現在の位置: 予算編成過程の公開 の 平成30年度予算 の 農林水産部の鳥取和牛の効率的な増産と改良に向けた体外受精卵利用技術体系の構築
平成30年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:畜産業費 目:畜産試験場費
事業名:

鳥取和牛の効率的な増産と改良に向けた体外受精卵利用技術体系の構築

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農林水産部 畜産試験場 育種改良研究室  

電話番号:0858-55-1362  E-mail:chikusanshiken@pref.tottori.jp

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
30年度当初予算額 12,001千円 14,301千円 26,302千円 1.8人 0.0人 0.0人
30年度当初予算要求額 12,961千円 14,301千円 27,262千円 1.8人 0.0人 0.0人
29年度当初予算額 2,358千円 14,306千円 16,664千円 1.8人 0.0人 0.0人

事業費

要求額:12,961千円  (前年度予算額 2,358千円)  財源:国1/2 

一般事業査定:計上   計上額:12,001千円

事業内容

1 背景と目的

「鳥取県農業活力増進プラン」では高能力種雄牛を活かした「鳥取和牛」のブランド化を推進することが求められている。その方策の一つとして、受精卵移植を利用した和牛増頭に取り組んでいるところ。

    生産者段階では未だ普及していない“体外受精卵”に着目し、低コストで効率的な和牛増頭につながる技術体系を構築し、普及を図る。
    9月に開催された第11回全国和牛能力共進会にて、種雄牛「白鵬85の3」が第7区肉畜の部で主席を獲得した。鳥取県が和牛王国としての地位を確立するためには、優秀な種雄牛を今後継続して輩出していく必要がある。そのため、受精卵を活用してより効率的に種雄牛造成を行う。

2 試験内容

(1)と畜牛卵巣由来卵子の効率的利用技術の検討
    これまで未利用であった“と畜牛卵巣”からの子牛生産を目的として、安定して受精卵まで発育する体外受精系を確立させ、現場普及を目指す。
    ⇒体外発生培養系の改良を模索

(2)経膣採卵(生体からの卵子採取)による優良雌牛の効率利用
    経膣採卵で効率的に卵子を回収する方法(頻度・時期等)を検討するとともに、(通常は繁殖に用いられない)妊娠牛や若齢牛から経膣採卵を行うことによる、牛へのストレスやその後の受胎性への影響等を調査する。
    ⇒経膣採卵前後での血中ストレス指標(コルチゾル)の変化

(3)卵子のガラス化凍結保存技術の開発
    受精卵の凍結は一般的となっているが、その前段階である卵子の凍結保存技術は実用化されていないため、この技術を開発して優良雌牛の利用拡大と効率化を図る。
    ⇒ガラス化液組成・処理時間の検討

(4)体外受精卵の割球分離による一卵性双子の生産
    2つに分離した体外受精卵を2卵とも同じ牛に移植することで受卵牛の有効活用が期待される。2卵生産効率の向上と2卵移植の効果(双子生産率、子牛体重、難産率、発育程度 等)を調査する。
    ⇒2卵生産効率の向上(培養環境の検討)

(5)受精卵の遺伝子検査のための新しい採材方法の検討
    優良遺伝子を持つ牛を受精卵段階で選別するため、受精卵へのダメージが少なく、かつ遺伝子検査用の必要細胞が安定して採取できる採材方法を検討し、受胎性向上を図る。
    ⇒必要細胞数の計測、マイクロマニュピレーターの活用

(6)受精卵由来細胞の遺伝子検査方法の検討
    受精卵から採取できる細胞は限られるため、この細胞からDNAを抽出し、ゲノムDNAを増幅させ受精卵の一塩基多型(SNP)を読み取る技術を検討する。これにより受精卵の生前能力診断が可能となり、より能力の高い種雄牛を造成することが可能となる。
    受精卵の生前診断技術を確立するために、鳥取大学医学部染色体工学センターとの共同研究を行う。

3 これまでの成果

(1)と畜牛卵巣由来卵子の効率的利用技術の検討
ア 体外発生培養地へのL−カルニチンの添加効果
    ⇒発生培地への添加で胚盤胞発生率が有意に上昇
    (添加区40.6% vs 対照区30.3%)
    イ 体外発生培地へのリファンピシンとフォルスコリンの添加効果
      ⇒これらを発生培地へL−カルニチンと併用して添加することで胚盤胞発生率が有意に上昇
      (添加区47.9% vs 対照区42.9%)
      
