事業名:
ナシの気候変動に対する適応技術の確立
(この事業に対するご質問・ご意見はこちらにお寄せください)
農林水産部 園芸試験場 果樹研究室
| |
事業費(A) |
人件費(B) |
トータルコスト (A+B) |
正職員 |
非常勤職員 |
臨時的任用職員 |
| 28年度当初予算要求額 |
2,258千円 |
20,275千円 |
22,533千円 |
2.6人 |
3.7人 |
0.0人 |
| 27年度6月補正後予算額 |
2,258千円 |
20,189千円 |
22,447千円 |
2.6人 |
3.7人 |
0.0人 |
事業費
要求額:2,258千円 (前年度予算額 2,258千円) 財源:単県
事業内容
概略説明
近年、気候変動が激しくなり、気象条件が原因と考えられる品質や収量の低下が多く認められるようになった。安定した品質の果実や数量の供給は消費者の信頼を高めるとともに、生産者の所得向上につながる。気象条件が原因と考えられる障害や品質低下要因について、そのメカニズムを明らかにし、気候変動に適応する技術を確立する。
1 事業の必要性
| ア | 温暖化による開花期の前進や生育期間中の高温による果実品質への影響を明らかにし、品質低下を防ぐ技術の確立が必要である。 |
| イ | 気象の年次変動が大きく、収穫時期が前(後)進化している。果実品質や販売単価の向上には収穫適期を予測する技術が必要である。 |
| ウ | 「王秋」は食味、貯蔵性に優れ、晩生梨として期待されており本県は全国1位の生産量を誇っているが、収穫果にコルク状障害が発生することがあり、発生要因の解明と低減技術の確立が望まれている |
| エ | 開花・受粉期の天候が不安定な年は収量や果実品質に大きく影響するため、結実安定技術の確立が必要である。 |
| オ | 他県ではすでに暖冬に伴う低温不足によって発芽不良が発生している。また低温要求量は十分でも2、3月の気温が高く推移し、生育が早まった後の低温遭遇による樹幹病害などの発生が見られるため、これらに対応する技術の確立が急務である。 |
| カ | 高温、干ばつ、ゲリラ豪雨などの異常気象が毎年の様に起こっている。これらに対応できる土壌管理法や施肥法の確立が必要である。 |
| キ | 過剰施肥は温暖化を進めている。温暖化防止に向けた施肥量削減技術の確立が必要である。 |
| ク | 柑橘類やビワなど梨以外の品目も探索し、栽培適性を検討していく必要がある。 |
2 事業の内容
| ア | 果実品質への影響評価と対応技術の確立 |
| イ | 樹体への影響評価と対応技術の確立 |
| ウ | 地下部への影響評価と対応技術の確立 |
3 事業の効果
| ア | ナシ生産者(約1500戸)への技術普及により、気象変動に適応したナシ栽培が可能になり、毎年、高品質果実の安定生産、所得向上が期待できる。 |
| イ | 「二十世紀」「王秋」は日本一の生産量であり、これらの高品質果実の安定供給は鳥取のくだもののブランド力向上につながり、生産者の所得向上が期待できる。 |
| ウ | 効率的施肥による施肥量削減で温暖化防止への取り組みをPRできる。 |
4 これまでに得られた成果一覧
| ア | 施肥関係
・冬期に流亡しやすく効果が低いと考えられる元肥の施用をやめて7年間栽培試験を継続しが、果実品質や樹体生育に影響は見られなかった。
・現地試験園で元肥削減処理後3〜4年間経過したが果実品質に影響は見られなかった。 |
| イ | 「王秋」のコルク状障害関係
・障害の発生は高温・少雨年に多いことがわかった。
・土壌深耕による土壌膨軟化処理によって発生が低減された。
・摘葉処理によって発生が低減された。 |
| ウ | 「夏さやか」の耐寒性は他品種に比べて低く、このことが胴枯れ病の一因になっていると考えられた。 |
| エ | 霜害対策技術として鳥取県版改良燃焼技術や潅水チューブなど既存の潅水施設を活用した散水氷結技術を確立した。 |
5 H28の試験内容
| ア | 霜害対策技術の検討 |
| イ | 結実安定技術の検討 |
