1 試験の背景
イワガキは夏場の沿岸漁業における重要対象種で、平成17年より県内産天然イワガキを「夏輝」としてブランド化している。平成19年にイワガキ資源回復計画を策定し、漁業者は漁獲規制等の資源管理を実施している。しかし、漁業者からはイワガキ資源減少の声が聞かれ、今後の漁獲量減少が懸念されている。
2 試験の必要性
イワガキ資源回復計画に基づき、平成25年から28年にかけて資源増産を目的に水産基盤整備事業によりイワガキ礁を設置した。しかし、設置後の経過観察でイワガキの付着が悪い地区が確認されており、その原因を明らかにし対策を講じる必要性がある。
また、漁協からの要望として、1.イワガキ礁を含む、各地区のイワガキ漁場の資源実態の把握、2.効果的かつ効率的な漁場再生手法の開発が求められている。
3 試験の目的
水産基盤整備事業で設置したイワガキ礁について、有効なイワガキの付着・再生を実現させる。
4 試験の内容
【試験1】 経過観察調査
潜水観察によりイワガキの付着、生残を確認し、資源状況を把握する。
【試験2】 幼生調査
幼生の発生数を確認し、イワガキの付着が悪かった要因が発生時期によるものかを明らかにする。
【試験3】 食害防除手法の開発
食害による影響を軽減させるため、稚貝の生残を高める防除手法を開発する。
【試験4】 岩盤清掃の開発
イワガキの付着促進を図るため、効率的な岩盤清掃機械を開発する。
5 試験の効果
イワガキ稚貝の生残・付着再生手法の提言を行うことで、1.イワガキ礁の有効活用(資源増産・再生産効果)、2.その他の人工構造物での資源増産効果、3.付着再生作業の軽減が図られる。その結果、イワガキ(夏輝)の安定供給、漁獲量増加が見込まれ、地域の活性化、漁業経営の改善に繋がる。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
1.イワガキ礁の資源状況を把握する経過観察調査を行ったが、付着が悪い地区が確認された。(幼生による影響の可能性、食害による減耗)
2.付着面再生手法として岩盤清掃の効果は確認されているが、効率的な清掃機械の開発に至っていない。
これまでの取組に対する評価
1.イワガキ礁での資源増産手法を確立する必要性がある。
2.効率的な岩盤清掃機械を開発する必要がある。