    ウ 子牛登記可能受精卵の生産(和牛として登録でき、後継牛生産も可能)
      ⇒と畜牛23頭から165個の移植可能受精卵を生産。8頭で受胎を確認。
      (通常の凍結方法では受胎率に問題あり。高受胎率が望める凍結方法を検討する必要あり。)
(2)経膣採卵(生体からの卵子採取)による優良雌牛の効率利用
    妊娠牛からの経膣採卵
    ⇒延べ66頭から採卵し、1頭あたり平均10.5個の卵子を培養し、2.3個の移植可能受精卵を生産。
    (H29年度は延べ27頭実施、18.7卵を培養、平均3.9個を生産)

(3)体外受精卵の割球分離による一卵性双子の生産
    ⇒新鮮卵(非凍結)を4頭に移植し2頭で双子受胎(2頭とも流産)

(4)受精卵の遺伝子検査のための新しい採材方法の検討
    ⇒国内先端研究機関での技術研修を実施。技術を習熟する必要があるが、検査に供する細胞数を測定するための蛍光顕微鏡および効率的に受精卵を切断するためのマイクロマニュピレーターが必要

4 試験計画

(1)と畜牛卵巣由来卵子の効率的利用技術の検討:H26〜H30年度
(2)経膣採卵(生体からの卵子採取)による優良雌牛の効率利用:H26〜H29年度

(3)卵子のガラス化凍結保存技術の開発:H26〜H29年度

(4)体外受精卵の割球分離による一卵性双子の生産:H26〜H29年度

(5)受精卵の遺伝子検査のための新しい採材方法の検討:H27〜H30年度

(6)受精卵由来細胞の増殖技術の検討:H27〜H30年度

(7)技術体系の構築とマニュアル作成:H30年度

5 期待する効果

・低コストで効率的な高能力和牛の生産と和牛生産頭数の増加(⇒子牛市場の活性化)
・通常の体内受精卵技術が利用できなかった優良雌牛(卵巣疾患等)からの産子生産
・生産性の高い和牛生産による、県内消費者への高品質で割安な和牛肉の提供
・受精卵の生前能力診断を行うことにより和牛改良を加速化。百合白清2および白鵬85の3を超える種雄牛造成を行い、和牛産地として確固たる地位を築く。

    ※「地方創生推進交付金充当」

6 事業費

その他需用費:1,893千円 役務費:465千円
備品購入費:9,603千円
委託費:1,000千円
    計:12,961千円

7 備品要求理由

より効率的に種雄牛造成を行うために、受精卵の生前能力診断技術を確立すべく備品(倒立蛍光顕微鏡およびマイクロマニピュレーターセット)を要求する。(現行の器材では能力的に困難)

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

「経膣採卵による一卵性多子生産技術の開発(平成20〜25年度)」の研究の中で経膣採卵による体外受精卵生産および受精卵の割球分離についての技術を蓄積した。と畜牛から、あるいは経膣採卵による受精卵生産および移植を実施し、それぞれ受胎を得ている。
と畜牛卵巣由来卵子の培養技術向上ため、各種添加剤を検討。

これまでの取組に対する評価

発生培地へのL-カルニチン添加およびリファンピシン、フォルスコリンを添加することで胚盤胞発生率が有意に上昇することが確認できた。と畜牛由来あるいは経膣採卵による受精卵の生産実績も蓄積しつつある。今後は、受胎例数を増やして現場普及に向けた問題点の洗い出し、受精卵の生前診断を活用した高能力種雄牛の造成を図る。

工程表との関連

関連する政策内容

市場競争力を高める低コスト生産技術の開発。

関連する政策目標

・和牛受精卵から生産された和子牛の強化哺育手法の確立のため、離乳後の飼料給与方法の検討を行う。


財政課処理欄


 備品購入費について、金額を精査しました。委託料、備品購入費の財源に地方創生交付金を充当しました。

要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 2,358 1,179 0 0 0 0 372 0 807
要求額 12,961 1,179 0 0 0 0 2,602 0 9,180

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
計上額 12,001 6,000 0 0 0 0 2,602 0 3,399
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0