1 事業概要
弓浜地域の重要特産品目の白ねぎで問題となっている難防除病害「ネギ黒腐菌核病」について、生産者、JA鳥取西部、米子市及び境港市などの関係機関が連携して緊急防除対策に取り組むもの。黒腐菌核病発生ほ場において土壌消毒等を緊急対策事業として実施することで、菌密度の低減と本病発生の抑制を図る。
2 事業内容
(1)対象品目(対象病害):白ねぎ(ネギ黒腐菌核病)
(2)対策及び事業費(県費)
緊急防除対策
(実施時期) | 実施内容 | 事業費
(千円) |
1 土壌消毒(収穫後、10〜11月) | 【ネギ作付が無いほ場】
発生ほ場における土壌消毒に必要な経費を助成
(土壌消毒剤80千円+被覆資材30千円+作業委託12千円)/10a×6.7ha×1/3=約2,725千円 | 2,725 |
2 生育期防除実証(栽培期間中、10〜3月) | 【ネギ作付中のほ場】
発生ほ場における新規登録薬剤(株元散布剤)の生育期防除の実証に必要な経費を助成
株元散布剤20千円/10a×4.7ha
×1/3=約314千円 | 314 |
計 | 3,039 |
(3)事業主体:農業者、生産組織、JA
(4)補助率:県1/3、市町村1/3
3 背景・経過
(1)発生状況
ア 本病は、H22年4月に境港市で県内初確認され、その後2年間は発生が確認されなかった。
イ 弓浜地域(米子市、境港市)で、H25年に再び発生を確認し、H26年は被害面積が急増するなど、弓浜地域の病原菌密度は依然高いと推察される。
【発生状況】
H25年発生ほ場面積2.2ha→H26年5.8ha→H27年3.4ha(※)
(※)H27年発生ほ場面積はH26前年より減少しているのは、発生ほ場には白ねぎを作付けしない等の技術指導をしたため。
(2)今後の対応
ア 本病害の防除対策について、今後概ね3年程度の集中した取組が必要である。
イ 今回の緊急防除対策はH27単年度実施とし、28年度以降の新たな発生ほ場の防除対策等については、園芸産地活力増進事業(事業実施主体はJA、県補助率1/3)等での対応を検討する。
4 ネギ黒腐菌核病の特徴と対策
(1)特徴
ア ネギ、ラッキョウ等のユリ科ネギ属に病原性を示し、菌核(菌糸の塊)が伝染源で地温10〜20℃で発病(発生ピークは3〜5月)する。
イ 症状は、葉全体が枯れ込み、軟白部が腐敗して黒っぽく(菌核を形成)なる。
ウ 菌核が、土壌中で4年以上生存可能で、防除が極めて難しい。
(2)具体的な発生防止策(暫定)
「菌核を増殖させないことが重要」
ア 病原菌密度を減少
(ア)発生ほ場に白ねぎを植えない
(イ)病害残渣をほ場外に持ち出す
(ウ)ほ場内に持ち込まない
(エ)発生ほ場は他作物を植える
(オ)緑肥で輪作と飛砂防止(病原菌の拡散防止)を図る など
イ 緊急防除対策
「発生ほ場で白ねぎを栽培する場合」
(ア)土壌消毒をし、緑肥栽培した後に植え付ける
(イ)栽培中の白ねぎに生育期防除、収穫後に土壌消毒・緑肥栽培をする
※土壌消毒の防除実施適期は10月〜11月
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
「黒腐菌核病防除対策確立プロジェクトチーム」(弓浜生産者代表8名、JA、米子市、境港市、県)で対応してきた。
○現場での防除対策(H25〜27年度活動実績(7/21現在))
1 防除対策会議の活動強化
・黒腐菌核病緊急対策会議等の開催(計14回)
・緊急防除対策を取りまとめ中
2 現地指導
・指導情報資料の全戸配付(3回)、研修会
・指導会等での防除技術指導(14回)
・病害発生状況の把握(4〜6月発生調査、発生ほ場マッピング、発生地域分析など)
・全体指導会、支部研修会(計4回)
3 試験研究(弓浜砂丘地分場)
・防除技術確立試験を実施(土壌消毒剤の種類・被覆有無の効果試験など)
・H28年産土壌消毒試験ほの設置(計2カ所、薬剤・土壌消毒機・マルチ被覆等の比較)など
これまでの取組に対する評価
○防除に向けた技術対策の方向づけができた。
○現場での危機意識が高まっているが、地域全体で具体的な防止に向けた動きがつくれていない。