1.背景・経緯
建設業界では、全国的に土木技術者不足が常態化していると言われて久しく、このままでは、「人々の生活の基盤である公共施設を整備・維持できなくなる」ということが危惧される。このことは、鳥取県土整備事務所管内においても、同様の状況と言えます。
このような背景の中、近年では、仕事の場としての建設業の魅力を学生・求職者に広く戦略的に広報する取組みが全国的に進みつつあります。
実際に、鳥取県としても、「将来の建設産業担い手育成支援事業」などの取組みがあります。内容としては、『広報用のHP開設やシンポジウムの開催などによる建設業の魅力発信事業』、『どぼくカフェ及び土木遺産ツアーによる女性や若者への情報発信事業』、『高校生のインターンシップ受入企業支援』などが実施されています。
しかし、土木関係全体に関して色々な事業や取組みが行われつつあるものの、これらの取組みの一番根幹でありかつ、一番裾野を広げるのに効果的であると考えられる小・中・高等学校の児童・生徒を対象とした取組みを積極的に広く展開していくような動きにまでは至っていません。
2.現状における課題
このような状況踏まえ、現場の最前線の技術者が積極的に子供達やその保護者に対して、未来を支える土木事業に関して広く親しみや興味を持って頂くための情報発信をする仕組みがあれば、そのような一連の取組みが加速するとともに、より効果的な動きへと繋がるものと考えられます。
しかしながら、現場の最前線の技術者(行政、設計コンサルタント、施工業者の3者)が情報発信するためのツールやノウハウを含めた仕組みがなく、積極的な取組が横展開できていない現状であり、その点が課題であると考えています。
3.事業内容
本事業は、直接、児童・生徒に土木事業の魅力を伝えることのできる『出前講座』という形で、現場の最前線の技術者が積極的に子供達やその保護者に対して、情報発信することを想定し、その出前講座で使用するためのテキスト等を作成するものです。
また、出前講座を通じて、作成したテキスト等を配布することで、その情報発信の効果を長期的なものとし、将来の社会資本整備を担う土木技術者を目指すきっかけづくりとなることを期待するものです。テキストには自分の住んでいる周辺の土木施設やその役割が掲載されることで、土木施設をより身近に感じ、その施設の大切さを理解してもらいます。
その結果、土木技術者として生まれ育った地元での就職を促し、結果的に若者の定住効果までを狙うものです。
【総事業費 300(千円)】
◆小中高生向けテキストの作成 C=200(千円)
子供たちの各年齢層に応じ、建設業界に興味を持ってもらい、日本や鳥取県が抱える将来的な問題を認識してもらい、使命感を持って土木技術者の道を選んでもらえるようなテキストの作成を行います。作成にあたり、次の点を盛り込み、地域性を出すとことで土木を身近に感じてもらい、地域の生活や社会基盤に役立っていることを伝える内容とします。
(1)県土整備に関わる県職員、コンサルタント、施工会社に土木 事業の”やりがい”をインタビューしてまとめる。
(2)具体的な工事事例によって日常生活がどのように安全・快適になっているかを紹介することで、土木が地域の生活に密着していることを伝える。また、ICT活用工事等を紹介し、土木工事のイメージアップを図る。
(3)テキストを使った講義スタイルと身近な土木工事現場の見学会スタイルを織り交ぜることで、体験型学習の要素を取り入れ、児童・生徒を飽きさせない工夫を行う。
◆PRグッズの作成 C=100(千円)
上記テキスト作成と並行し、出前事業の際の記念品的な資料の作成を行います。作成事例として、平成27年度に実施した「八千代橋の白うさぎレリーフの塗り替えイベント」で配布した「橋梁カード」的なものを想定しています。
人気のダムカードのパロディーで作成し、レア感を演出することで、心に残るPRグッズの作成を想定しています。