これまでの取組と成果
これまでの取組状況
県は、感染症発生に備えた体制作りを医療機関や市町村の協力の下、進めている。これには、感染症発生時の検査体制、感染症の発生を探知する監視体制、患者を受け入れる感染症指定医療機関の整備などがある。
1 感染症発生時の対応
腸管出血性大腸菌感染症、麻しん、レジオネラ症といった感染症発生時には、福祉保健局が患者や周辺の調査を実施し、感染原因の究明や感染拡大の防止策をとっている。また、必要に応じて衛生環境研究所で検査を行い、病原体の特定を行い、感染拡大防止や治療に役立てている。
2 発生動向調査
全数把握の感染症についてはすべての医療機関で、感染症発生動向調査による定点把握感染症については、感染症定点の医療機関から、感染症を診断した医師は保健所(福祉保健局)に報告を行い、感染症の流行の実態を早期かつ適確に把握する体制をとっている。感染症の流行を早期に探知し、収集した情報を地域に還元することにより、患者の早期発見、早期治療、予防対策などに役立てている。
3 感染症指定医療機関の運営費補助事業
県が指定する第一種及び第二種感染症指定医療機関の設置者に対して、施設運営費を助成することにより、感染症発生時の患者受け入れ先を確実に確保する。
4 危機管理体制の整備
万が一の感染症発生に備え、各都道府県の連繋や県内関係機関の連携が必要。また、感染症が発生した場合の入院措置の決定や医学的な助言を行う感染症診査協議会を設置している。
これまでの取組に対する評価
医療従事者、保健所などの対応により感染症の早期発見と感染拡大防止が実施できていると考える。
しかし、近年は、エボラ出血熱、デング熱、MERSといった新たな事案が次々と発生しているため、関係者との連携協力により迅速かつ的確な対応を実施するための体制整備が必要となっている。
平成26年3月以降のギニア、リベリア、シエラレオネを中心としたエボラ出血熱の流行に対しては、マニュアルを整備するとともに、訓練等を通して関係機関と連携した体制整備を行っている。
また、感染症の予防活動については、国は平成27年度までの達成を目標としていたため、近年特に麻しん患者発生の削減に力を入れ、予防接種の接種勧奨や感染予防の普及啓発に努めてきたた。平成27年3月27日に日本の麻しんが排除状態にあるとの認定を世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局から受けた。国は認定後も排除状態を維持することを目標としているが、国内においては、海外輸入例を発端とし、地域的な流行がみられることから、麻しん対策を継続していく必要がある。