1 事業概要
(1)法律相談窓口の開設
近年、学校現場における問題が複雑化、多様化していることから、県内3地区の弁護士各1名と相談業務委託契約を締結し、法律相談窓口を開設し、教職員が、解決困難な対応に追われ、過重労働に陥ったり、長期間にわたり精神的負担を抱え健康を損なうことがないよう、教職員の負担軽減を図る。
(2)学校経営相談員の配置
新任の学校管理職に対して、学校管理職経験者ならではの豊富な経験や知識に基づいた、学校内の潜在的リスク(学級崩壊やいじめの兆候等)の早期発見に必要なポイントの指導、学校における様々な諸課題についての新任管理職からの相談対応、学校運営についての助言等を行う「学校経営相談員」を配置し、新任校長等が学校における様々な問題をスムーズに解決することのできる体制を整備することで、学校の安定した運営の確保及び児童、生徒の学力、体力向上を図る。
2 事業背景
○ 学校において教職員が対応すべき課題の複雑化・多様化が進む中で、教職員の多忙解消及び負担感の軽減は喫緊の課題となっている。
○ 特に学校管理職に対して、特定の地域住民、保護者等から度重なる強い要求や対応困難な訴えが寄せられ、その解決が長期化・複雑化した場合、その対応に膨大な時間を要し、結果として学校運営に重大な支障をきたす場合がある。
○ 今後10年で校長をはじめとする多数のベテラン教員の退職が見込まれており、新任の管理職が急激に増加することとなるが、新任管理職は、管理職としての経験が浅く、校内の潜在的リスクをいち早く察知することが難しいため、初期段階で十分な対応がとられていれば早期解決できた筈の事案であっても、事態が悪化してしまい、その解決に多大な精神的、身体的労力を要する結果につながってしまうことがある。
3 課題
○ 市町教育委員会や県教育委員会においても管内の学校に係る情報収集に努めており、問題等が見つかれば、学校と一緒に解決に向けて取り組んでいるが、指導主事や管理主事は校長経験者ではないため、校長に対して、校内における潜在的リスクの早期発見に必要なポイントや、問題解決に当たり必要なリーダーシップのとり方等について具体的な指導を行うことが難しい。
○ ベテラン校長の大量退職が見込まれる現在の状況において、学校経営を熟知した上で、具体的な指導を校長に対して行うことの出来るサポート体制を整備し、円滑な学校運営を確保する必要がある。
4 学校経営相談員設置により見込まれる効果
○ 管理職経験年数が浅い新任校長等が、学校内の潜在的リスクについて、問題が複雑化する前に把握し、早期に組織としての解決体制をとることができるようになることで、円滑な学校運営を確保することができる。
○ 安定した学校運営が確保されることで、教員が教育活動に専念することができ、児童、生徒の学力、体力向上及びいじめの未然防止につなげることができる。
○ 学校における様々な諸課題が速やかに解決されるようになることで、地域や保護者からの学校に対する信頼が高まり、地域や家庭と連携をより密にした教育が可能となる。
5 事業計画(学校経営相談員)
平成29年度は中部地区に試験的に1名の「学校経営相談員」を配置し、上記課題解消に係る効果検証を行い、全県拡大に向けた検討を行う。
6 学校経営相談員の業務内容等
(1)配置先:中部教育局
※対象校:38校(中部地区小中学校)
(2)配置人数:1名(小学校又は中学校の退職校長)
(3)職種:非常勤職員
(4)勤務時間:月17日(又は週29時間)
(5)主な業務内容
○ 学校経営相談に対する具体的な指導助言(電話、メール、対面等)
○ 保護者対応、地域との連携、教職員への係わり、PTA活動活性化、服務規律の確保、校務分掌・校内組織、学力向上、いじめ・不登校防止についての指導助言
○ 学校訪問(学校ごとに月1回を想定)
○ 学校経営についての面談(初期面談 中間面談 最終面談等)、学校経営プラン等の確認、市町村教育委員会との連携方策についての指導助言、学習参観及び指導助言
○ 校長会での指示連絡
○ 校長・教頭研修会での指導、校長の研究についての指導助言等
7 所要経費
(1)法律相談窓口の開設
委託料 1,944千円 (前年度 1,944千円)
(積算) 月額50千円×12ヶ月×3地区×1.08=1,944千円
(2)学校経営相談員の配置
3,587千円
(内訳) 報酬 2,856千円
通勤割増 180千円
共済費 491千円
費用弁償 60千円
【合計要求額】(1)+(2)
5,531千円
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<法律相談窓口の開設>
平成23年7月に東部、中部、西部の弁護士(各1名)と業務委託契約を締結し、学校問題に関する法律相談窓口を開設した。
これまでの取組に対する評価
平成28年度は9月末までで22件の相談実績を有し、法的問題について弁護士に助言を受けることで、困難事例の解決、問題発生の未然防止につなげ、教職員の負担軽減を図った。
これまでも毎年、一定の利用実績(H27:66件、H26:46件、H25:48件、H24:50件)を有しており、学校における法律問題、教職員の負担軽減において必要不可欠な制度として定着している。