全量駆除ではなく、優先的に守るべき区域を絞り込んだ上、必要な予防・駆除対策を行う。
(1)緊急対策区域
【緊急対策区域の考え方】
・緊急対策区域=被害拡大防止区域以西の区域
・重点対策区域=特に重点的な対策が必要な区域(大山山頂を中 心とした10km範囲)
※被害対策強化区域=国立公園内のミズナラ林等への更なる被 害拡大を防止する区域
・被害拡大防止区域=面的被害最先端部から東方約2キロメート ル程度の範囲の区域(県中部)
【補助率10/10の継続】
・全額助成がなければ、被害は加速的に大山周辺で拡大することが見込まれる。
・緊急対策区域の補助率:10/10
(2)被害対策区域の絞り込み
大山北側国立公園内や船上山周辺を中心とした被害対策強化区域を守るための「重点対策区域」及び県境付近を優先して対策するものとする。
(3)ナラ枯れ防除対策
穿入生存木へのビニール被覆によりカシナガの脱出防止を図ってきたが、これを縮小してカシナガトラップによる効率的な捕獲方法にシフトし、枯損木は立木くん蒸処理を集中して行うこととした。
(ア)立木くん蒸(枯損木)
被害木の樹幹にドリル穿孔し薬剤を注入し、カシナガを薬殺する。
(イ)カシナガトラップ
道路沿いの被害木周辺の大径木等にトラップを設置し、マスアタックにより穿入を始めたカシナガを捕獲殺虫し被害を予防する。
※対策の改善
○トラップ周辺健全木へのビニール被覆
トラップへの誘因効果を高めるため、トラップ設置木周辺の健全木にビニール被覆を施し、被害本数をさらに減ずる。
(ウ)その他の駆除方法
○伐倒搬出
被害木を伐倒し、チップ工場に搬出し破砕することでカシナガを駆除する。
○伐倒くん蒸
被害木を伐倒し、伐倒木にシートを被せ薬剤を用いくん蒸する
ことでカシナガを駆除する。
○立木シート被覆
被害木をビニールシート等で被覆し、カシナガの脱出を防止す
る。
○伐倒シート被覆
薬剤が使用できない地域で、被害木を伐倒、伐倒木をビニー
ルシート等で被覆し、カシナガの脱出を防止する。
○根株シート被覆
被害木伐倒後の根株をビニールシート等で被覆し、カシナガの
脱出を防止する。
(4)被害木調査
・県が航空機及びGPSにより被害木所在箇所の位置を特定し、市町へ情報を提供する。また、新規にドローンを導入し、被害の前線における詳細な植生調査を行うとともに、効率的な被害木特定に生かす。
・県及び市町は、航空機による探査結果に基づき、地上から調査し被害木の所在を特定。
(5)大山周辺区域のモニタリング調査
大山周辺区域及び重点対策区域で、調査対象木に粘着シートを設置し、モニタリング調査(調査時期:6月〜10月頃まで)を実施し、カシナガ捕獲頭数により生息区域、密度を監視し、駆除効果を検証する。
(6)県民等と連携した被害対策
広く県民等にナラ枯れという現象を理解していただき、「ナラ枯れ被害から大山周辺の自然を皆で守っていく」という機運を醸成するため、「ナラ枯れ体験学習ツアー(仮称)」を実施する。
(7)立木ビニール被覆の撤去
設置から3年を経過する立木ビニール被覆については、カシナガ脱出の可能性がほぼ無くなることから、ビニールを撤去する。