥取県土木施工管理技士会、鳥取県技術士会、(公財)鳥取県建設技術センター、鳥取県県土整備部
※コンクリートに関する試験、ひび割れ診断を実施しており、そのノウハウのある(公財)鳥取県建設技術センターに委託する。
○実施期間 H24〜28
○事業内容
・検討委員会の開催(H24〜28)
・「ひび割れとその原因の事例集」(H24)
・ひび割れ対策の試験施工・データ収集及び施工状況調査(H25〜26)
・「コンクリートひび割れ抑制対策マニュアル」の作成(H26)
・マニュアルに基づく施工現場の現地追跡調査(H27)
・マニュアルの内容の検証及び修正(H28)
○全体計画の延伸理由
・当初予定していた目的、成果は、マニュアルの作成まで(H26年度完了)であったが、来年度以降、実際にマニュアルを適用して施工した現場のひび割れ発生状況の追跡調査を行い、マニュアルの検証及び更新を行う必要があると判断し、H28年度まで事業を延伸することとした。