1 現状・背景
○医薬品の製造所については、医薬品医療機器等法に基づき、製造所を所管する都道府県がGMP調査(医薬品の製造及び品質管理の基準への適合性調査)を実施することとなっている。
○日本では、医薬品の製造・販売に係る安全管理を欧州と同等とし、より高度な安全体制を整備し、かつ医薬品の輸出を推進するため、世界各国と同一基準での製造所査察を目的とする国際的枠組(PIC/S)(注1)に平成26年7月から加盟している。
○当該枠組への加盟を見据えて、厚生労働省は、平成24年度からは、各都道府県において定められた要件を満たす調査人員・設備の整備を図ることを求め、要件を満たした職員で無ければGMP調査が実施できないこととされた。
○平成27年3月にジェネリック医薬品メーカーの鳥取市への工場進出が決定し、平成30年4月から本格稼働をするところであり、当該工場に対する集中的かつ継続的なGMP調査が必要となることから、調査体制の継続的な整備が必要。
<要件について>
●人的調査能力
| 要件 |
調査員 | GMP調査を行うことができる。 | (新規)40時間の教育訓練(累計)
(継続)年10日の教育訓練 |
リーダー
調査員 | 調査に必ず1名参加する必要がある。 | (新規)
・調査を行う分野(5分野に分類)について、該当分野で5回以上の調査経験が必要
・2年以上の業務経験(薬剤師の場合)
(継続)年10日の教育訓練 |
●物的調査能力
・鳥取県衛生環境研究所が、各調査分野に応じた検査能力を有する必要がある。
(注1)PIC/S
欧州の薬事行政当局が、医薬品の製造及び品質管理の基準を作成し、相互査察が進むよう1995年から活動を続けている。GMP(注2)査察(医薬品医療機器等法に基づく医薬品・医薬部外品の製造所の適合性調査及びその後の遵守事項の確認調査)の国際的な枠組みとして、現在49当局が加盟(厚労省等含む)。
※ PIC/Sに加盟している国から医薬品を輸出する場合、GMP基準をクリアしているとされ、手続きの緩和等メリットがある。
(注2)GMP
Good Manufacturing Practiceの略で、医薬品の製造と品質管理に関する国際基準のこと。
日本国では、国際基準をもととした医薬品の管理基準(GMP省令)が定められており、安心・安全な医薬品の製造のために、製造業者は当該基準に適合している必要がある。
※当該基準への適合性調査を実施するためには、調査員は、前述の要件を満たす必要がある。
2 要求概要
区分 | 要求額 | 備考 |
試験検査機関で整備する分析用消耗品等、医薬材料費の購入 | 338千円 | ※購入する品目例
カラム等の消耗品
アセトン等の試薬 |
リーダー調査員育成、調査員継続のための同行調査旅費等 | 497千円 | 当課分 323千円
福祉保健局分 105千円
衛環研分 69千円 |
計 | 835千円 | |
3 人的体制整備の基本方針
【調査員】
中国5県で連携実施している「GMP導入研修」及び「GMP調査員復帰研修」(平成26年度から実施)をはじめとする各種GMP関連研修について、医療指導課職員のみならず、将来的にGMP調査に携わる可能性のある福祉保健局等職員も参加することにより、調査員養成と人数の増加を図る。
【リーダー調査員】
1 調査を行う分野(化成原薬、非無菌製剤、無菌製剤、生物由来医薬品、包装表示保管)について、調査を行う製造所の製品分野で5回以上の調査経験を有する者を養成する必要がある。
※本県進出工場は、非無菌製剤を製造予定であり、当該分野のリーダー調査員の養成を優先する。
2 合同模擬査察・他県調査への同行調査に積極的に参加し、調査員要件を満たすとともに、5回以上の調査経験を積み、複数のリーダー調査員を養成する。
また、すでにリーダー調査員の要件を満たした者についても、さらなる知識の習得等のため継続的な研鑽を図る。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・中国ブロックおよびその他都道府県で開催されるGMP関連研修・模擬査察等に対して、県庁および各事務所の職員を積極的に派遣し、調査員の養成に努めている。
・その結果、リーダー調査員2名、調査員要件を満たす者7名(リーダー調査員含む)が養成できている。
(平成29年10月時点)
これまでの取組に対する評価
・調査員及びリーダー調査員の養成に計画的に取り組んでおり、ほぼ計画どおりの進捗である。
・平成29年度には、リーダー調査員・調査員が連携し、円滑なGMP調査が実施できた。
・一方、国際的にGMP調査に求められる事項は年々複雑化しており、また人事異動等により調査員が欠員となる可能性もあることから、リーダー調査員の資質向上、調査員の養成・維持を継続的に実施していく必要がある。