現在の位置: 予算編成過程の公開 の 平成29年度予算 の 農林水産部の産地ニーズに応える特色ある鳥取型ブドウ栽培技術の確立
平成29年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:農業費 目:園芸試験場費
事業名:

産地ニーズに応える特色ある鳥取型ブドウ栽培技術の確立

もどる  もどる
(この事業に対するご質問・ご意見はこちらにお寄せください)

農林水産部 園芸試験場 砂丘地農業研究センター  

電話番号:0858-36-2039  E-mail:zaisei@pref.tottori.jp
  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
29年度当初予算要求額 2,100千円 10,332千円 12,432千円 1.3人 0.7人 0.0人
28年度当初予算額 0千円 10,332千円 10,332千円 1.3人 0.7人 0.0人

事業費

要求額:2,100千円  (前年度予算額 0千円)  財源:単県 

事業内容

概略説明

鳥取県におけるブドウ栽培は、県中部の北条砂丘地帯中心に、鳥取市国府町、八頭郡八東地区、琴浦町東伯地区を主産地として、県全体で面積が約77haである。

     県内ではハウス栽培を主体として、盆前出荷が可能なデラウェア、巨峰、ピオーネを基幹品種とする時代が長く続いた。平成20年に有望品種のシャインマスカットの苗木が全国に供給可能となり、鳥取県でも増植が進み、基幹品種の仲間入りとなった。
    消費者の嗜好としてはシャインマスカットのように、皮ごと食べることができて高品質なブドウが期待されている。また、盆前出荷可能な品種は単価が安定している。シャインマスカットに続く、シャインマスカットを親とする新品種や盆前出荷可能な品種を試作し、鳥取県の次世代の基幹品種となる新品種の検討を進める。
     現基幹品種のデラウェア、ピオーネ等については、各品種の問題点や課題解決をはかるとともに、シャインマスカットは近年課題となっている花振るい対策、省力栽培、海外輸出を目指した貯蔵技術対策に取り組む。
     また、ブドウのハウス栽培は連棟型の無加温ハウスが主であるが、設置コストが高い。野菜で導入されている鳥取県型低コスト単棟ハウスのブドウへの適応性を検証する。

1 事業の必要性

(1)民間で育成されたシャインマスカットを親とする新品種(コトピー、雄宝、ヌーベルローズ等)を試作し、鳥取県での適応性を確認する。また、民間や農研機構果樹研究所で育成された新品種の動向を確認しながら、次世代の基幹品種を模索していく。
(2)北栄町ではラッキョウとの複合経営者が増えた。ラッキョウの収穫期である5月下旬〜6月は、デラウェアの摘粒の時期と重なるため、デラウェアの摘粒作業の省力化を求める声がある。省力化が期待できるジベレリン1回処理技術を検討する。

(3)ピオーネとシャインマスカットについて、農家側から調査希望のあった早期成園可能な台木を検討する。

(4)シャインマスカットは、春先の花穂異常、省力的な新梢管理法、早期成園可能な台木等が課題となり、これらの対策が急務となっている。また、長期貯蔵により他県に先がけて海外輸出を実現することが期待されている。

(5)近年、施設費が高騰し、ブドウハウスや新設と更新が難しい状況となっている。野菜で導入が進められている鳥取県型低コスト単棟ハウスをブドウ用に応用して、シャインマスカットを試作し、ブドウ栽培の適用性を検討する。

(6)事業の対象者 県内ぶどう栽培農家数  約300戸

2 事業の内容

(1)シャインマスカットに続く新品種の検討
    新品種の鳥取県での適応性を調査
(2)基幹品種の栽培技術の確立
   デラウェアのジベレリン1回処理技術の検討
   ピオーネの早期成園可能な台木の検討
(3)シャインマスカットの高品質果実生産技術の確立
   花振るい対策、省力的な新梢管理法の確立、早期成園可能な台木の検討、海外輸出を目指した長期貯蔵技術の確立を行う。
(4)鳥取型低コスト単棟ハウスにおけるブドウ栽培の検討
   シャインマスカットを使用し、植付法、樹形等を検討する。

