1 一般段階査定結果
特殊詐欺被害防止アドバイザーは、特殊詐欺の水際防止に向けた緊急対策だったことから、平成28年度からは体制を縮小し、各地域1名で対応してください。
2 調整要求理由
本事業で取り組む水際阻止は、被害者が現金を振り込み、又は送金する直前に行い得る被害防止の最後の砦であり、事業の縮小により、阻止件数が減少することとなれば、被害件数及び被害額が爆発的に増加するおそれがある。
最近ではマイナンバー制度を口実とした詐欺が発生しており、本県でも、被害の前兆となる不審電話が確認されている等、新たな手口による被害の拡大も懸念される。
県警察としては、体制を縮小したことにより、特殊詐欺被害を県民に負わせることはできないと考えるため、前年同規模の体制による事業の推進を要求する。
3 調整要求額 5,022千円
特殊詐欺被害防止アドバイザー(非常勤職員) 2名
報酬 4,322千円
共済費 700千円
4 特殊詐欺被害の現状
ア 被害の現状
振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺の件数、被害額とも依然として高止まりの傾向にあるため、特殊詐欺被害防止は、県民の財産を守るために警察が取組むべき喫緊の課題となっている。
【特殊詐欺被害金額】
区分 | 平成24年中 | 平成25年中 | 平成26年中 | 平成27年※ |
鳥取県 | 6,745万円 | 9,188万円 | 1億5,911万円 | 7,150万円 |
全国 | 36,436百万円 | 48,690百万円 | 56,550百万円 | 42,200百万円 |
※鳥取県は12月末現在、全国は11月末現在
イ 犯行手口の変化
被害金の入手手口が、宅配便等で現金を送付する「送付型」から、ATMを利用した「振込型」に変化しつつあるほか、コンビニ等で取り扱う電子マネーや、マイナンバー制度を口実とした新たな手口による被害が懸念される。
ウ 被害者の内訳と水際対策の重要性
関係機関が繰り返し被害防止広報を行っているが、近年は、65歳以上の高齢者が特殊詐欺被害者の約7割に及んでいる。仮に被害者が騙されても、現金の引出や送金を阻止する「水際対策」に引き続き取り組むことが重要となっている。
5 特殊詐欺被害防止アドバイザーの業務内容
(1)ロールプレイングによる対処能力向上訓練
県内の金融機関、コンビニエンスストア及び宅配業者を2名1組で巡回し、ロールプレイングによる訓練を実施(一人が高齢者役で職員等を相手に演技を行い、もう一人が職員等の対応を観察して、訓練後に講評・指導)
(2)被害防止コール
警察が押収した名簿に掲載された県内居住者に対して電話を掛け、特殊詐欺被害に遭わないための注意喚起を行う。
(金融機関やコンビニの希望時間帯にロールプレイングによる訓練を行い、訓練の合間に被害防止コールを行う。)
(3)被害防止啓発活動
被害者の大半が高齢者であることから、従来の業務に加え、普段から高齢者と接する機会の多い医療機関や通所型介護施設管理者等と協働した高齢者への啓発活動を行う。
6 特殊詐欺被害防止アドバイザーの重要性
特殊詐欺被害防止アドバイザーの運用開始以降、阻止件数はそれ以前と比べ大幅に増加しているが、平成26年と平成27年を比較すると、被害件数も増加している状況にある。
現在、特殊詐欺被害防止アドバイザーを2人一組の計4人で運用した結果、県内の阻止率は、
と65%台で推移しているが、特殊詐欺被害防止アドバイザーが減員となった場合、新たな犯行手口への具体的な対策の周知が後手となり、阻止率及び阻止件数が減少し、被害が増加するおそれがある。