1 概要
風しんの再流行を防ぎ、生まれてくる子どもを先天性風しん症候群から守るため、妊娠を希望する女性及びその配偶者等に対する風しん抗体価検査及び抗体価の低い者等に対する風しんワクチン接種費用助成を実施する。
2 内容
1.風しん抗体価検査 4,090千円(国補助1/2)(4,387千円) |
(1)保健所検査
<対象者>
・無料対象者(国庫補助対象)
妊娠を希望する女性及びその配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)等(国補助対象に準ずる)
・有料対象者
無料対象者以外の者
<実施主体>
鳥取県
(2)医療機関検査
<対象者>
・無料対象者(国庫補助対象)
保健所検査の無料対象者と同様
・有料対象者
保健所検査の無料対象者と同様
<実施主体>
鳥取県(各地区医師会に委託)
[対前年比 297千円減]
鳥取保健所分の検査費用減額による減 |
2.風しんワクチン接種費用助成 1,976千円(単県)(2,000千円) |
下記対象者に対する「麻しん風しん混合ワクチン」又は「風しんワクチン」の接種費用の助成を行う市町村に対し、その助成費用の一部を補助する。
<対象者>
・風しん抗体価の低い女性(変更点:年齢制限を撤廃)
・妊娠している女性の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)
<実施主体及び助成の考え方>
・実施主体は市町村。市町村負担額の1/2を県が補助
・県補助上限額4,000円(麻しん風しん混合ワクチン費用12,000円の1/3相当額)
[対前年比 24千円減]
市町村のワクチン接種費助成見込額の減少による減 |
3 背景
■平成24年から25年にかけて全国的に風しんが流行し、平成25年には1万4千人超の発生報告があり、平成20年の全数把握調査開始以降、最多となった。
■本県においても、平成25年に32人の患者が発生し、平成20年以降、最大の流行となっている。
■平成24年から25年にかけての流行は、かつての流行と異なり、幼少期の定期予防接種の機会がなかった20〜40代の成人男性及び定期予防接種の接種率が低い成人男女が中心であり、これら風しんに対する免疫の低い世代への対策が必要である。
■妊娠初期の人が風しんに罹患すると、出生児に「先天性風しん症候群(CRS)」(白内障、先天性心疾患、難聴等の先天異常)が発生する恐れがある。CRSの発生を防ぐためには、妊婦や妊娠を控えた女性自身の罹患予防のみならず、周囲にいる配偶者や家族等の罹患による妊婦への感染の防止も重要であり、免疫の低い者に対する予防接種の推進が必要である。
■平成24年から25年の全国的な流行を受け、国は、平成26年度から妊娠を希望する女性及びその周囲の者を対象とした無料抗体価検査に対する国庫補助を実施。30年度も予算要求が行われている。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<平成24年度以前>
○保健所風しん抗体価検査(有料)の実施
<平成25年度>
○保健所風しん抗体価検査(有料)の実施
○風しんワクチン接種費用助成(6月補正事業:鳥取県風しんワクチン接種費緊急助成補助事業)
(1)内容
妊娠を希望する女性や妊婦の夫に対する接種費用の助成を行う市町村に対し、その助成費用の一部を補助
(2)対象者
・19歳以上50歳未満の女性
・妊娠している女性の配偶者
(3)実施主体及び助成の考え方
・実施主体は市町村。市町村負担額の1/2を県が補助。
・県補助上限額4,000円(麻しん風しん混合ワクチン費用12,000円の1/3相当額)
(4)対象期間
平成25年6月1日から平成26年3月31日接種分まで
<平成26年度>
○保健所風しん抗体価検査の無料実施
○医療機関での風しん抗体価無料検査の開始
○風しんワクチン接種費用助成(鳥取県風しん対策特別促進事業)
(対象者)
・19歳以上50歳未満の女性のうち、風しん抗体価の低い者
・妊娠している女性の配偶者
対象者以外の内容は、25年度補助事業と同様
<平成27-29年度>
平成26年度事業を継続実施
<平成30年度>
○風しんワクチン接種費用助成の対象者について、年齢制限を撤廃
これまでの取組に対する評価
<風しん抗体価検査>
○抗体価検査受検者数
(保健所検査)
・H21年度・・・2人
・H22年度・・・2人
・H23年度・・・2人
・H24年度・・・27人
・H25年度・・・ 646人 ←H24〜25 風しんの全国的流行
・H26年度・・・ 254人 ←検査無料化、医療機関での無料検査開始
・H27年度・・・ 162人
・H28年度・・・ 89人
・H29年度(9月末時点)・・・ 49人
(医療機関検査)
・H26年度・・・ 660人 ←医療機関でも無料検査開始
・H27年度・・・ 541人
・H28年度・・・ 585人
・H29年度(9月末時点)・・・ 248人
○平成24年から25年にかけて全国的に風しんが流行したことにより、25年度に保健所風しん抗体価検査の受検者数が大幅に増加した。
また、26年度から国庫補助を活用し、保健所検査の無料化及び医療機関での無料検査を開始したため、26年度は更に受検者数が増加し、県民の風しんに対する関心の高まりが見られる。
<風しんワクチン接種費用助成>
○市町村への補助実績
・H25年度(6月補正事業:鳥取県風しんワクチン接種費緊急助成補助金事業)
・・・ 2,509人(9,166,000円)
・H26年度(当初事業:鳥取県風しん対策特別促進補助金)・・・ 631人(2,301,000円)←補助対象者を一部変更
・H27年度(当初事業:鳥取県風しん対策特別促進補助金)・・・ 454人(1,568,000円)
・H28年度(当初事業:鳥取県風しん対策特別促進補助金)・・・ 458人(1,560,000円)
○県内においても平成25年3月以降、風しん患者の発生が続き、例年にない患者数の増加があったため、平成25年6月から、妊娠を希望する女性と妊婦の夫に対するワクチン接種費用の助成を行っている。
その結果、平成25年9月以降、県内では新たな成人患者の発生報告はなく、また先天性風しん症候群も発生していないことから、一定の効果が得られているものと考える。
○しかしながら、対象と考えられる全ての方(免疫の低い世代…幼少期の定期予防接種の機会がなかった20〜40代の成人男性及び定期予防接種の接種率が低い成人男女)に対してワクチン接種が行われたとは言えない状況であり、そういった方から流行が再燃することが危惧される。よって、風しんを再流行させないため、また先天性風しん症候群を発生させないために、今後も継続して事業を実施する必要がある。