1 債務負担要求額
平成31年度
16,066千円 (706千円+15,360千円)
2 背景、目的
県内サービス産業は、高齢化、人口減少等を背景に人手不足となっており、生産性向上は急務。特に観光関連サービス業においては、インバウンドは増加の一途であり、その対応において生産性が著しく低下している。そこで、国の予算も活用しながら、県内サービス産業に対するAI・IOTインフラを整備し、「生産性革命の実現」と「消費拡大」を同時達成する社会実験の実施により、インバウンドを含む旅行者のストレスフリー観光を実現、県内周遊を促進する。
※生体認証システム導入の規模(導入台数・地域)としては最大となる全国初の取組み
3 AI・IOTインフラ整備の概要
国の補正事業で開発した生体認証システム(本人認証、決済等)を宿泊業等に整備し、インバウンド対応においては会話なしでチェックインできる手続きフリーな仕組みを構築する。
一方、生体認証等における宿泊データや消費データ等をビックデータ化して人工知能による予測データにより経営支援するプラットフォームとして整備し、経営改善・経営革新をサポートする。
【導入規模】 約300台
【参画業種】 旅館、ホテル、飲食、レンタカー事業者及び主要観光施設、空港、駅など
<生体認証システムの導入>
ゆび認証(指紋&静脈)システムで経産省の補助事業で開発・改良を続けている「タッチ&ペイ」を導入する。氏名、年齢、住所、パスポート情報、国際免許情報などを紐づけて、本人認証及び決済機能として、手続きフリー、キャッシュレスを実現する。国予算等を活用して、ゆび認証の端末導入、専門家による説明会を開催。
【導入費用】 18,000千円(300台×60千円)
【専門家派遣】 約1,100千円
<情報連携PF(プラットフォーム)の導入>
経産省の委託事業で開発した「おもてなしPF」や「観光予報PF」に上記の生体認証データを取り込み、宿泊情報、気象情報、消費データ、人流データ、売り上げなどをビックデータ化し、実績値だけではなく、人工知能により予測し、経営戦略構築への支援可能なインフラとして整備する。※システム開発、改良は経産省委託事業
また、利活用方法についてシステム開発者を招聘し、セミナーを開催し、経営改善・経営革新計画が策定できる人材育成を実施。
※(おもてなしPF)インバウンドのみを観測、実績データを提供
※(観光予報PF)国内観光も含め宿泊・気象・人流データを観測・予測
【セミナー】 商工団体や温泉組合等へ各2回開催する。
【事業費】 706千円(報償費、特別旅費)
4 鳥取県サービスイノベーション研究会
社会実験に向けて、生体認証システムのデータ属性と利活用方法を温泉組合など業界団体と勉強会を実施しながら全国各地の見本となる鳥取モデルを構築するため研究会を創設する。また、下部組織として、業種ごとにワーキンググループを設置する。
【メンバー】 各温泉・ホテル組合等の団体トップ
【 事務局 】 県・民間企業(当該システム運用管理事業者)
【開催時期】 キックオフを年明けで年に2回程度、WGは随時。
【 事業費 】 約170万円
※広域観光促進事業(観光庁)を活用
5 生体認証システム登録促進事業
生体認証システムへのユーザー登録の促進と社会実験の普及啓発のため、インバウンドへのインセンティブとして「ゆびクーポン」の配布と協力店舗前にサイン類を掲示するなど登録運動を行う業務の一部を委託する。
【ゆびクーポン】
200万円分のクーポンを購入(2,000人分)
※インバウンド登録者1人あたり1,000円
【委託事業】 交通結節点での登録促進運動
【総事業費】 16,383千円
(内訳;13,360千円(委託費)+2,000千円(クーポン))
6 スケジュール
<予定>
1月下旬 第1回鳥取県サービスイノベーション研究会
2月〜3月 生体認証システム導入及び説明会(各団体単位)
4月〜6月 情報PFセミナー(各地域)
7月〜 生体認証サービス開始(社会実験開始)
※社会実験は2020年3月で終了。
終了後は、民間主導による協議会等の設立を検討
7 各団体等の意見及び事業効果
<各団体の所見>
・豪雨による宿泊キャンセル被害や来年実施の消費増税対策としても有効な施策であり早急に実施してほしい
・生体認証システム導入により、パスポートの提示、保管義務が免除されることだけでも有益。
・消費データや人流データを可視化することで、各温泉地域で集客戦略づくりに非常に役に立つ
・全国初となる社会実験は、疲弊している温泉街に注目を集めるプロジェクトとして企画し、観光振興の起爆剤となるように全国へ情報発信すべき。
・温泉地での浴衣での手ぶら観光に有効。
・チェックインでの手続き省略効果だけでなく、館内サービスへの利便性向上と消費拡大に資する。
・生体認証システムは、広域観光連携や地域クーポンとしての機能など応用が広く期待大。また、人工知能による予測システムは、経営面で魅力的。
<事業効果>
・生体認証システムは、昨年、旅館業法施行規則の規制緩和 対象となり、パスポートの提示、保管義務が免除される。また、本人認証により、会話なしで、スムーズにチェックイン可能なため、生産性が飛躍的に向上する。
・「ゆびクーポン」発行により、登録ユーザーは、約4倍の消費単価上昇と見込まれ、消費拡大効果が期待される。
・情報連携PF利活用により、売上予測をもとに、経営改善、効率化し、労務シフト管理が容易となる。余剰労務をおもてなし向上など付加価値向上への取り組みに繋がる。また、消費データや人流データ予測により、組合単位での活性化戦略を的確に策定できる。