1.目的・概要
県と県内の臨床研修病院で構成する「鳥取県臨床研修指定病院協議会」で研修医等を支援する事業に取り組み、大学卒業後に県内で臨床研修を行う研修医を確保することで、将来の鳥取県の医療を担う医師を確保する。
2.背景
従来は、大学を卒業した免許取得直後の医師は、出身校を中心に各大学の専門科の医局に入局し、医局の差配による病院で専門科を中心とした研修を行っていた。
平成16年度から導入された新しい臨床研修制度では、法律上基本的な領域を網羅する2年以上の研修が義務づけられる一方で、研修先の選択の自由度が高まった。その結果、待遇がよく症例が豊富な大都市を中心とした市中病院を研修先として選定する卒業生が増え、鳥取県で臨床研修を行う医師が大幅に減少し、将来の医師確保が懸念されている。
・鳥取県で臨床研修を開始する医師数
平成15年度:51人 → 平成22年度:25人(△51%)
→ 平成28年度:41人(△20%)
・県内の39歳以下の医師数
平成16年:562人 → 平成26年:447人(△20%)
3.事業費
・負担金、補助及び交付金:2,400千円
県内で免許取得直後の医師の研修を受け入れることが出来る、鳥取大学医学部附属病院及び厚生労働省が指定する7つの臨床研修指定病院(県立中央、鳥取市立、鳥取赤十字、鳥取生協、県立厚生、山陰労災、米子医療センター)と、鳥取県で構成する「鳥取県臨床研修指定病院協議会」の負担金(各病院が300千円を負担、県は同額の2,400千円(300千円×8病院)を負担)
4.協議会で行う主な事業
・救急講習支援事業
高額な救急講習の参加費を助成し、研修医の負担を軽減することで、鳥取県で研修を受ける利点とする。
・研修医交流会開催事業
臨床研修セミナーに合わせて交流会を開催し、研修医同士や指導医との人的繋がりを強める。
・研修病院のPR資料等作成
冊子「鳥取県の臨床研修」を作成し、医学生並びに各大学医学部に配布し、各臨床研修病院の様子を知ってもらうことで、臨床研修先として選択してもらう。
・県内臨床研修病院プロモーションビデオ発信事業
各臨床研修病院を紹介するプロモーションビデオを掲載したホームページを作成し、医学生に研修先として選択してもらう。
・病院見学促進事業
臨床研修病院を見学する医学生に旅費を支給して、県外を含めて多くの医学生に来院して実態を知ってもらい、研修先として選択してもらう。
・次世代医師リクルーター事業
先輩医師をリクルーターとして委嘱し、病院見学に訪れた医学生を勧誘する経費を助成する。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・平成16年度からの新しい医師臨床研修制度により、県内で医師としての生活をはじめる研修医の数が激減して、従来鳥取大学が派遣した医師の引き上げなどにつながっている。
・次世代の鳥取県医療を担う研修医の確保は、県の医療の将来にとって重要な課題である。
これまでの取組に対する評価
・平成16年からの新しい臨床研修制度で県内の若手医師が激減。
・様々な取り組みの結果、医師臨床研修マッチングにより県内の病院で卒業直後の臨床研修を行う研修医は、平成26年度(平成27年3月卒業、同年4月から臨床研修):30名→平成27年度:41名→平成28年度:51名と復調する傾向にあり、取り組みの成果が出ている。