現在の位置: 予算編成過程の公開 の 平成29年度予算 の 農林水産部のナラ枯れ対策事業
平成29年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:林業費 目:森林病害虫防除費
事業名:

ナラ枯れ対策事業

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農林水産部 森林づくり推進課 −  

電話番号:0857-26-7298  E-mail:zaisei@pref.tottori.jp
  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
29年度当初予算要求額 87,494千円 17,486千円 104,980千円 2.2人 3.0人 0.0人
28年度当初予算額 107,028千円 18,715千円 125,743千円 2.4人 3.7人 0.0人

事業費

要求額:87,494千円  (前年度予算額 107,028千円)  財源:国1/2、一部単県 

事業内容

1 事業概要

県中西部を中心に発生しているカシノナガキクイムシ(以下、「カシナガ」という。)によるナラ類(コナラ、ミズナラ等)樹木の枯死被害の拡大防止のため、重点対策対策区域(大山山頂を中心とした10km範囲)を中心に、立木くん蒸等による駆除及びカシナガトラップによる予防を実施する。

    また、大山等県内の貴重な自然環境・森林景観を形成する区域への被害拡大を阻止することの重要性に鑑み、航空機による探査等により被害木の位置を特定し、効率的な駆除に努めることとし、必要経費を全額支援する。

2 背景と目的

(1) 背景
・カシナガの穿孔に伴うナラ枯れは、カシナガによって病原菌が媒介される樹木の伝染病であり、近年、被害が急速に顕在化しており、樹木の大径化が被害の発生要因と考えられている。
・本県においては、平成3年に旧福部村で初めて確認され、県東部を中心に被害が発生していたが、中西部にも拡大をしはじめたため、平成19年度に「鳥取県ナラ枯れ被害対策協議会」を設置し、国、県、関係市町が連携し、被害木駆除を開始。
・平成21年度に飛び地的に被害が見られた大山町で、徹底駆除、監視、防除により平成24年度まで枯死被害を抑制していた。
・更に、貴重なナラ林が集中している大山及びその周辺でも被害が複数箇所発生したことから、平成25年度に「大山広域ナラ枯れ被害対策協議会」を設置し、国・県・関係市町が連携して被害拡大防止対策を講じている。
・ナラ林を保全してくためには、引き続き、関係機関の連携を強化
しながら、被害木駆除を行っていくことが必要。

(2)目的
ナラ林保全による公益的機能の維持及び大山周辺の景観維持

3 事業内容

全量駆除ではなく、優先的に守るべき区域を絞り込んだ上、必要な予防・駆除対策を行う。

(1)緊急対策区域
【緊急対策区域の考え方】
・緊急対策区域=被害拡大防止区域以西の区域
・重点対策区域=特に重点的な対策が必要な区域(大山山頂を中 心とした10km範囲)
 ※被害対策強化区域=国立公園内のミズナラ林等への更なる被   害拡大を防止する区域
・被害拡大防止区域=面的被害最先端部から東方約2キロメート ル程度の範囲の区域(県中部)
【補助率10/10の継続】
・全額助成がなければ、被害は加速的に大山周辺で拡大することが見込まれる。
・緊急対策区域の補助率:10/10

(2)被害対策区域の絞り込み
大山北側国立公園内や船上山周辺を中心とした被害対策強化区域を守るための「重点対策区域」及び県境付近を優先して対策するものとする。

(3)ナラ枯れ防除対策
穿入生存木へのビニール被覆によりカシナガの脱出防止を図ってきたが、これを縮小してカシナガトラップによる効率的な捕獲方法にシフトし、枯損木は立木くん蒸処理を集中して行うこととした。

(ア)立木くん蒸(枯損木)

 被害木の樹幹にドリル穿孔し薬剤を注入し、カシナガを薬殺する。

(イ)カシナガトラップ

 道路沿いの被害木周辺の大径木等にトラップを設置し、マスアタックにより穿入を始めたカシナガを捕獲殺虫し被害を予防する。

※対策の改善

○トラップ周辺健全木へのビニール被覆

 トラップへの誘因効果を高めるため、トラップ設置木周辺の健全木にビニール被覆を施し、被害本数をさらに減ずる。

(ウ)その他の駆除方法
○伐倒搬出
 被害木を伐倒し、チップ工場に搬出し破砕することでカシナガを駆除する。

○伐倒くん蒸

 被害木を伐倒し、伐倒木にシートを被せ薬剤を用いくん蒸する

ことでカシナガを駆除する。

○立木シート被覆

 被害木をビニールシート等で被覆し、カシナガの脱出を防止す

る。

○伐倒シート被覆

 薬剤が使用できない地域で、被害木を伐倒、伐倒木をビニー

ルシート等で被覆し、カシナガの脱出を防止する。

○根株シート被覆

 被害木伐倒後の根株をビニールシート等で被覆し、カシナガの

脱出を防止する。

(4)被害木調査
県が航空機及びGPSにより被害木所在箇所の位置を特定し、市町へ情報を提供する。また、新規にドローンを導入し、被害の前線における詳細な植生調査を行うとともに、効率的な被害木特定に生かす

