1 事業概要
酪農及び養豚経営の一定規模の農場は水質汚濁防止法の規制対象となっており、県内においても平成14年頃から低コストな汚水処理施設の整備が行われてきた。しかし今日、規模拡大に伴う排水量の増加や硝酸性窒素等の排水基準の規制強化への新たな対応が迫られている。
そこで、既存の活性汚泥法施設にゼオライトを用いた窒素除去機能を付与することで、基準強化に対応した安価で維持の簡易な汚水処理システム技術を開発し、周辺環境と調和した畜産経営の発展に寄与する。
2 背景
(1)生物膜法の付与による窒素除去技術が農研機構で開発されたが冬期の除去が課題。
(2)イオン交換法の付与による窒素除去技術は畜産排水での研究事例はない。
(3)県内に普及した排水処理方法に適応した窒素低減処理技術がない。
3 目的
(1)硝酸性窒素等の一般排出基準値(100mg/L)以下の放流水(現状600mg/L)の実現。
(2)窒素除去のコスト低減と年間を通じて安定した浄化技術の開発。
4 事業効果
周辺環境と調和した畜産経営
(1)水温低下時(10℃以下)においても安定浄化が図れる排水処理施設の技術確立。
(2)小規模な施設改造でコスト低減(年間1,000円/頭以内の追加費用)。
(3)施設管理の単純化による省力管理。
5 事業内容
(1) 畜産汚水に対する吸着剤の基礎調査(H30年度)
- 合成ゼオライトの性能調査。
- 水温別のゼオライト量や設置方法、接触時間等の基礎的な検討と酪農家及び養豚農家への適用調査。
(2)イオン交換・吸着剤の低コスト化試験(H31〜32年度)
- 安価な天然ゼオライト及び人工ゼオライトや吸着剤等の比較調査。
- 酪農パーラー排水(100mg/L)を想定した産地別天然ゼオライトや各社人工ゼオライトの検討と酪農家への適用調査。
(3)高濃度窒素への適用試験(H31〜32年度)
- 養豚排水(600mg/L)を想定した各種ゼオライトの組合せや効率的な設置方法の検討と養豚農家への適用調査。
6 事業期間及び事業費
(1)事業期間 平成30〜32年度(3年間)
(2)総事業費
年度 | 事業費(千円) | 備考 |
30年度 | 931 | 備品購入含む |
31年度 | 707 | |
32年度 | 707 | |
合計 | 2,345 | |
(3)平成30年度要求額内訳
内訳 | 事業費(千円) |
備品購入費 | 224 |
技術打ち合わせ、研究会等の旅費 | 127 |
試験に係る資材、分析薬品費等 | 580 |
合計 | 931 |