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平成29年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:水産業費 目:栽培漁業センター費
事業名:

養殖事業展開可能性調査

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水産振興局 栽培漁業センター 養殖・漁場環境室  

電話番号:0858-34-3321  E-mail:saibaicenter@pref.tottori.jp

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
29年度当初予算額 5,907千円 14,306千円 20,213千円 1.8人 0.0人 0.0人
29年度当初予算要求額 6,358千円 14,306千円 20,664千円 1.8人 0.8人 0.0人
28年度当初予算額 6,202千円 14,036千円 20,238千円 1.8人 1.1人 0.0人

事業費

要求額:6,358千円  (前年度予算額 6,202千円)  財源:国1/2 

一般事業査定:計上   計上額:5,907千円

事業内容

要求内容

鳥取県で現在進めている陸上養殖(マサバについては海面養殖も含む)について、考えうる魚種や飼育手法について実際に飼育を行い、それに係るコスト等を検討し、それらの養殖事業展開の可能性を調査する。

     平成29年度は、マサバ、ハギ類は平成29年度と同様に養殖技術の検討を行うとともに、新たに漁港内のスペースを利用した小割式養殖(短期蓄養)の可能性調査も行う。  

    ※ 地方創生推進交付金充当

試験内容(マサバ) 要求額 4,696千円 (前年度 4,345千円)  

平成24〜26年度で基本的な養殖技術の試験を終了したが、コスト面に問題があることがわかり、平成27年度から低コスト化を踏まえた発展的な課題に移行している。 

 また、採卵・種苗生産については、安定的に卵を確保する技術が十分に確立されておらず、安定したマサバ種苗供給体制を整えるためには課題が残されている。
 平成29年度は、養殖事業の効率化を目的に、飼育期間の短縮、歩留まり向上のための適正な飼育密度、給餌方法の検証を行うとともに、それらの早期種苗の中から高成長の個体を選別し、継代することで、高成長のマサバ種苗群を作出する「育種」の足がかりとなる個体群の創出を目指す。 
 また、マサバ種苗供給体制の安定化のために必要となる、採卵技術確立に向けた試験を実施する。

(1)種苗生産試験(委託)
(2)生殖腺の調査およびコントロール
(3)早期採卵の技術向上・安定化 
(4)早期種苗を用いた適正密度・適正給餌方法の検証
(5)高成長個体の選別・継代効果の検証
(6)養殖事業化に向けたフォローアップ

試験内容(カワハギ・ウマズラハギ) 要求額 1,936千円 (前年度 1,338千円)

 平成28年度に引き続き、マサバ、キジハタにつぐ陸上養殖の対象魚種として、要望の強いカワハギ、ウマヅラハギの検討を実施する。
平成29年度は、種苗生産試験の規模を拡大し種苗生産技術の開発に注力するとともに、養殖試験により事業性を検討していく。
(1)養殖試験・飼育指導(浅井戸、半閉鎖、通常海水)
(2)種苗生産試験(ウマヅラハギ)
 

試験内容(キジハタ) 要求額 0千円(前年度 284千円)

平成28年度までの試験結果から、完全閉鎖循環式による養殖では2年で出荷サイズまでの成長が見込めないことがわかった。このため、県内におけるキジハタ養殖の可能性は半閉鎖循環式において検討することとする。
このため、平成29年度からは、県内業者が取り組むハイブリッド式閉鎖循環養殖の養殖試験に対して通常の巡回指導の中で指導を行いながら、当該業者とともにキジハタ養殖の可能性を検討していく。 

  

背景

【陸上養殖に関して】
●鳥取県は日本海の荒波を防ぐ内湾が少なく、一部の海域を除き、海面養殖を行うには厳しい環境となっている。
●鳥取県内で養殖を実施するには、限られた静穏な海域、または陸上で行うことが条件になってくる。
●陸上養殖は、海面養殖に比べて、設備費が高価になるなどコスト面の課題はあるものの、波浪や高水温(良質な井戸海水の使用が前提)、赤潮などの自然由来のリスクを回避することができる。
●加えて、陸上養殖は海面養殖より、作業の安全性が高い、船舶が必要ないといった利点もある。
●食の安全を確保するトレーサビリティを徹底することができるなど、経営安定や消費者からのニーズに応えることができる利点もある。
●本県の自然条件に見合った養殖対象種の確立が必要となっている。

これまでの取組と成果

これまでの取組状況


【マサバ】
平成24年度
 種苗生産試験及び養殖試験の開始
 種苗生産は目標数に10000尾に対し、約6000尾で受精卵の不足、共食いの多発などから目標数には達しなかった。
 養殖試験では施設完成が10月になったため、井戸海水が十分使えない状況で、オキアミと配合飼料を併用することにより、養殖開始後約10ヶ月(ふ化後約11ヶ月)で平均約500gにまで成長したが、生残率が低く問題が残った。

平成25年度
 種苗生産は目標数10000尾に対し約4000尾だった。昨年の結果を受け種苗生産水槽のサイズを大きいものに変更したが、受精卵が不足したこと、原因不明の斃死が発生したことなどから平成24年度より生産尾数は減少した。このことから、採卵方法について、検討を重ね、更に先進地の視察を行った。
 養殖試験では試験開始当初からマサバ養殖施設が使用できたことから、養殖当初から井戸海水を使用したが、平成24年度よりも成長が悪かった。このことから、井戸海水がマサバの適水温より低い可能性が示唆された。井戸海水飼育で配合飼料のみだと12ヶ月時点で、300g程度にしか達しないので、飼育期間がかなり延びることがわかった。

