新たに発見されたF55断層(鳥取県沖の海域断層)や佐渡北方沖津波の影響により増加した津波関係の新たな被害、現在作業中の宍道断層延長に伴う被害増を盛り込んだ新たな被害想定をもとに、現行の防災減災目標を下回らない水準となるよう、震災対策アクションプランを策定する。
現行地震対策アクションプランの減災目標
死者数を80%以上、直接被害額を40%以上減少させる。 |
○関係部局から集約する各種施策の目標値をもとに、減災効果(減少できる死者数、直接被害額)を算定する(委託)とともに、現行目標を下回らないよう施策項目・目標値について関係部局と協議・調整
<減災効果計算を行う主な項目>
(1)建物の減災効果
耐震化向上による建物被害(直接被害額)及び人的被害の低減効果を算出
・建物耐震化の進捗に、250メートルメッシュごとに(市町村別の減災効果を算出する必要があるため)建物の建築年度なども組み合わせて算出
・建物の被害率を基にメッシュごとの死傷者数を算定
(2)火災被害の減災効果
・初期消火率の向上(自主防災組織率、LPガスボンベ固定率、火気器具転倒防止、都市ガスマイコンメーター、電線への建物倒れ込み防止)+都市計画道路による延焼防止効果+感震ブレーカー設置=焼失棟数(直接被害額)の減少効果を算定
・焼失棟数などを元に死傷者数を算定
(3)急傾斜地域崩壊危険箇所の対策整備率を元に死者数の減災効果を算定
(4)家具固定率向上による死傷者数を算定
○防災減災目標計算に連動しない定性的施策・目標に、災害時支え愛マップづくり、災害ケースマネジメントなどの新たな取り組みを追加
○津波関係被害への対応について新たな定性的施策・目標を設置
本県が位置する山陰地方においては、昭和18年の鳥取地震、平成12年の鳥取県西部地震及び平成28年の鳥取県中部地震で大きな被害を受けていることや、本年4月の島根県大田市を震源とする地震にみられるように、兵庫県北部から大田市あたりにかけ東西にひずみが集中しており、地震が起こりやすい地域と言われている(山陰地方では30〜40年周期でマグニチュード6台の地震が発生)。
このため、新たな被害想定をベースに減災目標の設定とアクションプランの改定を行い、地震減災対策に取り組む必要がある。
○地震防災対策特別措置法の改正
平成18年の改正で、都道府県地域防災計画等において、想定される地震災害を明らかにして、当該地震災害の軽減を図るための地震防災対策の実施に関する目標を定めるよう努めるものとされた。
○津波防災地域づくりに関する法律の制定(平成23年12月)
本県では、平成23年に津波被害想定を策定(東日本大震災が契機)。
その後、津波防災地域づくりに関する法律が制定され、法に基づく浸水想定の設定、市町村による推進計画の策定、津波災害警戒区域等の設定により、ハード・ソフトの対策に取り組むこととされた。
本県では、平成30年3月に新たな知見により見直した浸水想定を公表した。
※津波防災地域づくりに関する法律の概要
市町村は「津波防災地域づくりを総合的に推進するための計画 (推進計画)」を作成することができる。
→ 県では、警戒避難体制の確立のため津波災害警戒区域の設定を目指しており、また、推進計画策定を希望する市町村には技術的支援を行う予定
(支援を行う際には、正確な被害想定とともに、津波対策の参考となる専門的な知見に基づくアクションプランが必要)
○新たにアクションプランに盛り込む必要がある新たな知見
最新の被害想定では、当初のアクションプラン策定時では想定されていなかった、F55断層(鳥取県沖の海域断層)、佐渡北方沖津波の影響により、半壊建物の数が3倍になるなど、大きな被害が想定されており、今回の見直しでは、最新の被害想定を踏まえ、前回のアクションプランにはなかった津波を想定した避難行動の意識等に関する目標、津波災害警戒区の設定、津波防災地域づくりを総合的に推進するための計画策定などについての目標設定を検討。