○熊本地震においても、昭和56年6月以前の旧耐震基準で建築された建物の多くに甚大な被害が発生しており、旧耐震基準の住宅について耐震化を進めることが急務であるが、耐震化率目標達成にはほど遠い状況。
・東日本大震災直後は住宅耐震改修が年20件前後まで増えたが、近年は年10件以下まで低下。
・高齢者世帯は、家を引き継ぐ者もおらず改修に消極的
・住生活総合調査によると「耐震改修にかけられる自己負担は50万円以下」と半数以上が回答
<補助実績からの分析>
・平成23年度に安全性の高低で補助率を分けた(43%又は33%)が、実体的には高い補助率を適用した例がほとんど。
・規模の大きな住宅の場合、低い補助率では所有者負担が大きくなる
○平成28年4月に鳥取県耐震改修促進計画を改定し、平成32年度末の旧耐震基準の住宅の耐震化率の目標を約89%と定めているが、現時点で耐震性が不足する住宅が47千戸あると推測されている。(H28年3月時点耐震化率約78%)
・建替を考慮しても、今後5年間で4千戸(800戸/年)の改修が必要
○現在の枠組でも7割が上限100万円の対象であり、補助率を拡充しても県負担が激増することはない。
・平成23年度の見直しの際は、全国でも手厚い補助内容であったが、現在では17府県が補助率2/3以上(うち5県は補助上限までは100%)。また、補助上限100万円以上も7県ある。
○被災を受けた場合、被災者再建支援制度により、半壊以上の住宅へは300万円までの支援を受けられるが、あらかじめ耐震化対策を強化する方が県負担を低減できる可能性が高い
・耐震改修をしなければ人命への被害や倒壊による周辺被害などが副次的に発生し、支援制度以上に県費負担が生じる可能性が高い
地震被害の未然防止に向けて、建物所有者の経費負担をより一層低減することにより旧耐震基準の住宅の耐震化を加速する。
(1)低コスト耐震改修工法の普及を促進し、耐震改修に係るコスト低減を図る →既存予算対応
(2)耐震改修に係る自己負担額を50万円程度に押さえられるような補助制度見直し →今回補正要求
旧耐震基準の住宅の耐震改修補助率の拡充(4,500千円)
補助率を2/3に拡充し、低コスト耐震改修工法の普及との相乗効果で所有者負担を軽減させることで、耐震化を加速させる。
【一戸建て住宅の耐震改修、建替え】
拡充後 | 現行 |
補助率:2/3
(国1/3、県1/6、市町村1/6)
限度額:100万円
(国50,県25,市町村25万円)
※H30年度末までの3年間限定 | 補助率:33%(工事前のIw値>0.3)
43%(工事前のIw値≦0.3)
(国:県:市町村=2:1:1)
限度額:100万円
(国50,県25,市町村25万円) |
※耐震診断、改修設計は現行どおり
※Iw・・・建物の耐震安全性能に係る評点値、Iw=1.0以上で一応倒壊しないとされている。