1 事業内容
健康増進法等に基づき市町村が実施するがん検診等の精度管理と、県民の健康課題について調査・研究し、健康対策事業を円滑に実施する体制を整備するため、県・県医師会・鳥取大学医学部の3者で構成する「鳥取県健康対策協議会」に、医学的専門知識・技術を要する業務を委託して実施する。
(1)健康診査管理支援事業
健康増進法により県の役割に位置づけられている、市町村が行うがん検診の精度管理について、委託事業により実施する。
生活習慣病等管理指導事業 [国補1/2] 2,157(2,007) |
ア、管理指導協議会
●市町村が実施する特定健診、がん検診の実施結果に基づき、協議会7部会において検診精度を評価・分析し、専門的見地から助言を行う。
●部会:総合、循環器疾患、胃がん、子宮がん、肺がん、乳がん、大腸がん
●開催回数:年2回
●実施主体(委託先):鳥取県健康対策協議会
イ、従事者講習会
●各種検診に従事する市町村、医療機関関係者の検診能力の向上を図るため、専門家の講義による講習会を開催する。
●開催回数:協議会部会ごとに年1回開催
●委託先:鳥取県健康対策協議会 |
がん検診精度確保事業 [国補1/2] 4,084(4,084) |
医療従事者を対象としてがん検診の精密検査の精度管理を徹底するため、各がん検診ごとに相互評価・検討会等を開催し、検診精度の向上を図る。
●対象検診:胃、子宮、肺、乳房、大腸
●内容:症例検討会の開催
●開催回数:年2回
●委託先:鳥取県健康対策協議会 |
乳がん検診マンモグラフィ読影医師確保
乳がんの検診方法は、平成28年度からマンモグラフィ(乳房エックス線検査)単独で行われるよう国の指針が改正された。
マンモグラフィの読影(※)を行う医師は、日本乳がん検診精度管理中央機構の認定医師資格が必要であるが、この資格取得のための受講料・受験料及び受講のための旅費は、これまで読影医師個人の負担となっていたが、読影医師の確保及び質の確保のため、県が資格取得に係る費用を負担するもの。
※ 読影とはレントゲン写真等の検査画像を診て、疾病の有無を判断すること。 |
肺がん医療機関検診読影委員会開催事業 [国補1/2]
603(603) |
肺がん医療機関検診の読影委員会を開催し、読影技術の精度向上を図る。
●委託先:鳥取県健康対策協議会 |
生活習慣病登録評価分析事業(地域がん登録)[単県]
7,814(7,744) |
県内の全医療機関において受診した患者のうち、がんに罹患した患者を登録し、当該疾患の動向について解析し、予防対策の評価を行う。
また、がん登録に係る標準化データベースを導入し、登録情報のとりまとめや統計分析を行うほか、集計結果をHPなどで公開する。
●委託先:鳥取県健康対策協議会 |
(2)生活習慣病対策セミナー等事業
県健康増進法に基づき、県民の健康増進の推進を図るため、県民の健康に関する調査研究や、県民を対象とした啓発イベントを委託事業により実施する。
県民健康調査事業 [単県] 2,973(2,973) |
県民の健康に関する諸問題について次の調査研究を委託事業により実施
●委託先:鳥取県健康対策協議会
●内容
【母子保健調査研究】
・ 新生児の代謝異常等スクリーニング検査結果の解析など
【疾病構造の地域特性対策調査研究】
・ 鳥取県におけるがん罹患・死亡の地域特性に関する記述疫学的研究 など5項目 |
生活習慣病対策セミナー開催事業 [単県] 1,450(1,450) |
ア 公衆衛生事業
●県民を対象とした健康フォーラムの開催
●新聞による普及啓発(「保健の窓」に掲載)
イ 生活習慣病対策セミナー
県民に対し、公開健康講座により、生活習慣病予防に関する啓発を行う。
●開催回数:年12回(県医師会6回、東・中・西各地区で各2回)
●テーマ:「がんの予防について」
「生活習慣病予防のために〜健康診断結果の見方と活かし方〜」など
委託先:ア、イとも鳥取県健康対策協議会 |
(3)健康対策協議会事務局強化事業
健康対策協議会の構成組織である県として、事務局体制の維持のため事務局経費を負担する。
健康対策協議会事務局強化対策事業 [単県] 3,652(3,652) |
事務局経費の負担
●事務局専任職員人件費(1人)
●総務費(連絡調整、理事会費等) |
2 要求額
事業名 | 要求額 | 金額根拠 |
生活習慣病等管理指導事業 | (2,007)
2,157
| 委託料(管理指導協議会) 1,575
委託料(従事者講習会) 306
管理指導全国協議会旅費 276 |
がん検診精度確保 | (4,084)
4,090 | 委託料 4,090 |
肺がん医療機関検診読影委員会 | (603)
