研究概要
スギ一般(並材)大径材を使った新たな心去り角材の生産技術を開発し、スギ大径材の価値の向上と利用拡大を図る。
研究背景、効果
研究の背景
(1)森林施業の長伐期化で一般大径材の生産が増大してくる。
(2)建築様式の変化などから、従来優良大径材を用いて生産されていた役物の需要が減り、大径材の価格が下落している。
(3)長伐期化で生産される木材は、大径材であっても並材が主流になるものと予想されるため、これらの有効な活用方法が求められている。
(4)鳥取県木材協同組合からスギ心去り角材の乾燥技術の開発について要望がある。
(5)現在の建築様式に合ったスギ一般大径材の新たな利用技術の開発が必要。
研究の目的
新たな心去り角材の生産技術を開発
ア 歩止まりの向上
イ 反り割れ抑制
ウ 乾燥コストの低減
エ 強度性能評価
オ 品質評価
成果
○反りの矯正
・天然乾燥時に重しを載せても反りの矯正効果はほとんどないことが判明した。
・人工乾燥時間が長くなると重しの有無に関係なく若干反りが矯正される傾向があった。
○乾燥試験
・天然乾燥により含水率を30%代まで下げることができれば人工乾燥時間を大幅に減らすことができた。
・乾燥行程でもっとも燃料を消費する蒸煮時間を14時間から8時間へ短縮しても反りの軽減がみられ、燃料の節約につながった。
○目視等級区分による品質評価
・一般材で試験を行ったこともあり、JAS1級品は少なく、髄付近を2分割して得た2丁取り心去り平角材は、木裏側に流れ節が出現することにより、3級や等級外の格付けが多かった。
・3丁取りした心去り平角材は、2丁取りしたものと比較して1級や2級の格付けが多く、目視等級の改善がみられた。
○強度試験
・目視等級1〜3級に格付けされた試験体の90%以上が基準強度を上回ったこと、またほとんどの試験体が流れ節以外の要因で最終破壊していたことから、心去り材特有の流れ節が原因で基準強度を下回る可能性は低いと考えられた。