1 現状・背景
○築後相当年数を経過した学校施設等について、今後急速な老朽化と整備需要の急増が予想される状況の中で、施設の改築でなく、長寿命化改修による施設の長寿命化への転換が求められているが、これまでは耐震化事業等に優先的、重点的に取り組んできたため、最低限の事後保全しかできておらず、施設の十分な保全対策ができていなかった。
○しかし、校舎等の耐震化などに一定の目処が立ってきたので、今後は施設の長寿命化に取り組んでいくこととしているが、屋上防水や外壁等で耐用年数超過による劣化が著しく、緊急に予防保全を含めた対策が必要となるような状況となっており、耐用年数の超過で他の部分でも劣化が進行していると想定される状況である。これへの対策が遅れた場合、全面的な大改修が必要になったり、長寿命化改修による駆体保全ができなくなり、建物の建替えが必要となるおそれがある。
2 事業概要
整備後相当期間経過した県立学校施設について、施設の老朽具合の状態、改修履歴等を中心とした調査を実施する。
なお、この調査により施設の現状把握を行ったのち、今後の改修や予防保全による長寿命化の改修計画の検討を行っていく。
3 事業内容
(1)調査対象
屋上防水・外壁、受変電設備、給排水設備などの予防保全を要するもの
(2)調査内容
設置箇所、材質、仕様(種類・容量・能力など)、数量(台数、面 積)、最終更新年度、概算更新費用、状態(劣化度)[写真添付]
(3)調査方法
1.図面、工事書類調査
2.現地確認(・名盤による製造者、仕様、製造年などの確認
・状態(劣化度)の確認)
3.概算費用の算出(・見積り ・概算積算)
4 事業の必要性
(1)予防保全の必要性
事後保全での対応は施設痛みやすく寿命を縮めている。
1.屋上防水
防水シートの経年劣化による水分等の駆体への浸入により鉄筋コンクリートの耐久性が低下するので、防水シートが破損する前の改修が必要である。
2.外壁
ひび割れから雨水が浸入すると鉄筋が錆び、鉄筋が錆びて膨張することによりコンクリートが剥離し鉄筋が露出し、更に鉄筋の錆びが進むことにより加速度的に劣化が進むので、ひび割れ等の初期段階で改修することが必要である。
3.受変電設備
学校施設は高圧で受電しており、受変電設備機器・配線の劣化が進むと絶縁不良などにより施設全体への送電ができなくなり、復旧には数ヶ月を要する場合も有り、その間、電灯、コンセントなどの一切の電気が使えなくなり、学校運営に致命的な支障になる。
また、高圧設備の不具合は人命に関わる事故や周辺施設全体に影響を及ぼす波及事故につながる恐れもあるので老朽した設備については事前に改修する必要がある。
4.給排水設備
配管、受水槽の漏水、ポンプの不動作が起こると給水ができなくなり、手洗い、トイレなどが使用できなくなる。
さらに埋設配管の漏水が発生した場合、不具合箇所の特定が非常に困難であるため広範囲の配管更新が必要となり、復旧に数ヶ月かかる場合もあり、学校運営に多大な支障になるので、老朽化した設備については事前に更新する必要がある。
(2)調査の必要性
現状では各学校、各棟の建物、設備等については、文科省からの通達により作成している公立学校施設台帳、又は公有財産事務取扱要領で定めている工作物台帳により、構造、設置年を整理している程度であり、改修の履歴や状態(劣化度)まで台帳では把握することはできない。
また図面や工事書類も原則としては学校が管理しているが、教育環境課が保管しているものや工事管理者である営繕課、各生活環境局が保管しているものもあるなど予防保全計画の検討に必要な情報が一元化されていないのが実態。
このような状況では予防保全の計画を立てることはできず、計画的な長寿命改修を進めることはできない。
5 実施方法の見直し
| H26要求時 | H29要求 | 備考 |
調査内容 | 施設の現況調査 | 施設の現況調査 | |
対象改修 | 事後保全
予防保全 | 予防保全 | 床タイル、洗面器具など事後保全により対応可能なものは行わない |
対象施設の面積要件 | 無し | 概ね1,000m2以上など備考のとおり | 管理棟、教室棟など機能が失われると学校運営に多大な支障が出る棟 |
対象施設の築後年数要件 | 無し | 概ね築後50年以上 | 施設の耐用年数を超過している施設を緊急的に実施 |
対象施設数 | 学校施設:34施設
社教施設:19施設 | 学校施設:10施設 | |
その他作成を委託するもの | 施設別保全計画 | 設備更新の概算額の算出程度 | 具体的な保全計画については、営繕課の結果を踏まえて作成する予定 |
要求 | 187,929千円(3ヶ年計画) | 7,396千円 | |
6 要求額
計 7,396千円
<建築> 計 3,942千円
東部 1,518千円 中部 956千円 西部 1,468千円
<設備> 計 3,454千円
東部 1,344千円 中部 762千円 西部 1,348千円