1.背景・目的
(1)広域防災拠点の整備
1)中核的な広域応援受入施設の整備
(広域応援受入れ機能)
緊急消防援助隊や自衛隊等のベースキャンプ候補地として指定されている中から、一定規模の広さを有し、液状化・浸水可能性等の危険性が少ない地点を中核的な広域応援受入れ機能をはたす拠点として指定する。
この中核的な拠点には、進出・駐屯した応援部隊、自隊の上部組織、他のエリアに入っている部隊と行う連絡調整や、災害情報システムを介した情報共有を円滑に行うことができる設備を確保しておく必要がある。
2)災害時物流の体制の整備(救援物資の中継・配分機能)
平成28年4月の熊本地震の物流停滞を踏まえ、県内の各圏域に既存の公有施設や民間施設を活用した物流拠点を複数、分散配置し災害時物流を確保するよう検討を進めている。
⇒ 熊本地震では、集中型の拠点として予定されていた施設が被災し、代替の物資集積拠点に支援物資を積載したトラックが集中し滞留したため、避難所において食料等の物資が不足する事態が発生した。
⇒ 本県では、平成28年9月に災害時物流確保対策検討会を立ち上げ、物流専門家とともに議論を重ねている。
⇒ 平成29年9月の中四国サミットにおいて、既存の民間施設も活用した物流体制のあり方を検討していくことが合意されたところ。
※広域防災拠点に必要な機能
ア)広域応援受入れ機能
イ)救援物資の中継・配分機能
ウ)資機材、物資備蓄機能(県・市町村の連携備蓄→各市町村や県の備蓄倉庫)
(2)ブルーシート備蓄の充実
平成28年10月の鳥取県中部地震では、瓦が落ちた屋根の応急補修で使うブルーシートが大量に必要となったが、県、被災市町村で確保に苦慮したことを踏まえ、平時からの備蓄数を増強する必要がある。
2.事業概要
広域防災拠点に必要な機能のうち「広域応援受入れ機能」、「救援物資の中継・配分機能」等について、熊本地震等も踏まえた実効性のある体制を確保する。
また、中部地震の経験を踏まえ、県と市町村が連携しブルーシートの備蓄の積み増しを行う。
【平成29年度の取組】
1)広域応援受入れ機能
ア)中核的な広域応援受入施設の指定
緊急消防援助隊や自衛隊等が選定しているベースキャンプ候補地の中から、施設規模、ハザード情報などを勘案し一定の施設を選定。
⇒ 大規模部隊の進出・駐屯が円滑になされるための整備すべき通信設備や災害対応用トイレの内容を決定。
2)救援物資の中継・配分機能
ア)県内各圏域に物流拠点となる施設を選定
物流事業者のトラックタ-ミナルや営業倉庫などの専用施設、災害時応援協定に基づくJA保有施設(選果場等)、米子コンベンションセンターなどの県有施設
※ いずれも支援物資の受入れ、仕分け、積替え、市町村の物資集積場や避難所へ運送する物流拠点として利用
イ)災害時物流の基本計画骨子を決定
災害時物流に係るオペレーションマニュアルを策定するための骨子策定。
ウ)トラック協会および倉庫協会との災害時協定締結
【平成30年度の取組】
1)中核的な広域応援受入施設の機能整備
(各圏域1箇所程度を先行整備)
ア)通信設備の整備
大規模地震では地上系のデータ回線や通話回線が被災する可能性があるため、衛星電話や衛星データ回線、WiFiによる衛星回線と地上波両方でのデータ通信環境を整備する。
イ)災害対応トイレの配置
応援部隊の装備品では不足することが懸念されるため、災害対応トイレを配置する。
ウ)非常電源設備の検討及び確保
応急活動に必要な最低限の非常電源設備の確保について平成30年度検討を行い必要があれば補正予算で対応する。
2)災害時物流の体制の整備(救援物資の中継・配分機能)
災害時物流体制を実効性のあるものとするため、災害時物流に係るオペレーションマニュアルの策定、市町村の備蓄倉庫の物資の搬入搬出の容易性やトラックのアクセス性について、点検調査を実施。
3)ブルーシート備蓄の増強
鳥取県中部地震の経験を踏まえ、ブルーシートについて備蓄枚数の増強(県全体で1万枚)を図ることとし、県と市町村が1/2ずつ備蓄。(鳥取県中部地震、鳥取県西部地震では市町村備蓄で対応できない枚数を県が調達)
【1万枚の算出内訳】
・平成28年10月21日の総調達総数
24,676枚(うち、県保有、県内協定先3,904枚)
⇒中部地震を踏まえ、県内調達以外の枚数21,000枚を今後の備蓄目標に設定。
・現在、県と市町村で連携備蓄では11,000枚(規格指定なし)を備蓄。 ⇒ 今回、1万枚を追加。
3.事業(要求)内容
(1)中核的な広域応援受入施設の機能整備
ア)通信設備の確保
広域防災拠点(3カ所分)に衛星回線設備、無線LANを導入する。
イ)災害対応トイレの確保
広域応援受入れを想定し、災害対応トイレ(1ヶ所5基×3ヶ所)を購入する。
(2)災害時物流の体制の整備
ア)オペレーションマニュアルの策定
物流専門家(大手物流事業者)を交え「(仮称)災害時物流関係機関連携強化推進会議」を開催し、災害時物流に係るオペレーションマニュアルを策定する。
事業費(報償費) | 300千円 |
(特別旅費) | 300千円 |
イ)市町村備蓄倉庫等の実態調査
災害時物流の体制強化を図るため、市町村の備蓄倉庫等の現状調査を実施。
<調査項目(案)>
1)備蓄倉庫への大型車両のアクセス性(周辺道路の幅員や形状、施設進入路や、備蓄倉庫の車両への荷役性(駐車可能場所との位置関係、積込み作業の容易性)など
2)倉庫内の物資の保管状況(取り出しの容易性)など
(3)ブルーシート備蓄の増強
県と市町村で取組んでいる連携備蓄の一環としてブルーシート(#3000−3.6×5.4m)を購入。
5,000枚(県)、5,000枚(市町村)