(5)元気な鳥取梨産地復興・発展加速化事業
・ジョイント栽培専用大苗の安定供給のため、新規育苗業者を育成するとともに、地域の実情に応じた専用大苗の育苗受委託システムづくりを支援する。
要求額11,796千円(13,403千円)
内容 | 事業実施主体 | 補助対象経費 | 補助率 | 要求額
(千円) |
育苗委託促進対策 | JA、生産組織、農業公社など | ジョイント仕立て用2年生大苗の育苗を外部委託する際の経費
※変更点:新たに「甘太」「夏さやか」を対象品種とする。 | 2/3 | | 8,096
(3,678) |
育苗開始支援対策(試作助成金) | JA全農とっとり | 新規にジョイント2年生大苗育苗の試作を行った者に育苗経費相当の助成金を交付するのに要する経費 | 定額 | 苗1本につき5千円 | 1,500
(3,000) |
育苗開始支援対策(施設等整備) | 苗木業者、山林樹苗協同組合、JA、生産組織、農業公社 | ジョイント栽培用専用大苗を新規に増産する業者がやぐら等育苗施設、かん水施設を設置したり、育苗資材(防草シート等)を購入する経費 | 2/3 | | 1,000
(5,525) |
新技術等実証モデル事業 | JA、生産組織、農業公社など | ジョイント栽培の新技術・新品種のモデル園を設置する経費 | 定額 | 上限400千円/箇所 | 1,200
(1,200) |
・これまでは本県で育成された新品種を中心に生産拡大に取り組んできており、とくに「新甘泉」は栽培面積101ha、販売金額約3億円の品目に成長した。
・特に「新甘泉」は市場評価が高く、出荷数量577トン、販売金額約3億円(いずれもJA全農とっとり調べ)の品目に成長した。これまで梨産地鳥取県を支えてきた「二十世紀」に、「新甘泉」を中心とする新品種が加わったことで、果樹農家の経営は好転し始めたところである。
・中部地震で収穫前の晩生梨が多数落下したが、「王秋」は訳あり梨販売等で知名度が飛躍的に向上した。梨ではトップクラスの収量と好調な販売単価で経営の核となる品種であり、「王秋」を復興のシンボルとして、生産拡大を進める必要がある。
・一方、資材の高騰などから補助事業があっても施設整備が難しくなっており、施設の低コスト化や機械の共同利用を積極的に推進し、事業費の低減と農家負担の軽減を図っている。
・平成20年策定「鳥取梨産地活性化ビジョン」で、県オリジナル梨新品種を「梨産地とっとり」復活の切り札とし、平成27年に200haの植栽面積達成を目標に据えて増反に取り組んできた。目標年度中の達成は成らなかったが、植栽面積は184ha(平成28年度末)まで増加している。また、鳥取県元気づくり総合戦略において、平成31年度に植栽面積を230haにする目標を新たに立て、推進を行っている。
・国は国内の各果実産地に対して産地構造改革計画の策定を求めており、これを受けて鳥取県でも平成28年度に東・中・西部の3地区において計画が策定され、地域の特性に応じた、産地ごとの振興品種が決定している。
・果樹園の廃園が増えているなか、「農薬散布作業が辛いから果樹栽培をやめる」、「スピードスプレーヤ(SS:乗用型の防除用機械)が壊れたら果樹栽培は続けられない」といった声が多い。
・本県農業の柱である梨は、野菜のように国による価格補償制度がないため、鳥取県果実生産出荷安定基金協会を事業実施主体とした、県独自の価格安定策を平成13年度から実施している。
・鳥取県中部地震の被害が最も大きかった王秋を産地復興のシンボルとして戦略的に生産拡大し、梨農家経営の支柱の1つとして梨産地と果樹農家の復興を加速化しようとしている。
・梨のジョイント栽培は、早期多収や省力化に優れた新しい栽培方法であるが、これまでは専用苗木の供給に課題があり、普及にブレーキがかかっている。