1 調整要求
細事業「技能労働者の就労環境改善事業」の内、「賃金水準等の詳細調査」について、今年度委託実施した調査で実際に要した経費に基づき積算し、最低限必要と考えられる工事件数を調査できるだけの予算措置が必要である。
2 調整要求理由
建設業界の担い手確保・育成は、将来の社会資本の品質確保に大きく影響する喫緊の課題であり、この課題解決に向けて平成26年6月4日に「品確法(公共工事の品質の確保に関する法律)、入契法(公共工事の入札及び適正化の促進に関する法律)及び建設業法」が改正されたところである。この改正により、建設業者は担い手の確保・育成の責務を負うこととなったが、その責務を果たせる環境整備を行政としても推進していく必要がある。
しかしながら、適切な賃金水準の確保及び社会保険等への加入の徹底等就労環境改善に向けて公共工事設計労務単価を19.5%引上げたが、注文生産という建設業の性質上、契約内容は注文者に著しく有利に、下請業者には不利になる傾向があり、引上げの恩恵は元請業者に留まり、下請業者へは十分に反映されていない。
専門工事業団体からは、より多くの調査を実施して実態把握に努め、下請契約の適正化を図ることを強く要請されている。 |
多くの建設工事は、元請業者と専門工事業や現場作業を担う下請業者によって成り立っており、下請業者が疲弊し消滅すれば元請業者すら存在し得ないことは誰もが承知していながら、それぞれが今抱える経営課題等に阻まれて、全体を見通した対応ができていないのが現状である。
この現状を打開するためには、できる限り多くの下請契約の締結状況を確認し、この契約の当事者である元請及び下請から直接話を聞いて、ミクロの経営判断やこれまでの商慣習によって契約金額を決定していては建設業に未来がないことを説明し、理解を得る必要がある。しかしながら、新規事業につき、実際にどの程度の手間(経費)が必要となるのか十分に把握できない中で積算した平成26年度予算額と同額程度しか次年度予算が措置されなければ、適正な下請契約の確保に向けてより多くの調査実施を求める専門工事団体等の期待に応えることはできない。
<補足>
当該調査の目的は、下請業者の就労環境を改善し、下請業者が自立的に若手入職者を確保・育成できるようにすることであり、調査件数に対する処分件数の割合など目に見える指標でもって当該調査の有効性を評価するものではない。
3 積算根拠の見直し内容
昨年度予算要求時は、新規事業につき、どの程度の手間(経費)が必要となるのか不明であった。
よって、調査実施に必要な手間を記録することを契約条件とし、9月に当該記録に基づく契約の見直しを行った。
この結果、1工事内の比較項目1つ当たりの手間は契約時の1/3で済むが、1工事内の比較項目数が想定よりも大幅に増加し、1工事当たりの必要経費は契約時よりも大幅増となった。このため、平成26年度調査は想定件数120件の約6割しか調査できない見込み。
| H26 | H27 | 差引 |
ア 想定工事件数 | 120件 | 150件
・専門工事120件
・土木一般30件 | 30件増加 |
イ 1工事当たりの想定工種数 | 2工種 | 専門工事:7工種
土木一般26工種 | 専門工事:5工種増加
土木一般24工種増加 |
ウ 1工事当たりの経費(税込) | 36,810円 | 専門工事: 37,485円
土木一般:139,230円 | 専門工事: 675円
土木一般: 102,420円 |
エ 委託料 | 4,417,200円 | 8,354,920円
・専門工事4,498,804円
・土木一般3,856,118円 | 3,937,720円 |
*H26数値は契約ベース
*当該調査は、下請工事について、契約内訳ベースで県設計図書と比較分析するもの。イの「工種数」とは、この内訳項目数のこと。
4 調査対象工事件数
調査対象とする下請工事は、専ら下請として活動する「専門工事(とび、型枠、鉄筋、塗装、内装)」と、これら以外の「土木一般工事」とに分けて整理。
<専門工事>下請報告のあった該当下請工事全てを調査。
今年度調査実績を基準として120件を想定。
<土木一般>全数の5%程度を調査。
25年度の下請報告から30件程度を想定。
*下請工事の大半が土木一般工事であり、ある程度の件数を調査して専門工事以外においても下請契約の適否を確認・指導する必要がある。
3 調整要求
調整要求額 4,213千円
・土木一般工事
26工種×単価4,959×30件×1.08=4,177,461
・特定の専門工事
7工種×単価4,959×1件×1.08=37,490