事業概要
現在、十分に活用されていない漁港スペースを利用して、漁港内で漁獲物の短期養殖を行い、販売することで、漁獲物の付加価値向上および漁港の有効活用を図ることが期待されている。
本事業では、漁港内での養殖・飼育等の技術的な可能性を試験していくとともに、短期養殖による付加価値向上および漁港内養殖の収益性について検証を行っていく。
内容
漁港内での養殖事業の可能性を検証するため、3カ年に渡って、養殖試験を実施していく。
本事業は、漁協と連携して、共同試験を行い、生産品の販売試験を行うことで、市場性の評価および港内養殖事業としての収益性等も評価していく。
H29年は、「ウマヅラハギ」および「アジ」を、漁港内で短期養殖し、以下のような点について試験を行っていく。
試験項目 | 内容 |
1.短期養殖試験 | 水温が低下に向かう秋季(9月頃)に、異なる漁法で漁獲されたウマヅラハギ、マアジ等を漁港内に設置した小割生簀で給餌飼育を行い、生残、成長、品質(肝臓重量比率や脂肪含有量等)を把握する。 |
2.販売試験 | 生産した魚を漁協の販路を活用して商談・販売試験を行い、販売可能な価格帯を確認する。 |
【試験期間】
H29年度〜H31年度
背景
・県内には18の漁港があるが、漁業者や漁船は減少にあり、
活用が十分でない状況が生まれている。
・漁協では、漁港等が持つ静穏性に着目し、県内5地区の港内を活用し、冬季のワカメ養殖等を行っているが、その活用期間は冬期に限定されている。
・このため、漁協からは定置網やかご網で漁獲される魚の港内養殖ついて研究して欲しいとの要望も寄せられている。
・漁港内は潮通しが悪く、一年を通じた温度変化も極めて大きいと推定され、魚類の長期的な飼育には不適な場所と判断されることから、これまで漁港内での魚類養殖の検討はほとんどなされていないが、短期的な養殖や畜養であれば、可能性があると考えられる。
・地形的に美保湾以外の海面養殖適地がない本県にとって、港湾内の静穏性に着目した養殖の可能性は検討すべき課題と考えられる。
期待される効果
旬と異なる時期に漁獲された魚種などを、短期養殖することで、身質等が改善され、より品質、評価が高い魚を生産、提供することが可能となり、以下のような効果が期待される。
<生産者(漁協・漁業者)>
・漁獲金額増大
・新たな商品開発及び計画出荷による販路拡大
<消費者>
・高品質かつ豊かな食材の供給による地元の活性化。