事業概要
県内での不正軽油の製造及び流通の阻止を図ることにより、悪質な脱税行為のみならず、正常な商取引を阻害する不正軽油を撲滅するための取組を行う一環として、調査により採取した軽油に灯油やA重油の混和が疑われるものについて、外部の公的機関に分析を依頼するもの。
【主な分析依頼内容】
○地方税法上の軽油規格への適合性
○灯油及びA重油の含有率
○バイオディーゼル燃料への他油種の含有率
○添加剤(クマリン)の含有率
○硫黄濃度 等
これまで石油商業組合に交付していた定額の報償金(県税納税奨励費)を平成23年度から改め、同団体の不正軽油の流通防止対策等に資する活動に対して補助を行っており、平成28年度も補助を行うもの。(補助率8/10)440千円
事業の背景
○不正軽油による脱税は、近年の税法改正による罰則強化や各自治体の監視体制の強化により、やや沈静化の傾向を見せる一方で、不正業者の脱税手口が以前にも増して巧妙化。(例:硫酸ピッチの発生を伴わない添加剤除去等。)
○地域経済の落ち込み、円安による燃油価格の上昇傾向により、運送業者や建設業者等による燃料コスト削減のための不正行為の増加の懸念。(例:自社事業場内における、車両への灯油やA重油の直接給油による車両燃料使用等)
○環境に配慮したバイオ燃料(BDF)の利用については、今後拡大することが想定されるため、バイオ燃料に軽油を混和した場合など軽油引取税の適正な課税について、一層の調査や指導が必要。
事業の効果
不正軽油と疑われるものについては、公的分析機関でのより詳細な分析結果を基に、脱税行為者に対しては軽油引取税の賦課処分のほか、告発を視野にいれた厳格な対応を行うことにより、正常な商取引を阻害する不正軽油の県内への流入及び不正軽油の車両燃料使用を阻止し、税収増を図る。
事業の見通し
(1)平成27年度実績と今後の見込
○現時点では、路上抜取調査での不正事案は発生していない。
○今後、路上抜取調査に加え、建設業者や大口需要家への調査も予定しており、不正事案の発生が見込まれる。
◎また、27年10月から県税事務所において簡易比重検査を実施している。このため、嫌疑試料の検出が増え、分析機関への委託件数が増加することが見込まれる。
(2)平成28年度の見込
引き続き平成27年度と同様の調査を行う予定。
主な事業内容及び所要経費
区分 | 要求 | 内容 | 摘要 |
その他 | 614 | 委託料 | 軽油詳細分析委託料
(定性分析等の結果、不正軽油の疑いが高いものについて、専門機関に分析を委託する。) |
負担金補助
及び交付金 | 440 | 補助金 | |
標準事務費 | 294 | | |
計 | 1,348 | | |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
○これまでの取組状況
@平成27年度10月中旬までの採油本数
・路上抜取調査 30本(11月にも実施予定)
・販売業者・需要家等調査 44本
A業界への周知・・・チラシ及びポスター配布9月
(10月の不正軽油撲滅強化月間に向けて)
これまでの取組に対する評価
不正軽油対策協議会の会員となっている各業界団体や国、県の関係課の地道な啓発活動により不正軽油の防止意識は浸透しつつある。現に、昨年度及び今年度の路上抜取調査では鳥取ナンバーの車両について、不正嫌疑のあるものは確認されていない。
しかし、需要家の中には隠れて混和をしている者もあり、平成21年度は通告処分を行うまでに至った。また不正軽油販売に関する情報は毎年それなりに寄せられている。
全国的な状況として、従来は主に販売者が不正を働いていたが、近年は需要家(購買者側)も不正に手を染め、「不正のすそ野」が広がっている状況にあり、本県においても、今後一層の不正軽油撲滅の取り組みが必要である。
<今後の取組み〉
「不正軽油ホットライン」の活用、協議会会員相互の情報交換、路上抜取及び需要家等の地道な調査で、不正に対して監視の網を広げていく。