1 目的
究極のクリーンエネルギーである水素エネルギーは、トヨタが世界初の量産型FCV(燃料電池自動車)の販売開始やこの秋、東京モーターショーでホンダが世界初の5人乗り量産型FCVを発表するなど実用化が目前に迫っている。こうした状況下、次世代自動車の一翼を担うFCVの普及促進と水素インフラ整備などを念頭に、「鳥取県水素エネルギー推進ビジョン」を策定し、将来到来する「水素社会」への道筋を示したところ。
シンボリックな取り組みとして、FCV導入と再エネ由来の水素ステーション、スマートハウスを整備し、三位一体の世界初の実証(環境教育)拠点を整備することで、日本海沿岸(条件不利地域)における「水素社会」のトップランナーを目指す。
(※企業局要求:再エネ由来CO2フリー水素製造へ向けたパイロットプラント事業)
2 概要
鳥取県水素エネルギー実証拠点整備事業
官民連携により、FCV(燃料電池自動車)及びSHS(スマート水素ステーション)、水素利活用のスマートハウスを三位一体型で整備し、寒冷地における実証拠点及び環境教育拠点として整備する。
併せて、実証拠点を管理・運営する専門員を設置する。
※三位一体型は世界初。
※SHS整備は、中国地方初。
【事業主体】
水素エネルギー推進コンソーシアム
【参画団体】
鳥取ガス(代表企業)、本田技研工業、積水ハウス、鳥取県
【総事業費】
約3億円(SHS・スマートハウス設計・整備)
<財源>環境省:1億2千万円、鳥取県:5.6千万円、民間:1億2千万円
※FCV導入経費は、次世代自動車普及促進事業で要求
【県負担金】
56,000千円(SHS、スマートハウス化、教育拠点化のへ経費)
※子どもに対する教育コンテンツ等については、エネパ推進事業で整備(200万)
水素エネルギー推進フォーラム
実証拠点整備の開所式と併せて、燃料電池やFCVの開発状況、暮らしの中での水素利活用技術などの紹介や県民が水素を体感できるFCV試乗会や家庭での水素発生装置などの展示により、県内外へ本県の取組を情報発信するとともに、「水素社会」の近未来を体感できる場を創出することにより県民等への理解を深める。
【講演会】
大学、自動車メーカー、水素インフラ供給事業者などの講演・パネルディスカッション
【展示・試乗会等】
FCV試乗会、FCフォークリフトなど水素関連技術の展示、省エネ・創エネを親子で学ぶイベントを開催。
【総事業費】
3,015千円 (謝金、特別旅費、イベント委託費など)
(内)その他財源 2,000千円
3 鳥取県水素エネルギー推進ビジョン(最終案)
【目標年】
2030年
【数値目標】
■水素ST整備基数 10基(うち再エネ由来5基)
■FCV普及台数 4,400台(うちバス10台)
■家庭用エネファーム普及台数 10,000台
【取組方針】
FCV導入加速に向けた環境整備と家庭・事業所の省エネ・再エネ化の推進
【施策展開】
<フェーズ1>
水素エネルギー実証(環境教育)拠点整備
<フェーズ2>
各家庭への補助制度創設によるスマートハウス化
<フェーズ3>
関西から山陰への玄関口として、県東部へ商用STを整備
<フェーズ4>
広域連携により水素サプライチェーンを形成し、オフサイトSTを整備
4 背景
【ビジョン検討会委員の提案・意見】
・水素社会への実現には長い年月がかかるが、県民への水素の特徴や再エネへの寄与など利点について、体感できるプロジェクトが必要。(大聖座長)
・まずは、当面の水素社会を県民にPRや学習できる環境整備に取り組むことが重要(児島委員)
・我慢でなく、快適で便利な省エネ住宅づくりなど水素利活用による豊かな暮らしを県民へ提示すべき。(石田委員)
・水素の特徴や特性を小学生から大人まで学べるコンテンツが環境教育には必要。(川端委員)
【エネルギー基本計画(水素部分概要)】2014年4月閣議決定
「水素社会」の実現に向けた取組の加速
(1)定置用燃料電池(エネファーム等)の普及・拡大
(2)FCVの導入加速に向けた環境整備
(3)水素の利活用に向けた水素発電等の新たな技術の実現
(4)安定供給に向けた製造、貯蔵・輸送技術の開発の推進
(5)「水素社会」の実現に向けたロードマップの策定
【水素インフラ】
2014年12月に市場投入されたFCVの普及に向け、2015年度までに4大都市圏を中心に100箇所程度の水素ステーションの整備を目指すこととしている。(経産省)
<水素ステーションの整備状況> ※H27.8末時点
実証水素ステーション:18箇所
商用水素ステーション:45箇所 ⇒ 100箇所(H27年度末)