1.概要
・卒後おおむね5〜10年目程度の医師を鳥取県職員として採用し、県外の医療機関において半年〜2年間の研修を行う。
・研修終了後は、研修期間の2倍に相当する期間を県内の医療機関で勤務して、修得した技術の活用と、後進の指導に当たっていただく。
2.目的
若手医師の県内への定着を図るため、次のとおり行う。
・研修医(卒業後1〜2年)、専攻医(卒業後3〜5年)を指導する指導医の能力を高めることで、県内の研修プログラムの魅力を高める。
・職員として採用されることが難しい県外の高度な臨床・研究を行っている機関で医療に従事する機会を設けることで、優秀な指導医が県内に残って勤務するインセンティブ(動機付け)とする。
3.背景
(1)次代を担う、県内の20〜30歳代の医師は減少している。
| 平成16年
(2004年) | 平成26年
(2014年) | 差引 | 増減率 |
20歳代 | 156人 | 131人 | △25人 | △16% |
30歳代 | 406人 | 316人 | △90人 | △22% |
計 | 562人 | 447人 | △115人 | △20% |
(厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師調査)
(2)医学生が研修病院を選ぶ際には、指導内容を重視している。
病院の実績や研修の指導体制がよい | 64.3% |
プログラムの内容がよい | 61.1% |
給与や勤務条件がよい | 29.9% |
実家に近い | 26.8% |
現在の自分の居住地に近い | 14.2% |
(医師臨床研修マッチング協議会 2015年度学生参加者アンケート プログラムを選んだ理由(複数回答)より抜粋)
4.事業内容
(1)事業の概要
県外医療機関での研修を希望する医師を、県職員として採用し、当該医療機関に派遣して研修を行う(2か月〜2年間)
・「鳥取県医師登録・派遣システム」の定員枠を利用
・人件費を県が負担(時間外勤務手当等は派遣先負担)
・県内医療機関で研修期間の2倍の期間(最低1年間)を勤務し、修得した技術・知見の県内医療機関への還元を図る。
(2)定員 3名以内
「鳥取県医師登録・派遣システム」の定員は、「地域医療ローテートコース」、「子育て等離職医師復帰支援コース」、「専門研修医師支援事業」の3区分を合わせて5名以内
(3)募集の方法
募集期間を設定してホームページや病院等への通知により公募し、県・医療関係者等による選考を行い、派遣対象者を決定する。
(4)その他
・研修テーマは、救急、総合医療、がん診療、小児・周産期医療など、本県で必要とされる分野とする。
・県職員として採用するため、地方公務員の欠格条項に該当しないことが必要。
5.予算要求内容
・特別旅費:141千円
本県で勤務を希望する医師が、実際に本県の医療機関を訪問して職場日・環境に触れるための経費(東京〜鳥取を飛行機で往復・1泊2日・2回分)
70,220円×2回=140,440円
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
本事業のほか、若手医師の県内定着に向けて次のような事業を実施している。
・医学生に向けて、県内での一定条件を満たした勤務により返済を免除する奨学金をつくっている。
・県内の基幹型臨床研修病院(8病院)とともに県臨床研修指定病院協議会をつくり、医学生や研修医への支援を行っている。
これまでの取組に対する評価
・平成16年からの新しい臨床研修制度で県内の若手医師が激減し。
・様々な取り組みの結果、医師臨床研修マッチングにより県内の病院で卒業直後の臨床研修を行う研修医は、平成26年度(平成27年3月卒業、同年4月から臨床研修):30名→平成27年度:41名→平成28年度:51名と復調する傾向にあり、取り組みの成果が出ている。