事業名:
EOD反応を活用した花壇苗の低コスト安定生産技術の開発
(この事業に対するご質問・ご意見はこちらにお寄せください)
農林水産部 園芸試験場 花き研究室
|
事業費(A) |
人件費(B) |
トータルコスト (A+B) |
正職員 |
非常勤職員 |
臨時的任用職員 |
30年度当初予算額 |
1,423千円 |
8,740千円 |
10,163千円 |
1.1人 |
1.0人 |
0.0人 |
30年度当初予算要求額 |
1,423千円 |
8,740千円 |
10,163千円 |
1.1人 |
1.0人 |
0.0人 |
29年度当初予算額 |
1,530千円 |
8,743千円 |
10,273千円 |
1.1人 |
1.0人 |
0.0人 |
事業費
要求額:1,423千円 (前年度予算額 1,530千円) 財源:単県
一般事業査定:計上 計上額:1,423千円
事業内容
概略説明
(1) | 本県では、これまで全国に先駆けたEOD注1反応試験の実施により、トルコギキョウの年末・早春出荷で燃料費を3割削減しながら、開花促進と茎伸長効果を明らかにしてきた。 |
(2) | 本県花きの農業産出額の約半分を占める「花壇苗」は、多くが加温や保温の必要な晩秋〜早春に出荷される。「花壇苗」は、「切り花」とは異なり草丈がコンパクトで、枝張りがよい草姿が求められることから、切り花栽培とは異なる技術確立が必要である。 |
(3) | これまでの成果を基に、EOD加温やEOD光照射で開花促進効果を得ながら、花壇苗の草姿をコンパクトにする新たな低コスト高品質化法を開発して、花壇苗生産者の収益性向上を実現する。 |
注1:EOD(=End of Day):日没後の短時間のこと。日没後数時間は植物の活性が高まり、温度や光への感受性が強くなる。この時間帯に集中した加温や、生育に効果的な光を照射する処理をそれぞれEOD加
1.事業の必要性
(1) | 晩秋〜早春に出荷する花壇苗生産は、加温や保温が不可欠であるが、燃料費や生産資材等の高騰により生産者の経営は圧迫されている。 |
(2) | 当試験場ではこれまで全国に先駆けたEOD反応試験の実施により、切り花トルコギキョウの年末・早春出荷で燃料費を3割削減して、開花促進と茎伸長への効果が高いことを明らかにしてきた。 |
(3) | 花壇苗・鉢物栽培は、切り花栽培とは異なり茎長が短くコンパクトで、枝や葉の張りがよい草姿が求められることから、切り花栽培とは異なる技術確立が必要である。 |
(4) | これまでの結果を基に、花壇苗・鉢物栽培に関するさらなる低コスト化を目指したEOD加温とEOD光照射の組み合わせ法や、即座に現場で利用できる栽培マニュアルなどを組み立てる必要がある。 |
(5) | 対象者
花壇苗・鉢物生産者 約200戸 |
2.事業の内容とH30年の試験内容
(1) | 花壇苗におけるEOD光照射の検討(冬春出荷) |
これまでの
成果 | ・花き類46品目のうち36品目は、EOD光照射で開花が促進し、切り花長が伸長した。
・ただし、EOD光照射を花壇苗栽培で利用するには、草姿をコンパクトにする検討が必要と考えられた。 |
H30年の試験 | ・栽培期間を短縮するEOD光照射時間の検討
・EOD光照射とわい化剤の組み合わせによる草姿のコンパクト化 |
(2) | 花壇苗におけるEOD加温(保温)の検討(冬春出荷) |
これまでの
成果 | ・花き類46品目のうちガーベラなど24品目は、EOD加温で開花が促進し、花数が増加した。 |
H30年の試験 | ・開花促進効果が高いEOD加温(保温)管理法の解明
・温床や小型トンネルを利用した簡易EOD加温(保温)法の検討 |
(3) | EOD栽培による宿根性鉢物の栽培期間短縮(冬春出荷) |
これまでの
成果 | ・カンパニュラ、ラベンダーは播種から開花まで時間がかかる。
・これら品目を、晩秋まで露地で低温に遭わせてからハウスに取り込むと、慣行の露地栽培に比べて1ヶ月以上開花が早まった。
・トルコギキョウやストックは、露地で管理しなくてもEOD−FR光照射を行うと、著しく開花が早まった。 |
H30年の試験 | ・EOD処理で早春出荷可能な宿根性鉢物の検索
・EOD反応を活用した鉢物シバの早春安定出荷法の検討 |
(4) | EOD加温+EOD光照射の組み合わせによる超低コスト栽培法の確立(冬春出荷) |
これまでの成果 | ・トルコギキョウは、EOD加温と光照射を組み合わせると、慣行加温に比べて暖房費を30%削減しながら、栽培期間が約1ヶ月短縮した。 |
H30年の試験 | ・EOD光照射+EOD加温(保温)+わい化剤を組み合わせた早春出荷法の検討
・経営試算のためのデータ集積 |
3.事業の効果
(1) | 植物の生理反応に基づいた温度・光照射の組み合わせにより、花壇苗・鉢物の栽培コスト削減が期待できる。 |
(2) | 燃料費を削減し栽培期間の短縮も期待できるため、効率的な生産体系が実現でき、経営の安定化を図ることが出来る。 |
(3) | これまで冬期(晩秋〜早春)に出荷できなかった花壇苗・鉢物の安定出荷が可能となる。 |
(4) | 他県に先駆けた新技術の実証展示により、花壇苗・鉢物の生産振興につながり、生産意欲の向上が期待できる。 |
