1 調整要求の理由
処分場の管理の効率化を図るためには、下記の理由により、より効率的な廃棄物の安定化技術の確立が不可欠である。
(1)微生物により分解できる有機物については、分解を促進することで廃棄物の安定化(環境に影響しなくなった状態)が早期に可能であるが、微生物により分解しにくい有機物は、より早期の安定化に影響を与えることがわかってきた。
(2)また、カルシウム塩は、飛灰(焼却場の排ガスに含まれるばいじん)に多く含まれ、管理のための経済的負担を大きくしている。
(3)処分場のより安全で効率的な管理を図っていくためには、より効果的な廃棄物の安定化技術の確立が不可欠である。
2 事業の内容
廃棄物の飛灰を対象として以下の研究を行う。
(1) 処分場における浸出水への難分解性有機物やカルシウム等の影響調査
(2) 浸出水への影響削減のための飛灰の処理技術の開発
(3) 廃棄物の安定化促進を図るための技術開発
3 事業の必要性
処分場では、埋立開始されて埋立が終了(閉鎖)した後も、埋め立てた廃棄物が安定化するまで浸出水処理等の維持管理が必要であり、事業者にとっての経済的な負担となっている。埋立処分場の、より早期の安定化の実現は、事業者や地域住民の負担を減らし、処分場管理に対する信頼を確保する上で重要である。
そのためには、次の点により処分場管理をより効率化していくことが必要と考えられる。
(1)処分場浸出水中のカルシウム等を減らし、カルシウムスケール除去に係る負担を削減すること。
(2)難分解性の有機物の浸出水中の量を減らし、水処理の経費を削減すること。
(3)廃棄物をより早期に安定化させる技術を開発して、処分場廃止までの期間を短縮し、水処理等に係る経費を削減すること。
4 事業の効果
(1)飛灰の処理技術、処分技術の開発により、処分場管理の効率化を図ることで、事業者の負担軽減のみならず、県内の環境保全に資することができる。
(2)より早期の処分場の廃止(埋め立てた廃棄物が安定化し処分場を他用途に利用できるようになること)により、地域の負担を軽減し、より早期に跡地利用を図ることができる。
5 調整要求額の内訳
内訳 |
要求額(千円) |
試験に要する医薬材料・消耗品費 |
1,387 |
6 事業期間及び経費
年度 |
内容 |
事業費(千円) |
H30 |
実態調査、不溶化処理技術の検討 |
1,387 |
H31 |
安定化技術の開発
不溶化処理技術の開発 |
1,500 |
H32 |
安定化技術の評価 |
1,500 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
(1)管理型最終処分場では、閉鎖(埋立終了)後も廃止までの間は浸出水処理等の維持管理が必要である。
(2)特に飛灰はカルシウム等による処分場浸出水への負荷が大きいことが予測される。
(3)速やかな処分場の安定化と廃止を進めることは、事業者や地域住民の負担を減らし、処分場管理への信頼を確保していく上で極めて重要と考えられる。
これまでの取組に対する評価
処分場の浸出水への負荷低減や将来的な廃止に向けたより効率的な維持管理方法を確立することが重要となっている。