3 事業の効果

(1)有望品種や及び台木の選定を行うことで、新規にブドウ栽培を始める生産者等が栽培品種を計画する時に参考となる。

(2)デラウェアのジベレリン1回処理が可能となると、摘粒の省力化が可能となり、ラッキョウとブドウを組み合わせている農家にとっては、作業効率の向上につながる。

(3)シャインマスカットの課題解決、海外輸出、低コスト単棟ハウスでの栽培が可能となることで、シャインマスカット栽培面積の向上が期待できる。

4 平成29年度の試験内容

(1)シャインマスカットに続く有望品種の検討
・シャインマスカットを親とする新品種の特性確認(コトピー、雄宝、ヌーベルローズ)
・盆前出荷可能な品種の特性確認(ブラックマスカット、「04HS-2」)

(2)基幹品種の栽培技術の確立
・デラウェアのジベレリン1回処理技術の検討
・ピオーネの早期成園可能な台木の検討

(3)シャインマスカット高品質果実生産技術の確立
・花穂異常による花振るい対策技術の検討
・省力的な新梢管理法の検討
・早期成園可能な台木の検討
・海外輸出を目指した長期貯蔵技術の検討

(4)鳥取県型低コスト単棟ハウスにおける栽培技術の確立
・植付法、幼木の樹形等の検討

5 平成29年度の要求額内訳(単位:千円)

内訳
要求額
ブドウ栽培用資材・分析用試薬購入費
学会・検討会・研修会への出席旅費
1,917
183
合計
2,100

6 年次別事業内容と事業費

年度
事業費
事業内容
29
2,100
シャインマスカットに続く新品種の検討(4品種の果実調査、1品種植付け、1品種樹冠拡大)
基幹品種の栽培技術の確立(デラウェアのジベレリン1回処理試験、台木試験ピオーネの主枝長及び果実調査)
シャインマスカットの高品質果実生産技術の確立
(花振るい対策試験、省力的な新梢管理法試験、台木試験シャインマスカットの主枝長及び果実調査、貯蔵技術試験)
鳥取型低コスト単棟ハウスにおけるブドウ栽培の検討(植付け樹の樹冠拡大)
30
2,100
シャインマスカットに続く新品種の検討(5品種の果実調査、1品種樹冠拡大、試作品種の検討)
基幹品種の栽培技術の確立(デラウェアのジベレリン1回処理技術の確認、台木試験ピオーネの主枝長及び果実調査、各品種の問題点対策試験)
シャインマスカットの高品質果実生産技術の確立
(花振るい対策法の確認、省力的な新梢管理法の確認、台木試験シャインマスカットの主枝長及び果実調査、貯蔵技術試験、シャインマスカットの問題点対策試験)
鳥取型低コスト単棟ハウスにおけるブドウ栽培の検討(植付け樹の樹冠拡大)
31
2,100
シャインマスカットに続く新品種の検討(6品種の果実調査、試作品種の検討)
基幹品種の栽培技術の確立(台木試験ピオーネの主枝長及び果実調査、各品種の問題点対策試験)
シャインマスカットの高品質果実生産技術の確立
台木試験シャインマスカットの主枝長及び果実調査、貯蔵技術試験、シャインマスカットの問題点対策試験)
鳥取型低コスト単棟ハウスにおけるブドウ栽培の検討(植付け樹の樹冠拡大及び果実調査)
32
2,100
・シャインマスカットに続く新品種の検討(6品種の果実調査及び評価と淘汰、試作品種の検討)
・基幹品種の栽培技術の確立(台木試験ピオーネ果実調査及び有望台木の選定、各品種の問題点対策試験)
・シャインマスカットの高品質果実生産技術の確立
(台木試験シャインマスカットの果実調査及び有望台木の選定、貯蔵技術の確立、シャインマスカットの問題点対策試験)
・鳥取型低コスト単棟ハウスにおけるブドウ栽培の検討(植付け樹の樹冠拡大及び果実調査)
33
2,100
・シャインマスカットに続く新品種の検討(試作品種の検討)
・基幹品種の栽培技術の確立(有望台木の選定、各品種の問題点対策試験)
・シャインマスカットの高品質果実生産技術の確立
(有望台木の選定、貯蔵技術の確立、シャインマスカットの問題点対策試験)
・鳥取型低コスト単棟ハウスにおけるブドウ栽培の検討(植付け樹の樹冠拡大及び果実調査)
合計
10,500

