1 事業概要
・沖合漁業の維持存続を図るため、採択要件が厳しく利用が進まない国の助成制度を補完することにより、高船齢化が著しい沖合底びき網漁船の代船建造を強力に推し進める。
・国の「もうかる漁業創設支援事業」を活用して建造された漁船を用いて行う実証操業において、船主が負担する額の一部を助成する市町村に対して、県が支援を行う。
(1)事業内容
補助事業者 |
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間接補助事業者 |
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事業実施主体 |
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補助対象経費 |
用船料(*1)相当額のうち、国庫補助を除く漁業者負担部分(用船料相当額の1/3を国が定額補助。また、運航経費(*2)の全額を国基金から助成)
※1 船のチャーター代(減価償却費、修繕費及び漁具償却費等)
※2 実証操業に必要な運転資金(船員の人件費、燃油費、資材費等)
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補助上限
(単年度) |
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2 制度の概要
●もうかる漁業創設支援事業
・地域プロジェクト協議会が策定する改革計画に基づき、高度な品質管理手法の導入を目的とする改革型漁船(*)により収益性向上に取り組む実証事業
※高鮮度・魚価向上、高付加価値化等を目指した省エネ、省人、省力化型の高性能漁船
<支援スキームの変更点(平成27年度〜)>
・用船料(減価償却費等)を固定補助(定率1/3)
・運航経費(人件費を含む)全額を国基金から助成
※運航経費を上回る水揚げは国へ返還不要
<制度の特徴>
メリット | デメリット |
◆国が実証経費を助成
・用船料(乗組員の人件費や船の減価償却費(*)を含む)が対象
※減価償却率
1年目 0.222
2年目 0.173
3年目 0.134 計0.529
(例)建造費4億円(85トン鋼船)の場合212百万円が経費
・用船操業による赤字を国と漁業者が折半
◆選択肢がメニュー化
| ◆多大な初期投資
・改革型漁船の建造には4億円程度が必要。一時的に漁業者が調達(自己資金又は借り入れ等)
◆割高な船価
・最新鋭機器を搭載する高性能船のため、標準船に比べ船価が高額
◆事業採択のハードル
・「浜の活力再生プラン」の他、沖合底びき漁業全体の「マスタープラン」に加え、漁船ごとの「改革プラン」策定等要件が厳しく事務手続きが煩雑
◆上乗せの効果が目減り
・船購入費等への県+町助成は、国の助成対象である原価償却費が圧縮され、上乗せ効果が減少
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3 施行時期
平成30年4月1日(平成30年度から3年間の債務負担行為)
4 目的・背景
・沖合底びき網漁業やべにずわいがに漁業等の沖合漁業は本県の基幹漁業であり、とりわけ沖底漁業の維持存続は地域経済に多大な影響を及ぼすことから、老朽化する沖合底びき網漁船16隻の代船建造が喫緊の課題となっている。
・16隻の沖合底びき網漁船は、いずれも船齢が20年を超え老朽化が著しく、漁船の高船齢化に拍車がかかっている。
・もうかる漁業創設支援事業」は、「改革型漁船(省エネ、省人等)」にする必要がある他、「建造費の初期投 資が大きい」、「事業採択手続きが煩雑」等の理由によ り利用が進まない状況。
<参考>
本県では、国の「担い手代船取得支援リース事業」や「もうかる漁業創設支援事業」を活用して、沖合底びき網漁船27隻のうち11隻を代船建造
〔代船建造の内訳〕※沖合底びき網漁船 全27隻
(1)担い手代船取得支援リース事業 8隻
(2)もうかる漁業創設支援事業 3隻 /計11隻
<関係者からの聞き取り>
・船齢が古く代船建造したいが手持ちの自己資金がない。「リース事業」と違い、イニシャルコストが多大な「もうかる漁業」は活用しづらい。(漁業者)
・後継者の目途が立たない。沖底経営は自分の代で終わり
・現状の収益構造を改善したいが、新規に建造する余力はない。リシップには興味がある。(漁業者)
・リシップは診断に費用がかかる上、リシップそのものの投資効果が不明。懐疑的にならざるを得ない。(漁業者)
・実証期間中は用船料でなんとか賄える。本当に苦しいのは4年目以降。それを踏まえても県の提案は有り難い。(漁協)
・燃油高、人件費等圧迫要因が強い。4年目から黒字に転換できる償還経営シミュレーションが融資の鍵となる。(系統金融)
・1億円強の国庫補助が得られる上、県・町の助成も合わさり建造費実質2億円強も視野に入り、建造が現実的なものとなる。(信用保証協会)
所用見込額 60,000千円(20,000千円×3か年)
・積算根拠:「もうかる漁業創設支援事業」を活用して建造された計3隻の実証操業実績を元に算出
・リース事業との補助金比較資料
〔担い手代船取得支援リース事業の変遷〕
H14〜H16 国:22.8%、県: 5.7%、市町:5.7%、漁協(漁業者):65.8%
H17〜H22 国: 9.0%、県: 5.7%、市町:5.7%、漁協(漁業者):79.6%
H23〜H24 国: 9.0%、県:16.7%、市町:8.4%、漁協(漁業者):65.8%
※国の補助率ダウン分を県・市町で補う本県独自の制度