1 事業の概要
近年、地球温暖化等の影響もあり、豪雨の発生頻度が高まる等、本県でも災害の発生しやすい状況となっている。
災害復旧事業の迅速な実施のためには、職員の確かな技術力と、ノウハウの蓄積が必要となる。
しかしながら、各年の災害発生状況により事業量が大きく異なることから、必要な技術やノウハウの若手職員への伝承が十分にできていない。
2 事業内容
(1)災害復旧事業迅速化事業 C=4,801(112)千円
ア 既往災害・復旧資料の一元管理システムの構築 C=983(0)千円
本県ではこれまで、災害査定から復旧完了までの資料は各県土整備事務所等が保管しており、既往災害・復旧資料の統一的な管理が行われておらず、工事完了後資料が散逸してしまい、近傍で同様な災害が発生した場合にも、改めて設計条件等から検討する必要があるなど、業務の重複が生じると共に、適正な維持管理にも支障をきたしている。
そこで、各局がばらばらに保管していた資料をデータ化し、一元管理を行う。
なお、システムは新たに構築するのではなく、既に整備済みのタブレット端末情報共有システムに機能追加することで対応が可能であり、既往システムの有効活用が図られる。また、タブレット端末で閲覧可能なため、災害調査時には現場で近傍の被災履歴等が確認できるため、速やかな復旧計画の作成が可能となる。
災害査定は災害収束後から2カ月以内に受検することとなっているため、過去の検討事例を参考にすることで、迅速な工法決定を行うことが重要である。
イ データの集積 C=1,780(0)千円
既往災害・復旧にかかる紙資料のデータ化を印刷会社等に委託する。このデータは、上記アで構築する一元管理システムに反映させる。
ウ 各種災害申請書類作成の効率化 C=360(0)千円
災害復旧事業では、災害の発生、査定、工事、設計変更、再調査、成功認定等の各段階において国への申請・協議を要しており、要綱等で定められた様式での申請書や調書の作成が必要となる。その申請・協議資料に当たっては、作業のほとんどを職員の地道な手作業により行っている状況で、業務量の増加の一因となっている。
そこで、予め各種災害申請書類の出力が可能となるシステムを構築(具体的にはエクセルファイルに転記機能マクロを構築)し、各種指定の災害申請書類作成手間の効率化を図る。
エ 災害採択要件説明資料作成の効率化 C=1,678(0)千円
災害復旧事業として採択されるには、災害収束後速やかに被害状況調査を行い、国土交通省に10日以内に被害報告を行う必要がある。またその被害発生箇所が採択要件を満足している必要がある。このため、採択要件の一つである降雨量について、等雨量線図などを速やかに作成し、被害状況調査を行う各県土整備事務所等に送付するが、危機管理局が整備した災害情報システムを活用することで、等雨量線図などの作成手間が効率化でき、速やかな災害状況調査が可能となる。
(2)査定受検実務研修会 C=49(146)千円(資料印刷代)
公共土木施設災害復旧事業国庫負担法に基づく災害復旧事業の事業費は、申請者(件・市町村)と国土交通省の災害査定官及び財務省の立会官の3者合意によって迅速に事業費が決定されることから、申請者として的確な説明を行うことが非常に重要になる。
そこで、過去の災害査定における反省点を踏まえて模擬的に災害査定を行い、災害査定時の説明力を付ける。
なお、本研修会には市町村の担当職員も参加していただくこととする。
(3)災害復旧事例実地研修 C=385(1,154)(研修旅費)
他県で実施された災害復旧事業のうち、特徴的な事例について実際に現地に赴き、申請や復旧に際して工夫した点等を学ぶ。
被害が激甚で原型復旧のみで効果が限定される場合等、災害後、直ちに短期間で改良復旧計画を策定する必要がある。近年鳥取県では改良復旧事例が少なく、技術の伝承が困難な状況にあるため、他県の事例を学び、改良復旧の是非等を判断できる人材を育成する必要がある。
※研修先(案)
宮城県(東北地方太平洋沖地震関係)
奈良県、和歌山県(平成23年豪雨災害関係)
島根県・山口県(平成25年豪雨関係)
広島県(平成26年豪雨関係)
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
(災害復旧事業迅速化事業)
今年度、資料作成をシステム化し迅速な災害査定受験を可能にしている先進県を視察し、鳥取県での災害発生状況や体制等に見合ったシステムの検討を行った。
(査定受験実務研修会)
1月に研修会を実施するよう現在調整中です。
(災害復旧事例実地研修)
11月に平成23年紀伊半島豪雨により大規模な災害が発生した和歌山県において実施予定です。
これまでの取組に対する評価
団塊の世代の大量退職や、若手職員の技術力低下の懸念、平成23年災害時の業務量の増大への対応などから、今年度新たに事業新設し、積極的に検討を行い、災害復旧技術の向上に取り組んでいます。