1 事業概要
県内企業が開発した廃ガラスを主原料とするガラス発泡材を活用して、中小家畜試験場が開発した脱臭装置と他の脱臭法を組み合わせて農家施工も可能となるような装置の開発について、県内企業協力のもと取り組む。
2 背景・目的
(1)県内の堆肥化施設等ではガラス発泡材を用いた脱臭装置の利用が進んでいるが、従来の装置では、その性能上の理由から高さ2.5m以下が推奨され、結果的に広い敷地面積が必要になり用地確保に苦労するという課題があった。
(2)ガラス発泡材を用いた脱臭装置はロックウール脱臭装置に比べ低コストであるが、さらに設置面積が少なくコンパクトで、かつ、一層低コストにして欲しいとの要望がある。
(3)そこで、他の脱臭方式(薬液脱臭等)とガラス発泡材脱臭装置と組み合わせて、コンパクト(従来の半分程度)で低コストな脱臭装置を開発する。
3 事業効果
(1)堆肥化施設等から発生する高濃度臭気を脱臭することにより、地域環境との調和が図られ、継続的な畜産経営が可能になる。
(2)受益は養豚・養鶏経営を中心に、大家畜経営にも適応可能であり、用途は広いと思われる。
(3)畜産経営の大規模化、或いは周辺の都市近郊化により悪臭による苦情は顕在化している。設備の生物脱臭槽容積の50%減少による設置面積減少やさらには自家施工による一層の費用低減の可能性を検討し、経営への負担軽減を図りながら臭気対策への取り組みを推奨できる。
4 事業内容
(1)ガラス発泡材脱臭装置と組み合わせる脱臭方法の検討、組み合わせる脱臭装置性能測定・制御方法の検討(アンモニア濃度、悪臭温度、湿度、pH)
(2)ガラス発泡材脱臭装置の性能に関わる各種項目の検討(脱臭槽規模、形状、散水量と散水時間、循環水使用期間、アンモニア以外の悪臭物質濃度他)
(3)運転・管理方法、ランニングコストの検証
(4)最適なガラス発泡材粒径、規格の検討
(5)県内農家実証試験
5 事業期間・総事業費
(1)事業期間 平成28年度〜32年度
(2)総事業費
年度 | 事業内容 | 事業費
(千円) |
H28 | ガラス発泡材脱臭装置と組み合わせる脱臭方法の検討、組み合わせる脱臭装置性能測定、制御方法の検討
最適なガラス発泡材粒径・規格の検討 | 679 |
H29 | 組み合わせる脱臭装置性能測定、制御方法の検討、ガラス発泡材脱臭装置の性能に関わる各種項目の検討
最適なガラス発泡材粒径・規格の検証
運転・管理方法の検討 | 895 |
H30 | 組み合わせる脱臭装置性能測定、制御方法の検討、ガラス発泡材脱臭装置の性能に関わる各種項目の検討
小規模試験装置の設置
運転・管理方法の検討 | 895 |
H31 | 県内農家実証試験(自力施工可能な装置)
大規模装置実証試験
性能評価、メンテナンス性、ランニングコストの検証 | 4500 |
H32 | 県内農家実証試験(自力施工可能な装置)
大規模装置実証試験
性能評価、メンテナンス性、ランニングコストの検証 | 679 |
合計 | | 7648 |
(3)平成30年度事業費内訳
内訳 | 要求額(千円) |
試験打ち合わせの旅費 | 40 |
試験に係る資材、分析薬品費等 | 639 |
悪臭濃度の採取及び分析委託 | 216 |
合計 | 895 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
(1)ガラス発泡材脱臭装置と組み合わせる脱臭方法の検討では、担体に酸を添着させアンモニアを除去する脱臭方法として、安価で入手が容易なモミガラとクエン酸を用いた。脱臭性能測定でモミガラ+クエン酸は高いアンモニア除去率を維持した。
(2)最適なガラス発泡材の粒径・規格の検討のため1〜2mm、3〜10o、10〜25oの粒径別ガラス発泡材3種類について比較試験を行った。水に1時間漬浸後の水分率は粒径が細かいほど水分率高く、脱臭性能試験でも1〜2o、3〜10oが高いアンモニア除去率を維持した。
これまでの取組に対する評価
<自己分析>
組み合わせる脱臭方法の検討を行いアンモニア除去効果を確認した。
<課題>
クエン酸添着モミガラとガラス発泡材を組み合わせた脱臭装置について、高濃度アンモニア、その他悪臭物質の除去能力について調査する。また、微生物馴致後の粒径別のガラス発泡材の脱臭性能の差異やガラス発泡材脱臭装置の循環水量などの制御、蓄積される窒素の除去について検討を行う。