| ウ | 品質予測技術の確立 |
| オ | 「王秋」のコルク状障害の発生要因解明と低減技術の確立 |
| エ | 肥料削減栽培の実証および最小根域改良面積の検討 |
6 平成28年度要求額内訳(単位:千円)
内訳 | 要求額 |
旅費(技術習得研修、情報交換など) | 175 |
栽培資材、実験資材購入費など | 1,891 |
通信運搬費 | 192 |
合計 | 2,258 |
7 試験実施期間
年度 | 事業費 | 事業内容 |
26 | 2,258 | 高温が果実品質・樹体生育に及ぼす影響の評価と対応技術の検討、品質予測技術の確立、「王秋」のコルク状障害の発生低減技術確立、
施肥量削減技術、温暖化に対応した土壌管理技術の確立 |
27 | 2,258 | 高温が果実品質・樹体生育に及ぼす影響の評価と対応技術の検討、品質予測技術の確立、「王秋」のコルク状障害の発生低減技術確立、
施肥量削減技術、温暖化に対応した土壌管理技術の確立 |
28 | 2,258 | 高温が果実品質・樹体生育に及ぼす影響の評価と対応技術の検討、品質予測技術の確立、「王秋」のコルク状障害の発生低減技術確立、
施肥量削減技術、温暖化に対応した土壌管理技術の確立 |
29 | 2,258 | 高温が果実品質・樹体生育に及ぼす影響の評価と対応技術の検討、品質予測技術の確立、「王秋」のコルク状障害の発生低減技術確立、
施肥量削減技術、温暖化に対応した土壌管理技術の確立 |
30 | 2,258 | 高温が果実品質・樹体生育に及ぼす影響の評価と対応技術の検討、品質予測技術の確立、「王秋」の栽培マニュアル作成、
施肥量削減技術、温暖化に対応した土壌管理技術の確立 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・ 8月上旬において、「なつひめ」「新甘泉」の収穫時期の糖度予測が可能となった。
・元肥の施用は不要である可能性を見いだした。
・ 「王秋」のコルク状障害の発生原因の一つを解明し、ある程度発生が低減できる技術を確立した。
・「夏さやか」に対する霜ガードの処理は霜害によるアザを軽減できる可能性が示された
これまでの取組に対する評価
<H26年度の外部評価(事前)の結果>
評点:11.8 判定:○
(評点10以下は再考)
評価委員の主な意見
・最近の気候から、緊急性の高い研究と思われる。王秋の果肉障害対策を急いでください。
・いつまでも同じ梨を続けていくこと自体が疑問でもある。気候変動(温暖化)に対応した品種に特化していくことも必要ではないか。
・土壌管理も併せて考えて欲しい。
・自然現象に合わせた果樹の研究も、長期的に考えると必要と思います。
・近年は、最高気温が史上最高を示すなど、異常気象化が進んでおり、その影響による品質低下が大きな問題となっている。その意味からも、今までとは違う視点からの研究が急務である。緊急性は高い。
・目的もはっきりしており、研究の成果が、生産者の所得向上にも繋がるので、ぜひ頑張って欲しい。
自己分析
緊急度の高い試験で内容も多いが、評価委員からの指摘のとおり、短期的に結果を出す部分を確実に行いつつ、ナシ以外の樹種の検討や長期的な視点の取り組み(土壌改良の効果など)も合わせて行っていきたい
工程表との関連
関連する政策内容
安全・安心、高品質な農産物の生産技術の確立
関連する政策目標
土壌養分と養分吸収量との関係解明、可給態窒素に基づく施肥基準の作成
要求額の財源内訳(単位:千円)
| 区分 |
事業費 |
財源内訳 |
| 国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
| 前年度予算 |
2,258 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1,611 |
647 |
| 要求額 |
2,258 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1,044 |
1,214 |