要求内容
鳥取県ではサケマス類の養殖が盛り上がりをみせており、さらなる発展の可能性が認められる。
そこで、県の技術的な支援により、県内のサケマス類養殖のさらなる増産を目指す。
具体的には、ギンザケの高水温耐性獲得の検討による歩留まり向上、ニジマス等の三倍体技術の精度向上による販売機会増大により、サケマス類の増産を検討する。
※「地方創生推進交付金充当」
試験内容 要求額 1,043千円(前年度1,702千円)
※備品購入にかかる減額
(1)ギンザケの高水温耐性の獲得の検討
他魚種ではビタミンC等を添加したエサの投与により、高水温耐性の獲得が可能であることが知られている。平成29年度は前年同様にギンザケで高水温耐性の獲得を目指す。
(2)三倍体作出技術の導入
ニジマスにおいて開発されている三倍体技術を本県ニジマス養殖に導入し、三年間で三倍体作出技術の精度を向上する。
ギンザケ
ニジマス(トラウトサーモンとして広く流通している)
期待される効果
【ギンザケの高水温耐性の獲得】
淡水飼育時には、夏の高水温時のリスク低減、淡水飼育期間短縮により、淡水飼育をする中山間地域の負担軽減が可能となる。また、海水飼育時には、海水馴致時の生残率向上及び出荷時期の拡大が可能となり、生産量の拡大及び生鮮魚の販売機会拡大が可能となる。
【三倍体作出技術の導入】
成熟により品質悪化(身ヤセ・色落ち)する秋〜春に刺身商材を提供可能となり、新たな特産品づくりの可能性が開け、販売機会拡大が可能となる。
背景
●鳥取県内では、美保湾におけるギンザケ養殖の他、関金町には日本屈指の規模を誇る養魚場がギンザケ稚魚、ニジマス、ヤマメを生産し、それぞれ生産規模を拡大しつつある。他にも2者がサケマス類の養殖を実施している。
●県内でサケマス類養殖が盛り上がりつつある一方、ギンザケ養殖では、海水馴致時の温度差による減耗や出荷時期の拡大といった課題、ニジマス養殖等では、産卵期の品質悪化(身ヤセ・色落ち)による刺身商材不足といった課題がある。
●現在、県内サケマス類養殖業者からは、ギンザケの高温耐性獲得の検討やニジマス等の三倍体技術の精度向上などが要望としてあがっている。
●これらの要望はいずれも生産性の向上及びニーズの強い刺身商材の販売機会拡大を目的としており、中山間地域の振興、県内業者のさらなる収益拡大が期待できる。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・5月に試行的に淡水飼育中の大型ギンザケを海水馴致し、高水温耐性試験を試みた。しかし、大型魚は馴致するものの餌付かず試験は不調に終わった。
・12月からの試験にむけて、事業者と打合せを実施した。
これまでの取組に対する評価
・5月に大型魚で試験する場合、海面養殖ギンザケを使用する必要があることがわかった。
・ビタミンCに摂餌を誘発する効果をうかがわせる結果が得られた。