1 事業の概要
森林の立地環境と樹木根系の分布特性を明らかにし、立地環境を重視した新たな防災林配置技術を開発する。
2 事業の背景・目的・効果
(1)事業背景
- 気候変動に伴う集中豪雨の増加によって山地災害の潜在的発生リスクが上昇している。
- 最近の災害における流木被害で、森林の管理状態と樹木根系の発達状況について注目されることが多い。
- 根系強度や根系の崩壊防止機能に関しては、一定の知見があるものの、環境要因から評価したものはない。
- 樹木根系の防災機能を正しく評価するためには、立地環境が樹木根系の発達・分布に与える影響を理解することが必要となる。
(2)事業目的
- 立地環境が樹木根系の分布に与える影響の解明
- 新たな樹木根系評価に基づいた防災林配置技術の開発
(3)事業効果
- 新たな防災林配置技術により、森林の崩壊防災機能を高度に発揮させる。
- 土砂災害の発生抑止により下流域の住民の安全を守る。
- 山地災害を回避、持続的な林業経営が可能になる。
3 事業内容
(1)立地環境が樹木根系の分布に与える影響の解明
林地の微地形・水分条件・土層等の環境因子と樹木根系分布の関係を明らかにし、立地条件に基づいた樹木根系分布の評価手法を開発する。
(2)新たな樹木根系評価に基づいた防災林配置技術の開発
(1)で開発された評価手法に基づいて、根系の土砂崩壊防止機能が効果的に発揮される森林の配置手法について検討する。
4 受託事業全体の概要
○委託元
国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
○委託事業名
森林総合研究所交付金プロジェクト研究事業
○共同研究機関
福岡県、岐阜県、鳥取県
○研究期間
平成30〜34年度(5年間)
○鳥取林業試験場の担当業務
鳥取県の林分における環境因子と樹木根系分布の調査を行う。
5 事業計画
(単位:千円)
年度 | 事業費 | 内訳 |
その他(受託費) |
30年度 | 600 | 600 |
31年度 | 600 | 600 |
32年度 | 600 | 600 |
33年度 | 600 | 600 |
34年度 | 600 | 600 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
現在、県土の大半は森林に覆われ、森林の持つ山地保全機能が最大限発揮されている状態となっている。一方で、林業の活性化に伴い伐採材積は増加傾向にある。今後、森林の山地保全機能を担保しつつ林業推進していくためには、森林根系が持つ崩壊防止機能を正確に評価しなければならない。
根系調査は極めて甚大な労力を必要とするため、単木的な調査に限定され、山地の地形種毎に根系分布を求めるような試みは過去に行われていない。
これまでの取組に対する評価
森林根系のもつ崩壊防止機能については、単木的な情報はあるものの山地地形を考慮した調査はこれまで行われていない。また、現在行われている研究では根系強度を均一と仮定し、地形や水分条件による根系発達の違いは考慮されておらず、その実態は不明な点が多い。