603 | 委託料 603 |
生活習慣病登録評価分析(地域がん登録) | (7,744)
7,814
| 委託料 7,623
がん登録全国協議会会費 40
がん登録全国協議会旅費 151 |
県民健康調査研究 | (2,973)
2,973 | 委託料 2,973 |
生活習慣病対策セミナー開催 | (1,450)
1,450 | 委託料 1,450 |
健康対策協議会事務局強化対策 | (3,652)
3,652 | 負担金 3,652
(専任職員人件費 2,316)
(総務費 1,336) |
標準事務費 | (202)
202 | 職員旅費ほか |
合計 | (22,715)
22,941 | |
3 目的・背景
(1)目的
本県のがん対策の目標としている、がん75歳未満年齢調整死亡率減少のため、対策型がん検診による早期発見・早期治療を個別重点施策の一つとしている。
精度の高い適切な検診の確保を図るためには、県内市町村の検診結果を集計し、検診受診率やがん発見率などの指標を全国比較して検証するなどの管理が必要である。
また、県民の健康維持を図るため、県内の諸問題に関する調査研究、普及啓発を継続することが必要である。
(2)背景
○本県ではこれらの業務を昭和46年から「健康対策協議会」
(県、医師会、鳥大の三者構成)が行ってきた。
○昭和58年、老人保健法施行に伴い、国の指針(健康診査管理指導等事業実施のための指針)により事業評価・精度管理が県の役割に位置付けられ、県は「成人病検診管理指導協議会」(現「生活習慣病検診等管理指導協議会」)を設置。
○昭和60年からは「成人病検診管理指導協議会」と「健康対策協議会」を同時開催してこれら事業を継続してきた。
○平成20年度、老人保健法廃止に伴い、従来の健診事業が2つの法律に引き継がれた。
基本健康診査→高齢者医療確保法に基づく「特定健診・特定保健指導事業」(メタボリック対策目的)
がん検診→健康増進法に基づくがん検診
○平成20年3月国は科学的根拠に基づくがん検診の強化のため、「今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について」の報告書に基づいて、県が行う事業評価、精度管理の指針を示した。これに基づいて本事業を実施している。
○なお、平成25年12月に「がん登録等の推進に関する法律」が公布、平成28年1月に施行され、「全国がん登録データベース」が運用開始された。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
1 健康診査管理支援事業
(1)生活習慣病検診等管理指導事業
生活習慣病検診管理指導協議会において、市町村が実施したがん検診等の集計結果に基づき、受診率や要精密検査率等検討を行い、各市町村(圏域)の取組や検診精度を評価
(2)がん検診精度確保事業
精密検査結果の症例検討を行い、医療従事者による相互評価を実施
(3)肺がん医療機関検診読影委員会開催事業
肺がん医療機関検診の読影委員会を開催し、読影上の問題点を検討
(4)生活習慣病登録評価分析事業(がん登録)
平成19年のがん罹患集計を行い、本県のがんの罹患の現状を検討
2 県民健康対策事業
(1)県民健康調査研究事業
県民の健康に関する諸問題に対する調査研究を実施
◇がん罹患・死亡の地域特性に関する疫学的研究
◇鳥取県における透析患者の実態調査と腎移植の推進に関する研究 ほか
(2)生活習慣病対策セミナー開催事業
生活習慣病予防等への取り組みを推進するため、行政や関係機関等が連携した啓発を実施
(3)健康対策協議会事務局強化対策事業
理事会等の連絡調整費、事務局人件費を負担
これまでの取組に対する評価
1 健康診査管理支援事業
(1)生活習慣病検診等管理指導事業
検診精度の評価をとおして、子宮がん検診の細胞診検査方法の指導が行われ、精度の改善が図られた。
(2)がん検診精度確保事業
偽陰性症例などの原因検討等をとおして、精度の維持・向上が図られた。
(3)肺がん医療機関検診読影委員会開催事業
肺がんX線検査の読影体制について検討し、読影精度の向上を図った。
(4)生活習慣病登録評価分析事業(がん登録)
本県のがん罹患情報を得るための唯一の調査
全国の中で精度の高いがん登録実績が評価されている。
今後、全国統一の標準化システムに向けた改正の検討を行った。
2 県民健康対策事業
(1)県民健康調査研究事業
本県の健康対策などの行政に直ちに繋がるテーマの研究を実施
(2)生活習慣病対策セミナー開催事業
医師会、大学医学部と連携して広く一般を対象に生活習慣病予防の啓発が実施できた。