平成26年度
 種苗生産は目標数40000尾に対し目標通り40000尾を生産でき、量産化に向けて足がかりができた。
養殖試験では昨年度の試験の検証で水温についての試験、また海水井戸の塩分が薄いことが多いことなどから低塩分での飼育試験などを実施している。

平成27年度
 種苗生産は目標数40000尾に対し目標以上である54000尾の生産に成功し、2年連続での目標数達成となった。
 養殖試験では低塩分での飼育試験を行い、2/3海水程度でも半年以上飼育可能なことを確認した。水温については、当初予定していたよりも高水温において成長が良いことがわかってきたが、高水温期は原因不明の斃死が発生し、生き残りが悪い結果となった。
 養殖検討業者と養殖について共同研究を行った。また生産魚の市場性調査も行い、「お嬢サバ」として大きな注目を浴びた。
 親魚の成熟のコントロール試験を実施し、日長管理を行うことで、人為的にマサバを成熟させることが可能となり、通常より早く採卵を行うことができ、早期種苗生産を実施することが可能となった。(通常採卵は5月頃、早期採卵は3月から可能)

平成28年度  
 種苗生産は目標数10000尾に対し、早期採卵による種苗4000尾、通常期の種苗6000尾を生産し、併せて目標通り10000尾の生産に成功した。ふ化仔魚に関しては、飼育・生産技術が安定してきたが、採卵については、1尾の親魚から取れる卵の数が安定せず、課題が残る結果となった。 
 養殖試験では、早期種苗を用いた場合の養殖期間等の検証を行っているが、原因不明の斃死が多く、生き残りに問題があると考えられる。
 


【キジハタ】
 平成25年度から、完全閉鎖循環式陸上養殖システム(以下、「完全閉鎖」)による、キジハタ養殖試験を開始したが、硝酸塩の蓄積が主因と思われる成長停滞がみられ、対策を検討したものの現状では実用化は困難と思われた。
 県内企業では閉鎖循環式と流水式を組み合わせたハイブリッド型の閉鎖循環式陸上養殖システム(以下、「ハイブリッド型」)による飼育試験が開始され、飼育指導を行ってきた。販売試験に向けて飼育を継続しているが、当初計画どおりには成長していないため、いまだ販売試験に至っていない。

【ハギ類】
 ウマヅラハギの天然種苗を採捕し、県内の2業者に提供することで、飼育技術や販売試験による養殖の可能性を検討中。
 ウマヅラハギ及びカワハギの種苗生産試験を実施。少量ではあるが両魚種とも採卵・種苗生産に成功した。

これまでの取組に対する評価


【マサバ】
 種苗生産については、飼育方法・技術が確立され、早期採卵などの技術も利用可能となり、量産化に向けた技術が確立されてきたところであるが、採卵方法については、1尾の親魚から取れる卵数が安定せず、安定的な種苗供給体制の構築には課題が残されている。今後、採卵技術の向上を中心について改良・検討していく必要がある。

 養殖試験については、餌のコスト等を無視すれば、短期間で成長させることができるが、実際に養殖が行われる現場を想定した飼育条件の場合、飼育期間がかなり延びてしまう。飼育期間の長期化、生餌の利用、いずれも生産コストに影響するため、収益性の低下に繋がってしまう。
 H28年にJR西日本と行った共同試験の結果から、陸上養殖のマサバの市場評価は高く、需要も多いことなども見えてきた。しかし、養殖事業として成り立たせるためには、コスト低減は不可欠で、養殖期間の短縮、生産の効率化、歩留まり向上などの課題は依然として残されている。

【キジハタ】
 ハイブリッド型に取り組んでいる県内業者へ飼育指導した結果、平成28年度の販売試験に向けて成長がやや計画より遅れているもののおおむね順調に飼育が継続している。
完全閉鎖では、硝酸塩蓄積による成長停滞の問題が解決できなかった。完全閉鎖の用途としては、短期蓄養や低密度の飼育(種苗生産、種苗生産用の親魚養成など)が可能性として残された。
 
【ハギ類】
 平成28年度の販売試験に向けて、陸上養殖業者とともにまずは天然魚を採捕し飼育試験を開始したが、魚病の発生により販売試験が実施できなかった。早急な人工種苗生産技術開発の必要性が確認できた。
平成29年度以降、飼育試験と指導、販売試験を実施し、課題の抽出、事業の可能性を検討していく。
種苗生産の可能性をカワハギ、ウマヅラハギで検討した。その結果、少量であるが種苗生産に成功した。両種ともに安定した採卵と5mmサイズでの減耗が課題として抽出された。

工程表との関連

関連する政策内容

魅力ある養殖対象種の創出と普及

関連する政策目標

マサバ・カワハギ類等の養殖技術開発


財政課処理欄


 非常勤職員の報酬改定に伴い、報酬を精査しました。
  枠外標準事務費については前年同額とします。
  備品購入費について金額を精査しました。

要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 6,202 0 0 0 0 0 0 6 6,196
要求額 6,358 3,176 0 0 0 0 0 6 3,176

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
計上額 5,907 2,951 0 0 0 0 0 5 2,951
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0