空き家等を解消し、利活用するための取組として、近年リノベーション手法が注目されており、県内でも普及し始めたところである。
しかしながら、空き家物件所有者は、
・知らない人に物件を貸し出す
・法規制(建築基準法、消防法等)への対応がわからない
・改修費用の調達 等
の課題を抱えており、リノベーションに踏み切れないという実態がある。
また、市町村等による「リノベーションスクール」の取組により、地域のリノベーションに自ら取組もうと動き出している人材も出ているが、上記の課題を抱えている物件所有者との間に立って指導、支援するところまで育っていないのが現状である。
これらの課題を解決し、リノベーションの取組を、点からエリアへと拡げる次の段階に進めていくためには、埋もれている空き家等物件を掘り起こし、物件所有者、事業者、民間まちづくり会社等を触発しマッチングさせることにより、リノベーションの取組に繋げる体制を構築することが求められる。
このため、リノベーションコーディネート機能を強化し、
・リノベーション事業の魅力発信
・事業者による起業への支援
・まちづくり人材の育成 等
の取組を進めることで、リノベーションの取組を加速させ、にぎわいのあるまちなかづくりを推進する。
〔今後の展開イメージ〕
県は、2年程度(H28・H29)に期間を区切って、コーディネート機能を強化することで、
・市町村は、コーディネーターと連携して、空き家対策としてのリノ ベーションに関する取組を進めることで、関係機関との連携を深め、リノベーション事業に対する知識を吸収し、独自に取組を実施できるようにする
・民間は、リノベーション事業の取組に参画するなかで、リノベーション事業の知識を吸収することで、独自でリノベーション事業を実施していき、一般的に業として成り立つようにする
※リノベーション
建築物における新築時の目論見やあり方を見直し、異なる次元(用途)に改修する行為をいう(規模や金額の大小は問わない)。
県内の状況
・本県には、37千戸の空き家(うち持ち家24千戸、賃貸13千戸)が存在し、空き家率が14.4%(全国平均13.5%)と高く、将来さらに増加することが見込まれる。
このまま、空き家を放置することは、将来的に老朽化や放置による倒壊、衛生・防犯・景観の悪化等へつながり、県民の生活環境を脅かすことが強く懸念される。
政策目標
・空き家・空き店舗利活用のためのマッチング件数(年間)
平成31年度200件(平成26年111件、平成27年度142件)
○リノベーションコーディネート機能強化事業
市場に流通していないまちなかの空き家を掘り起こし、利活用を進めるため、民間で組織する協議会のコーディネート機能を強化する。[民間協議会への補助 : 補助率2/3]
項目 | 内容 |
対象事業 | (1)リノベーションコーディネート機能の強化
(拡充)
とっとり空き家利活用推進協議会を通じて人材を派遣し、コーディネート機能を強化することで、次の業務を実施
○関係者とのマッチング及び事業実施に向けた支援等
・市町村や民間に対して、リノベーションによる活用が可能な物件に関する知識を提供することで、空き家の掘り起こしを支援する
・対象となった物件を、物件所有者、民間まちづくり会社、事業(希望)者、建築の専門家(建築士等)、市町村、まちづくりに関心のある若者等とマッチングすることで活用を促進する
・高度で専門的な知識(建築、法令等)による指導、関係者等によるワークショップ等の実施
(2)先進事例を基にしたまちづくり人材の育成
(拡充)
・人材育成のため、県内で最前線で活躍する実践者(トップランナー)を招いて、県内の実情に即したリノベーション事業化案件等について、直接指導を実施
〔市町村及び民間の役割〕
○市町村
・独自に取り組む空き家対策の中で掘り起こした空き家のうち、リノベーションでの活用が期待できる物件を提供
・リノベーションの取組に参画することで、リノベーションに関する知識や、関係機関との連携を深める
・個別の空き家改修等に関する費用について財政支援
○民間
・民間関係団体は、業による流通が難しい物件についての情報を提供
・民間関係団体は、建築等に関する専門的な知識を提供し、取組を支援
・事業者は、リノベーションの取組に参画することで、事業を実施する |
予算額 | 金3,800千円(全体事業費5,700千円) |
補助先 | とっとり空き家利活用推進協議会 |
※とっとり空き家利活用推進協議会
空き家の利活用について民間関係団体の連携により取り組むため、建築士会及び宅建協会等の民間団体が中心となって、平成28年7月に設立。