1 事業の概要
化石燃料消費社会から再エネ由来の水素による循環型社会への転換に向けて、系統連系の空き容量が無いために送電出来ない電力を有効活用する再エネ由来CO2フリー水素の製造を実現するため、パイロットプラントの検討を行う。
2 取組分野
企業局が営む電気事業はエネルギー供給における発電分野を担っているため、水素サプライチェーンにおいて取り組む分野としては、製造分野と利用分野を想定している。
(1)製造分野における取組
管理運営している水力発電所で、リニューアルやリパワリングにより同量の水資源を利用しつつ発電量を増やすことが可能であるが、系統連系の容量に空きが無いために送電出来ない場合がある。この送電出来ない電力を有効活用した再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素の製造を検討する。
また、将来的には、県内で小水力発電所が設置可能ではあるが系統連系出来ない地域における水素製造も視野に入れて検討を進める。
(2)利用分野における取組
水素を直接燃焼することで発電を行う水素発電により、県内工業団地等の電力消費地において分散型電源としての発電を検討する。
3 取組の方向性
現状ではエネルギー利用用途の水電解式水素製造装置の市場はまだ形成さてれおらず、各装置も研究・実証段階のため製品化されていない。
このような段階である今だからこそ、先導的取組により新たなシーズ創造に向けた取組が必要となっている。その実現に向けた取組としては、研究段階の各種装置を実フィールドでパイロットプラントとして設置し検証を行うことで、ノウハウの蓄積と人材育成を図り、引いては企業誘致による新たな雇用の創出やエネルギーの地産地消を進めエネルギー自給率の向上を図ることで、温室効果ガス削減に繋がる水素社会の実現に向けた取組を行う。
具体的には、製造分野では、地域資源利用の効率アップによる既設発電所の出力アップ・出力抑制のために発電能力を有効に活かしきれていない既存設備の有効活用・系統連系が出来ない地域の資源を有効活用等による水素製造を検討する。また、利用分野では、水素発電による電力の地産地消の推進を検討する。
4 事業展開
リニューアルを計画している舂米発電所で再エネ由来のCO2フリー水素の製造を検討する。
・産学官による検討委員会を設置し、全体スキームの醸成とパートナー企業の選定を行う。
・また、製造プラントの設計の前に、太陽光発電所の出力抑制時における発電可能電力を利用したパイロットプラントで検証を行う。
5 平成28年度実施内容
平成29年度末までにパイロットプラントの設計を行うことを目標として、平成28年度は以下の内容を実施する。
・検討委員会での全体スキームの醸成
・舂米発電所の出力アップ詳細検討
・連系可能容量を超える発電可能電力量による水素製造の採算性検討
【 要求額 】 5,681千円