事業概要
県立図書館の専門資料や調査機能を活用し、県全域での図書館のビジネス支援体制を推進するため、各地域の図書館と協力し、県内全域でのビジネス支援サービスの定着、利用者の掘り起こしに取り組む。公共図書館のビジネス支援機能の浸透を図るため、セミナーの開催、他団体が主催する研修会等の機会を活用して、幅広い層への浸透を図る。
平成30年度は、特に県の課題である営農者の高齢化・担い手不足等の問題に対して、図書館職員が支援策を理解、県民に情報提供を行うことで、課題解決に貢献できることを目指し、新規就農を考えている方、就農して間もない方を主な対象として、公共図書館の敷居の低さ、間口の広さを活かした情報提供を行う。
事業の詳細
(1)新規就農者のための情報収集セミナー(新規)
県内で就農を考えている方、就農して間もない方等を対象とし、図書館を活用した情報収集を考えるセミナーを開催する。図書館の農業支援について、関係者が一堂に会し、今後の活用の可能性について議論を行う。また、農業者向けに図書館の資料や機能を紹介するチラシを作成する。関連機関や市町村図書館にも配布し、広く様々な方に情報が届ける。実施するセミナー・講座・出前図書館でも配布・説明を行い、図書館の農業支援について周知する。
(2)農業者のためのミニ講座(新規)
県内で就農を考えている方、就農して間もない方等を対象とし、当館契約データベース「ルーラル電子図書館」の利用説明、映像資料を使ったミニ講座を開催する。また、他機関が主催する研修会・イベント等に関連する書籍・雑誌等を持ち込み、その場で閲覧・貸出・相談ができる出前図書館を実施する。講座・出前図書館ともに市町村図書館と連携し、地域の課題に応じたテーマ設定等を行い、各地域の図書館の利用促進につなげる。
(3)県内の産業支援イベントでの出前図書館等の実施(継続)
鳥取県内で開催されるイベントで出前図書館を実施し、図書館を利用しない県民に対して図書館資料やデータベース、ビジネス支援機能等を周知する。
現状と課題
<現状>
・出前図書館等で参加者にビジネス支援機能をPRした結果、図書館への資料相談(レファレンス)や商用データベースの利用が進んだ。産業支援機関職員の紹介で図書館を来館されるケースも増加したほか、金融機関職員からの相談も増えつつある。
<課題>
・ビジネス支援という言葉に起業・創業、事業者への支援というイメージがあり、それ以外の産業分野への資料・情報提供、相談機能に関する認識がされていない状況がある。
・出前図書館、当館主催の講演会・セミナー等を通じて、幅広い層に図書館のビジネス支援機能を説明し、実際に活用してもらう機会を作る必要がある。
・関連部局・他団体と連携し、図書館を活用した情報収集、課題解決への支援について、あらゆる機会を通じて、発信することが必要である。
経緯
平成16年度よりビジネス支援サービスを開始。外部委員会を設置し、産業支援機関等と協力しながら、取組を開始した。以降、セミナーの開催、各種コーナーの設置等、図書館のビジネス支援サービスの普及・啓発を行っている。県全域へ図書館のビジネス支援機能を周知するため、平成25年度より米子市立図書館(西部地域)、倉吉市立図書館(中部地域)と協力し、中西部地域での普及啓発を行っている。平成28年度には、ビジネス支援サービスや県内各機関とのネットワーク、活動の継続性が評価され、「ライブラリアンシップ賞」(主催:NPO法人「知的資源イニシアティブ」)を受賞した。
期待される効果
・農業分野における情報提供機能の周知を行うことによるビジネス支援のイメージ拡大
・図書館の広報機能及びネットワークを活用した農業関連施策・情報の周知
・県立図書館および市町村図書館員のスキルアップ
所要経費
単位:千円 ( )は昨年度予算
事業名 | 金額 | 内容 |
新規就農者のための情報収集セミナー | 478(0) | 講師謝金、旅費
チラシ制作費 など |
農業者のためのミニ講座 | 130(0) | 講師旅費
会場使用料 など |
県内の産業支援イベントでの出前図書館等の実施 | 30(30) | 出展料 |
図書館で夢を実現しました大賞(第3回) | 0(423) | 廃止(隔年実施) |
図書館で夢を実現しました大賞フォーラム | 0(401) | 廃止(隔年実施) |
ビジネスパーソンのための図書館活用セミナー | 0(379) | 廃止 |
合計 | 638(1233) | |
参考
・これまでも県内図書館(県立・倉吉・米子)で就農相談会を開催(鳥取県農業農村担い手育成機構と主催)。
・図書館による農業支援の先進事例として、小山市立中央図書館(栃木県)、紫波町図書館(岩手県)がある。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<政策目標>
「図書館機能の充実」
『県民に役立ち地域に貢献する図書館』を目指し、「仕事と生活に役立つ図書館」「人の成長・学びを支える図書館」「地域文化を育む図書館」としての機能を充実する。
<取組状況>
・平成16年度より「ビジネス支援サービス」を開始。「ビジネスヒント!調査コーナー」を設け、業界動向や市場動向の把握に役立つ専門図書や雑誌を配架し、ビジネス情報が検索できる商用データベースを整備した。ニーズの変化に伴い、平成26年度にはコーナーのリニューアルを行った。
・司書の多くはビジネスライブラリアン講習(主催:ビジネス支援図書館推進協議会)を受講し、専門的な資料相談に対応できるようスキルアップを図っている。相談内容によっては専門機関に照会する等、外部との連携による課題解決を行っている。
・平成25年度には、倉吉市立図書館、米子市立図書館とともに、鳥取県中小企業診断士協会、鳥取県産業機構等と連携協力協定を締結し、専門機関との連携強化を行った。倉吉市立図書館、米子市立図書館と協力し、鳥取県中西部地域での図書館のビジネス支援機能の普及啓発を行っている。
・平成26年度には、鳥取県よろず支援拠点と連携し、倉吉市立図書館、米子市立図書館とともにビジネス情報相談会を開始し、ビジネス情報の収集から経営改善のアドバイスまで幅広い情報の提供が可能となった。
・平成27年度〜29年度には、東・中・西部で金融機関向けの図書館活用研修会を開催し、相談内容の高度化、多様化につながった。
これまでの取組に対する評価
・図書館のビジネス支援サービスを知らない、サービスは知っているが利用に結びつかないが方が多いため、セミナー会場に本を持って出かけ、図書館のビジネス支援機能を紹介する出前図書館を実施。参加者に図書館の活用を呼びかけている。中西部地域で開催される場合には市町村図書館と協力し実施している。
・産業支援機関や金融機関の職員研修の機会に図書館見学ツアーを実施し、ビジネスに役立つ図書館活用法の講義や館内見学を行った。その後、金融機関職員や経営者から市場調査や商圏分析に関する質問が寄せられるなど図書館のビジネス支援機能への理解が進み、日常の資料相談(レファレンス)にも繋がっている。