1)国庫により水稲の育種を広域的に行う指定試験地制度が廃止となり、全国各地において水稲の品種育成が活発化し、優良品種が囲い込まれる傾向にある。こうした産地間競争に打ち勝ち、鳥取県独自の優良ブランド品種により他県産米との差別化を図り、農家収入の安定・向上を目指す。
2)夏の高温が激しい年でも米粒が白濁しない高温登熟性に優れた品種が早急に必要とされている。
3)「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」を9月上中旬に収穫した後、「きぬむすめ」を10月上旬に収穫するまでの端境期、いわゆる「中間熟期」の品種に対する要望も強い。
4)各県で知的財産の保護が進み、他県で開発された病気に強い等の優良な品種が本県に導入できない例もある。県内農家に不利益を生じさせないためにも県独自品種の開発が必要である。(例:新潟コシヒカリBL:コシヒカリにいもち病の抵抗性を持たせた品種)
5)有機栽培等の環境保全型農業に適した品種の育成も求められている。
6)試験場に求める試験課題に毎年新品種育成があげられ、現場の要望も強い。
1)鳥取県独自の優良ブランド米により県産米の有利販売と県内農家の収入が向上する。
2)優良ブランド品種を作り出すことにより、他県に対して鳥取県のイメージアップが図られ、農産物を始めとし、観光面等においても様々な経済効果が期待される(例:熊本県の森のくまさん、新潟県の新之助等)。
3)耐病性品種の育成により、農家の省力低コスト化、減農薬・有機栽培が可能となり、食のみやこ鳥取県にふさわしい安全・安心な農産物が生産される。