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

<目標>
(1)シャインマスカットに続く新品種の検討

ア シャインマスカットを親とする新品種の特性確認
・コトピー(赤系)、雄宝(青系)は平成27年4月に植付け、平成29年に初着果予定。
・ヌーベルローズ(赤系)は平成29年3月に植付け予定

イ 盆前出荷可能な品種の特性確認
・ブラックマスカット(黒系)は第13回系統適応性試験品種で、平成29年度は6年生となる。着色良好で盆前出荷が可能。小房小粒であったが年々果実品質が向上してきた。引き続き栽培特性を確認する。
・「04HS-4」(青系)は平成16年に砂丘地研究センターで交配(ハニービーナス×センテニアル)された新品種である。昨年までは棚トンネルハウスで栽培特性を調査してきたが、昨年5月に無加温ハウスの台木(テレキ5BB)に緑枝接ぎした。引き続き、棚トンネルハウスでの栽培特性を調査するとともに、無加温ハウスでの栽培特性の調査を始める。

(2)基幹品種の栽培技術の確立

ア デラウェアのジベレリン1回処理技術の検討
・昨年から試験を始めたが、昨年は慣行栽培に比べ、着色不良や果粒大小の混入で果実品質が劣った。摘粒の省力化は可能であり、処理法の検討を進めていく。

イ ピオーネの早期成園可能な台木の検討
・平成28年4月に二重ハウスに台木4系統(各2樹)を植付け、平成28年4〜6月にかけて各台木にピオーネ(羽合系)を緑枝接ぎした。平成29年から着果予定である。

(3)シャインマスカットの高品質果実生産技術の確立
ア 花穂異常による花振るい対策
・毎年、砂丘地を中心に春先に花穂異常が発生しており、発症した花穂は着粒不良、果粒の大小の混入、果型不良、品質低下となるため、対策が必要となっている。

イ 省力的な新梢管理法の確立
・昨年までに旺盛な新梢に応じた副梢の処理法について検討してきたが、適正な処理法が確立されていない。

ウ 早期成園可能な台木の検討
・平成28年4月に無加温ハウスに台木4系統(各2樹)を植付け、平成28年4〜6月にかけて各台木にシャインマスカットを緑枝接ぎした。平成29年から着果予定である。

エ 海外輸出を目指した長期貯蔵技術の検討
・全農とっとりは全国に先がけて長期貯蔵による海外輸出の実現に取り組み、砂丘地研究センターは試験協力を行ってきた。一昨年は香港到着後、腐敗果が多発した。昨年は特殊包装資材やフレッシュホルダーを香港まで装着する試験に取り組んだ(平成28年11月現在、試験結果は不明)。

(4)鳥取型低コスト単棟ハウスにおけるブドウ栽培の検討
・鳥取型低コスト単棟ハウスは野菜用に設計されており、ブドウ棚の設置等ブドウ用に改良して、砂丘地研究センター内に設置予定である。設置後は、シャインマスカットを使用し、植付法、樹形等を検討する。

これまでの取組に対する評価

<平成28年度外部評価委員会(事前)の結果>

  評点(平均):12.7  判定:◎   
 
  (評点12点以上は、研究を実施する)

【評価委員からのコメント】
・鳥取県の特色あるブランドの開発も意義あること、他産地と比較して味、形共に高い評価を欲しい。
・このような他県に先駆けた行政改良の継続は、産地維持に大切である。
・地域の気候や地質の違いにより、最適な栽培法を確立する研究で成果に期待する。
・生産者のニーズにもよく適合していると思う。

<事故分析>
・評価委員からのコメントのとおり産地や生産者のニーズを常に考慮しながら、実用的な試験研究を進めていく。

工程表との関連

関連する政策内容

オリジナル品種・高付加価値化技術開発

関連する政策目標

市場競争力のある鳥取オンリーワン園芸品種の育成

要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 0 0 0 0 0 0 0 0 0
要求額 2,100 0 0 0 0 0 0 0 2,100