1 現状と事業目的
○保育士等配置基準
保育の機能・役割が増加しているにも関わらず昭和44年以降、保育所の保育士配置の最低基準が0歳児配置以外見直されておらず、保育士・児童の処遇について改善が求められている。
特に0歳児(3:1)から1歳児(6:1)においては、急激に保育士配置が手薄になり、保育所から保育士の配置基準の改善が強く要望されている。
また、平成27年度から開始した子ども・子育て支援新制度における認定こども園や市町村による認可事業である小規模保育事業等においても、保育所と同じ職員配置が基準となっている。
○保育士雇用環境
保育士等の非正規職員化率の増加に伴う就労環境の悪化が、士気の低下や早期離職に繋がっていると考えられる。
以上のことから、保育士等の正規職員雇用化を促進し就労環境を抜本的に改善し、児童の健全育成及び保育士等処遇を向上させるため、各保育所等に配置される保育士等の増員を図り、正規雇用を促進することを目的とする。
2 制度の見直し
平成27年度より新制度における質の改善に伴い「3歳児配置改善」が、加算として公定価格に組み込まれ、その算定方法は、従来県で行ってきた低年齢児補助金の考え方と若干異なっており、単県補助金の要件を満たすためには、必要保育士等数と実配置保育士等とを比べる際に必ず1人以上上回る必要があるが、公定価格の加算要件ではその必要がないことから、補助要件の判断を統一することで、施設の状況による加算と補助金の選択肢を増やし、また要件確認を簡素化することができる。
また、保育士の正規雇用を促進するため、非正規職員を正規職員とした場合、平成24年度から補助単価を非正規職員単価に加え、正規職員単価を選択できることとしているが、その要件の一部が、現実的に困難であり、利用に結び付いていないため要件を見直す。
3 事業内容
1歳児担当保育士等の加配を行うための経費を助成する。
また、平成24年度より保育士の正規職員雇用化を促進し、就労環境を抜本的に改善するため、補助単価を非正規職員単価に加え正規職員単価を選択できる選択制を導入した。
【実施主体】
・補助要件を満たす教育・保育施設及び地域型保育事業を運営する市町村
・補助要件を満たす教育・保育施設及び地域型保育事業に間接補助を行う市町村
ただし、地域型保育事業のうち小規模保育事業C型、家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業は除く。
【補助率】 補助基準額の1/2
【負担割合】 県1/2、市町村1/2
【補助額】
・非正規職員単価 148,500円/月
・正規職員単価 259,000円/月
※単価は加配後の職員数から国の定める基準による職員数を引いた人役差1.0人当たり
【対象施設】
教育・保育施設及び地域型保育事業所において、1歳児と1歳児担当保育士の割合が4.5:1以上となるよう保育士を加配する施設
(参考:保育所の保育士配置基準)
区分 | 国の定める基準 | 加配後の基準 |
| 0歳児 | 3:1 | 3:1 |
| 1歳児 | 6:1 | 4.5:1 |
| 2歳児 | 6:1 |
| 3歳児 | 20:1 | 20:1 |
| 4歳児以上 | 30:1 | 30:1 |
(注)「3:1」とは3人の児童に1人の保育士を配置する割合を意味する。
【補助要件】
以下の要件を全て満たす場合に対象とする
・1歳児の配置基準を4.5人につき1人としている施設
・施設全体の必要教育・保育従事者数の算定の際に、1歳児4.5人につき1人として計算して算定された職員数以上に施設に保育士等が配置されている
〔正職員単価を適用する場合〕
・4月初日、10月初日時点で施設の正規職員の割合が、75%以上であること
※子ども・子育て支援新制度において、「保育短時間」(8時間)と「保育標準時間」(11時間)が設けられた。
利用児童の大部分を占める保育標準時間(11時間)認定に係る国の公定価格においては、常勤保育士(8時間:正規)1人及び非常勤保育士(3時間:非正規)1人分として、算定されていることから当該算定を上回る75%以上の率で正規職員を配置している施設に正規職員単価を設定する。
【公定価格上の正規職員配置割合】
8時間(常勤1人)÷11時間(常勤1人+非常勤1人)=72.7%
4 積算基礎
○加配保育士数A
〔正規職員〕
・県配置基準(4.5:1)による保育士数
1歳児入所見込数324人/4.5人=72人・・・(A)
・国配置基準(6:1)による保育士数
1歳児入所見込数324人/6人=54人・・・(B)
・特別配置による加配保育士数
(A)−(B)=72人−54人=18人
〔上記以外〕
・県配置基準(4.5:1)による保育士数
1歳児入所見込数2,584人/4.5人=574人・・・(A)
・国配置基準(6:1)による保育士数
1歳児入所見込数2,584人/6人=430人・・・(B)
・特別配置による加配保育士数
(A)−(B)=574人−430人=144人
○人件費(年)B
〔正規職員を配置〕
・正規職員単価 259,000円/月
・年間 259,000円/月×12月=3,108,000円
〔上記以外〕
・非正規職員単価 148,500円/月
・年間 148,500円/月×12月=1,782,000円
区分 | 加配
保育士数A | 人件費
(年)B | 補助基準額
A×B | 補助率 | 補助額 |
| 正規職員 | 18 | 3,108千円 | 55,944千円 | 1/2 | 27,972千円 |
| 上記以外 | 144 | 1,782千円 | 256,608千円 | 128,304千円 |
計 | 161 | − | 312,552千円 | − | 156,276千円 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・保育士配置基準の見直しを国に要望
・保育3団体等から県に対し保育士配置支援の要望
・県・市町村が一体となった保育所支援事業
(1)低年齢児加配
(補助金実績) (対象児童数) (1歳児童総数)
H15 61,096千円 1,236人 5,380人
H18 86,549千円 1,735人 4,877人
H21 101,160千円 1,998人 4,942人
H22 98,181千円 1,993人 4,820人
H24 111,835千円 ※以降制度改正のため不明
H25 121,823千円
H26 119,227千円
H27 121,591千円 ※新制度に伴う対象施設拡大
(2)3歳児加配
(補助金実績)
H25 38,104千円
H26 37,379千円 ※H27より国制度へ
これまでの取組に対する評価
○ニーズは高く、低年齢児の健全育成、保育士の負担軽減に効果
・低年齢児の入所は増加傾向
(0〜2歳児の入所人数:H15年4,777人→H27年6,389人) ※H27は保育所、認定こども園入所者数
・低年齢児を多く受け入れる施設は増加
(補助利用保育所数H15年108施設
補助対象施設数H27年194施設)