1 事業概要
平成27年のアユ漁は、3河川(千代川、天神川、日野川)とも天然遡上アユが極端に少なく極めて不漁である。
日野川の天然アユの遡上数は、平成15年以降では最も少なく、平成25年の100分の1以下の遡上数であった(H25年:388万尾、H27年:3.6万尾)。
河川のアユ資源量は海洋生活期(11月〜4月)に大きく変動することから、本県における海洋生活期でのアユの動向調査を行い、資源増殖策等を検討する。
<日野川のアユ資源状況> 万尾
区分 | 人工種苗放流数 | 天然遡上数 |
平成25年度 | 125.0 | 388.0 |
平成27年度 | 145.0 | 3.6 |
2 事業内容
アユは河川の下流域で10〜11月に産卵し、生まれた仔魚は直ぐに海へ下り、春に再び川を遡上する生活を送っている。今年、天然アユの遡上が少ない原因はこの海洋生活期にあると考えられることから、本県の海域におけるアユ仔稚魚の資源変動要因を明らかにする。
- アユ仔魚との競合生物調査(カタクチイワシ等の資源量把握)
- 餌料調査(プランクトンの量の把握)
- 水温測定(海水温の把握)
- 次年度のアユ資源量予測
【所要経費】
委 託 料:930千円
委託内容:海洋でアユと競合する生物採取、プランクトン採取等
委 託 先:鳥取県漁業協同組合
3 背景・経緯
・アユ不漁の原因として天然アユの減少、冷水病など疾病による被害、カワウの食害、餌となる付着藻類の減少などがある。
・各漁協は天然アユの資源回復のため、産卵場の造成、産卵保護のための禁漁期間の延長、冷水病対策として天然アユを親とした冷水病に強い種苗の放流、カワウ対策として追い払いや駆除などを行っているところ。
・これら努力にもかかわらず、H27年はこれまでにないアユの不漁が発生し、漁協から原因究明と対策が求められている。
4 効果
(1)アユの海洋での減耗要因の解明(カタクチイワシ発生量や水温変動などとの関係解明)
【対策】
<短期>
遡上数量の予測に基づく各漁協による放流数・時期の調整
<長期>
水温や餌等の環境変動に対応した禁漁期等の柔軟な対応
参考(アユの生活史)
アユは川で成長し、10〜11月に産卵のため河川の下流域へ下り産卵します。
生まれた仔魚は直ぐに海へ下って成長し、翌年の春に川を遡上します。
アユの寿命は1年です。