・県及び市町は、航空機による探査結果に基づき、地上から調査し被害木の所在を特定。

(5)大山周辺区域のモニタリング調査
 大山周辺区域及び重点対策区域で、調査対象木に粘着シートを設置し、モニタリング調査(調査時期:6月〜10月頃まで)を実施し、カシナガ捕獲頭数により生息区域、密度を監視し、駆除効果を検証する。

(6)県民等と連携した被害対策
 広く県民等にナラ枯れという現象を理解していただき、「ナラ枯れ被害から大山周辺の自然を皆で守っていく」という機運を醸成するため、「ナラ枯れ体験学習ツアー(仮称)」を実施する。

(7)立木ビニール被覆の撤去
 設置から3年を経過する立木ビニール被覆については、カシナガ脱出の可能性がほぼ無くなることから、ビニールを撤去する   

4 前年度との相違点

(1)対策区域の絞り込み
     H28サマーレビューにより、「被害木は全量駆除」から「区域を限定した駆除」への方針転換を行い、重点対策区域を優先して事業を実施することとした。
    (2)対策の強化
     昨年度大山町にて実施したトラップを、伯耆町等にも拡大し、更にトラップの周辺木にビニール被覆を施し、誘因効果を高める。
    また、鳥取森林管理署との連携を強化し、国有林内にもトラップの設置するよう検討を行っている。
    (3)ドローンによる詳細な植生調査及び被害木特定
    (4)県民等と連携した被害対策
    (5)立木ビニール被覆の撤去

5 予算額

区分
予算額(千円)
事業内容
補助金
(90,330)
  73,886
・駆除(立木くん蒸等)
・予防(カシナガトラップ等)
・被害木調査 等
委託料
(9,086)
5,500
・被害木探査
備品購入費
(0)
350
・被害木等調査用ドローン
標準事務費
(1,284)
1,284
その他
(6,328)
6,474
・非常勤職員
 (モニタリング調査、被害木調査)
(107,028)
87,494
※( )内は前年度当初予算額

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

1 ナラ枯れ被害について
・本県におけるナラ枯れ被害は、平成22年には6,284m3(対前年比:213%)と増加したが、年々被害が減少しつつあったが、平成27年度に増加に転じた。

2 ナラ枯れ対策について
・平成19年度から、県が設置している「鳥取県ナラ枯れ被害対策協議会」で、国有林・県・関係市町が連携して被害木の駆除に取り組むことを確認。

・平成21年度から、被害先端区域を指定し、県がヘリコプターとGPSを活用して被害木の所在箇所を座標特定する被害木調査を実施。平成25年度以降、緊急対策区域に名称変更。

・平成25年度に大山周辺で被害が増加したため「大山広域ナラ枯れ被害対策協議会」を設置し、関係機関で協力して大山周辺の被害木を徹底駆除することとしていた。

・平成28年度、「大山広域ナラ枯れ被害対策協議会」において、大山山頂から半径10kmの範囲の重点対策区域を優先的に駆除することとし、被害木処理の対象を原則として枯損木のみとした。

これまでの取組に対する評価

・航空機からGPSを用いて被害木調査をすることで、地上からは確認ができない奥地での被害木の確認が可能となり、効率的な被害木特定が可能となった。

・薬剤散布のように効率的な防除方法はないが、単木的な枯死被害木の駆除により、被害拡大防止が図れている。

・平成28年度から導入したトラップは、約230万頭のカシノナガキクイムシを捕獲した。トラップ周辺ではおおむね枯損木発生が抑えられており、一定の効果が見られた。

工程表との関連

関連する政策内容

森林病害虫被害対策の徹底

関連する政策目標

市町村等関連機関と役割分担の上、相互に連携しながら松くい虫及びナラ枯れ被害対策を徹底





要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 107,028 46,915 0 0 0 0 0 26 60,087
要求額 87,494 31,073 0 0 0 0 0 20 56,401