1 事業概要
本県農業の活力増進のため、国内産原料の需要が高まっている薬用作物等(※)について、地域の特色を活かして栽培される品目の生産拡大及び産地育成を推進する。
併せて、県内の食品会社、市町村、鳥取大学等と連携し、有望薬用作物の品目選定、栽培・加工技術の確立及び販路開拓に取り組み、中山間地や耕作放棄地等を活用した新たな特産物育成と地域活性化を図る。
(※薬用作物等:漢方製剤の生薬原料や健康食品原料となる作物)
2 事業内容
(1)対象品目:薬用作物等
(2)対策及び事業費
1 有望品目等選定・試作 | 事業
目的 | (1)地域の特色を活かした有望品目・品種の選定
(2)新規有望品目の可能性判断や栽培技術の開発
(3)試作等支援による取組意欲の啓発 |
事業
内容 | (1)新規有望品目・品種の選定・試作
(2)栽培技術開発に必要な基礎データ収集
(3)有効成分・品質特性等の把握 等 |
事業
主体 | 農家、生産組織、法人、農協、市町村 等 |
補助率 | 県1/2、市町村1/2 |
予算額 | 2,231千円 |
2 栽培技術の確立・普及 | 事業
目的 | (1)有望品目の栽培技術確立・普及
(2)新技術等を活用した生産力の強化実証 |
事業
内容 | (1)栽培技術の確立
(2)新技術等を活用した栽培面積拡大・単収向上の実証
(3)栽培実証に必要な機械・施設等の導入 等 |
事業
主体 | 農家、生産組織、法人、農協 等 |
補助率 | 県1/3、市町村1/6 |
予算額 | 4,145千円 |
3 加工技術確立・販路開拓 | 事業
目的 | (1)1次加工による付加価値向上
(2)契約栽培等の販路開拓や安定販売の推進 |
事業
内容 | (1)1次加工技術の確立
(2)成分分析・品質の基礎データ収集
(3)1次加工に必要な機械・施設等の整備
(4)販路マッチング活動 等 |
事業
主体 | 農家、生産組織、法人、農協 等 |
補助率 | 県1/3、市町村1/6 |
予算額 | 434千円 |
4 情報共有・連携誘導 | 事業
目的 | (1)薬用作物等連絡協議会(仮称)の開催 |
事業
内容 | (1)県下全域での情報共有・連携誘導・技術向上
(2)有望品目・品種についての情報交換 等 |
事業
主体 | 県 |
予算額 | 430千円 |
計 | | 7,240千円(0千円) |
(3)実施時期:H28年度〜H32年度
3 背景・経過
(1)県内の動向
○ 本県では、食品会社等と契約栽培し、機能性食品の原料となる薬用作物等の栽培が増加傾向で、新規栽培への関心も高い。
栽培中:ハトムギ−鳥取市・八頭町、ハッショウ豆−鳥取市、エキナセア−大山町、桑葉−鳥取市、八頭町、琴浦町 他
検討中:米子市、境港市 他
○ 地域活性化対策で、中山間地や耕作放棄地等で生薬原料の薬用作物等栽培への関心が高まっており、一部市町で試作開始や、栽培を検討中である。
試作:倉吉市−カラスビシャク(H27〜)、江府町−カンゾウ(H26〜)
検討中:琴浦町、湯梨浜町
○ 薬用作物等はマイナーな作物で、栽培技術が未確立な品目が多く、市場流通が無い。製薬会社等が産地とマッチングする際に、品質基準、ロット、栽培経験、地域の支援体制などが、判断材料となっており、生産・支援体制を早急に整備する必要がある。
(2)国内の動向
○ 国内の漢方製剤原料の主要輸入元である中国が、一部品目で輸出制限を課すなど、原料の高騰や供給不安定の問題が現在顕在化している。一方、国内では漢方製剤の医療使用が増加し、国内産の薬用作物等の需要量は今後も増加見込み。
生薬年間使用量(H24):約26千トン、うち国産約3千トン、約8割を中国依存。
○ 国は、H26年度から「薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業」を創設し、製薬会社と産地とのマッチングや、試作1年間の必要経費を支援している。しかし、薬用作物等の試作や評価には最低3年程度が必要であり、国事業を補完する支援体制が早急に必要である。
○ 専門家の助言で、薬用作物等は先に取り組んだ品目について、他産地は試作等を回避する傾向があり、早急に産地の取組を開始し、支援する必要がある。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
○H25年度以降、単県事業で桑苗、刈取機の導入を支援
(単県)魅力ある中山間特産物等育成支援事業
・H25〜26年度
鳥取市:優良苗木の導入、土壌改良、基盤整備(5戸)
(単県)園芸産地活力増進事業(中山間等特産物育成タイプ)
・H27年度
琴浦町:優良苗木の導入、刈取機の導入(1台)
八頭町:刈取機の導入(1台)
智頭町:優良苗木の導入、土壌改良
(国)薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業
・倉吉市:カラスビシャクの実証栽培
○本県に適する薬用作物等の意見交換会を実施(H27年度)
鳥取大学西原准教授と本県に適する薬用作物等の探索を目的に、意見交換を実施した。候補品目として、カンゾウ、マオウ、朝鮮人参の他11品目の紹介があった。
これまでの取組に対する評価
○耕作放棄地対策として、薬用作物等への関心が高まっており、支援要望がある。
○薬用作物等は、生薬成分量が重要で、植物体に十分な成分量を保有するのに、長期の栽培期間を有するものが多く(3年程度)、長期の支援が必要である。
○薬用作物等は販路開拓が重要で、支援要望がある。