1 鳥取県における特殊詐欺被害の現状
鳥取県における特殊詐欺被害は、平成28年9月末現在で18件約5,504万円と、認知件数は前年同期比で4件減少、被害額は約2,000万円の増加となっている。
また、鳥取県における特殊詐欺被害者のうち、高齢者が占める割合は6割を超え(平成27年中)、高齢者に対する被害防止活動が求められている。
日々、特殊詐欺の手口も巧妙化しており、特殊詐欺事件捜査の最前線に立つ警察が、それらに応じた水際対策を行うとともに、県民に広く広報活動を行わなければ、鳥取県内における特殊詐欺被害の減少は望めない。
【特殊詐欺被害金額】
区分 | 平成25年中 | 平成26年中 | 平成27年中 | 平成28年※ |
鳥取県 | 9,188万円 | 1億5,909万円 | 7,150万円 | 5,504万円 |
全国 | 48,690百万円 | 56,550百万円 | 46,574百万円 | 25,373百万円 |
※鳥取県は9月末現在、全国は8月末現在
2 事業概要
これまで、被害防止の水際(金融機関等)に焦点を当てていた対策に加え、特殊詐欺被害の大半を占める高齢者自身にスポットを当て、高齢者に対する直接的な指導・訓練のほか、高齢者を取り巻く各事業者や地域サロンにも協力を求め、地域全体での高齢者(顧客)に対する重層的な被害防止対策を推進する。
鳥取県消費生活センターと連携し、これまでの取組に加え、
○ 電話対策(入口対策)
○ 被害に遭わないための対策(広報啓発)
○ だまされても被害金を渡さない対策(水際対策)
の3段構えの対策を図り、見守り活動の輪を広げ、地域ネットワークの構築にも資することを目的とする。
3 取組による効果
これまでの各種取組によって、着実に阻止率を高めていることから、被害ゼロを目指して取組を続けていく必要がある。(平成26年8月から事業開始)
平成25年1月〜9月 45.0パーセント(18件/40件)
平成26年1月〜9月 61.4パーセント(35件/57件)
平成27年1月〜9月 68.4パーセント(39件/57件)
平成28年1月〜9月 69.5パーセント(41件/59件)
※阻止率=阻止件数/認知件数
4 要求内容
非常勤職員(特殊詐欺被害防止アドバイザー) 4人
要求額 10,044千円(5,022千円)
財源:国費10/10
地方消費者行政推進交付金(消費者庁)
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5 事業内容
専門的知識を有する警察官OBを非常勤職員(特殊詐欺被害防止アドバイザー)として雇用し、以下の事業を実施する。
(1)電話対策(入口対策) |
ア 【新規】捜査の過程で押収した名簿データを活用した高齢者個別訪問活動
警察が、捜査の過程で押収した、犯行グループが用いた名簿への登載者の居宅を戸別訪問し直接注意喚起を行うことにより、被害に遭わないための被害防止対策を推進する。
(年間2,000件〜2,500件)
同名簿は、警察のみが把握する情報であるため、真に被害防止対策が必要な県民に被害防止を働き掛けることが可能 |
イ 不審電話対策機器の普及
消費生活センターにおいて所管している不審電話対策機器について、広報・訓練等の機会を捉えて積極的に周知し、同機器の普及を図る。 |
(2)被害に遭わないための対策(広報啓発) |
ア 【新規】防犯ボランティア、防犯連絡所等に対する出前講座
防犯ボランティア、防犯連絡所、地域サロン等の各種会合において出前講座を開催するほか、機会を捉えて、消費生活センター作成のテキスト等を配布し、地域における自主防犯意識の向上を図る。 |
イ 【新規】高齢者福祉施設対策
高齢者が通所している福祉施設を訪問し、高齢者自身のほか施設職員に対しても教養を行い、警察との連絡体制を確立するほか、訪問先においても注意喚起が行えるよう協力を求める。
実際に警察官OBが行う注意喚起であり、タイムリーな情報を交えながらの広報となるため、形式的な広報とならず、その重要性が理解されやすい。 |
ウ 【新規】電器店、携帯電話会社等の事業者に対する重層的な被害防止対策(防犯CSR活動)
被害者等と日頃から接する機会がある電器店、携帯電話会社、証券会社等の各事業者に、事業者としてできる見守り活動の協力を求め、賛同事業者とともに重層的な対策を推進する。※CSR…企業の社会的責任 |
(3)だまされても被害金を渡さない対策(水際対策) |
ア 【継続】金融機関・コンビニエンスストア等の事業者における被害防止対策
【既存部分】
各金融機関・コンビニエンスストアを巡回し、その職員に対して、ロールプレイングによる効果のある声掛けの方法を指導訓練し、高齢者(顧客)に対する被害防止対策を推進する。
【新規部分】
金融機関防犯協議会やコンビニエンスストア等防犯協議会、各家電量販店等に働きかけ、高齢者に対する見守り活動ができる環境作りを行う。
また、消費生活センターと連携し、長年警察が蓄えてきたノウハウを十分に活用しながら、対象者の発見から通報・警察官の臨場に至るまでの一連の流れを、金融機関職員・居合わせたお客を交えて模擬訓練を行う。 |
イ 【新規】無人ATM対策
被害者が誘導される無人ATMの警戒のほか、設置管理者やATM周辺施設管理者に対する被害防止のための注意喚起協力を依頼し、見守り活動の輪を広げる。 |
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