研究計画 | 目標 |
EOD加温試験(花壇苗(早春出荷))・・・燃料費削減効果の高いEOD加温技術の確立とマニュアル化(4年後達成) | 燃料コスト20万円/aを 30%削減 |
現場利用可能なEOD加温+光照射 組み合わせによる超低コスト栽培法確立・・・組み合わせによる栽培実証・経営試算とマニュアル化(4年後達成) | 秋〜春作の農業所得を30%以上向上 |
4.H30年度要求額内訳(単位:千円)
内訳 | 要求額 |
栽培資材費、実験用器具・試薬 等 | 1,287 |
普通旅費 | 128 |
役務費 | 8 |
合計 | 1,423 |
5.年度別試験内容と事業費(単位:千円)
事業実施期間:平成29年度〜32年度
年度 | 試験内容 | 事業費 |
H29 | 1、2年性花壇苗:
・わい化剤+EOD光照射+EOD加温(保温)によりコンパクトで栽培期間が短縮する処理法の検討
宿根性鉢物(含シバ) :
・EOD光照射+EOD加温で開花が著しく促進する品目の検索 | 1,530 |
H30 | 1、2年性花壇苗:
・わい化剤+EOD光照射+EOD加温(保温)によりコンパクトで栽培期間が短縮する処理法の検討
宿根性鉢物(含シバ):
・局所保温など簡易なEOD保温法の検討
| 1,530 |
H31 | 1、2年性花壇苗、宿根性鉢物(含シバ):
・わい化剤+EOD光照射+EOD加温(保温)によりコンパクトで栽培期間が短縮する処理法の検討。 ・局所保温など簡易なEOD保温法の検討。
・経営試算のためのデータ集積。 | 1,530 |
H32 | ・花壇苗・鉢物におけるEOD栽培の実用化
・現場利用可能なわい化剤+EOD加温(保温)+光照射法の組み合わせによる超低コスト栽培法の確立とマニュアル化 | 1,530 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<目標>
・「花壇苗」は、「切り花」とは異なり草丈がコンパクトで枝張りがよい草姿が求められることから、切り花栽培とは異なる技術確立が必要である。
・これまでのEOD加温やEOD光照射の成果を基に、花壇苗の開花を進め、草姿をコンパクトにする新たな低コスト高品質化法を開発して、花壇苗生産者の収益性向上を実現する。
<取り組みの内容>
・これまで切り花では、EOD処理で以下のような反応が明らかになった。
・トルコギキョウ・・・早春出荷栽培では、EOD光照射+EOD加温で慣行栽培に比べ開花が1ヶ月以上早まり、燃料費も30%以上削減可能だった。
・ストック・・・花芽分化前からEOD光照射を開始すると開花が1ヶ月早まり、花芽分化後から開始すると草丈が伸長して品質が向上した。
・花き類46品目のうち36品目はEOD光照射で開花が促進し、切り花長が伸長した。また、46品目のうちガーベラなど24品目は、EOD加温で開花が促進し、花数が増加した。
これまでの取組に対する評価
<H28年度の外部評価(事前)の結果>
評点:13.5 判定:◎
(評点10以下は再考)
委員の主な意見
(1)新たな知見が得られていることから、一層の研究発展を期待する。
(2)まさに、研究所でしかできない素晴らしい研究内容。今後が楽しみ。
(3)LEDの地元メーカーとの協働研究成果と課題が明確になっている。また、結果を出す目処も明確である。
(4)加温と光照射のいいとこ取りで、大きな成果を上げるところに着目したことを評価したい。
(5)地域(山陰)の特性にメリットの高い技術として期待できる。
<自己分析>
・これまで暖房コストをかけても太平洋側の切り花に太刀打ちできなかった品目が、EOD処理によって低コストで太平洋側並みの高品質化が可能となるものが明らかになってきた。今後は、一日も早く花壇苗で応用できるよう現場とも緊密に連携しながら、計画的に試験を遂行したい。
工程表との関連
関連する政策内容
低コスト生産・経営管理技術の開発
関連する政策目標
花き,イチゴにおけるEOD加温栽培管理方法の確立とEOD光照射条件の検討
財政課処理欄
要求額の財源内訳(単位:千円)
区分 |
事業費 |
財源内訳 |
国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
前年度予算 |
1,530 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1,530 |
要求額 |
1,423 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1,423 |
財政課使用欄(単位:千円)
区分 |
事業費 |
国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
計上額 |
1,423 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1,423 |
保留 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
別途 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |