1 背景
SMSやハガキを不特定多数に送りつける手口の振り込め詐欺が急増しており、被害者数及び被害額が9月末で昨年度を上回っている。また、手口も巧妙化しており、コンビニでプリペイドカードを買わせ支払わせるなど、新たな手口も現れ、県民の安全・安心な生活を脅かす深刻な問題となっている。
これまで、特殊詐欺被害を防止するため、高齢者を中心に注意喚起を行ってきたが、最近では被害者層が高齢者以外にも及んでおり、喫緊の対策が必要である。
【参考:被害認知件数】
H29年(9月末現在):被害件数56件(前年同期18件)
被害額約9,062万円(前年同期5,504万円)
H28年(年間):被害件数25件、被害額約6,944万円
2 目的
特殊詐欺被害者層が高齢者以外にも及んでいるため、特殊詐欺撲滅リーダーが中心となり、幅広い世代に対し、防止策について効果的な周知を図るとともに、地域での見守り力を更に推進する。
3 事業内容
(1)特殊詐欺防止対策事業(拡充)
ア 特殊詐欺撲滅リーダー配置による普及啓発
〔4,033千円(国1/2)
特殊詐欺被害を防止する「特殊詐欺撲滅リーダー」を配置す
る。(非常勤職員 1名)
イ 特殊詐欺撲滅キャラバン〔2,370千円(国1/2)〕
幅広い世代が集まる商業施設で特殊詐欺被害防止を呼びかけ るイベントを開催する。
<内容>
参加者を交えた寸劇などをとおした特殊詐欺の手口の説明
や、被害防止の普及啓発を行う。 (県内3箇所で実施)
(2)被害防止の取組(継続)
ア 中・高生に対する加害者にならないための注意喚起
教育委員会、警察と連携し、中高生に対し、知らない間に犯 罪に手を貸すことがないよう、特殊詐欺の手口について注意喚 起する。
イ 留守番電話作戦
特殊詐欺や、悪質商法などの予防策として、高齢者等が一 人でいる時間帯などには、自宅の電話を留守番電話に切り
替えておく「留守番電話作戦」を普及啓発する。
(3)広報及び警察との連携
ア 消費生活に関する啓発記事の連載(再掲)
2,074千円(2,592千円)
新聞記事連載(H21〜):消費生活相談をQ&A形式で新聞紙 面に掲載する(1ヶ月1テーマ:年12回)。
※H29年度で国交付金の活用期間が終了することから単県へ 財源振替
イ 県警本部による水際対策(再掲)
特殊詐欺被害防止アドバイザー(警察OB)を配置し、銀行、 コンビニ等への注意喚起を行い、水際での被害防止を推進
する。
4 経費の内訳
区分 | 金額(千円) | 備考 |
人件費 | 3.410 | 特殊詐欺撲滅リーダー |
費用弁償 | 571 | 同上 |
使用料
及び賃借料 | 152 | パソコン借り上げ
会場使用料等 |
報償費 | 100 | 出演者謝礼 |
特別旅費 | 20 | 出演者旅費 |
需用費 | 1,250 | 啓発グッズ、印刷費等 |
委託料 | 900 | キャラバン会場設営 |
計 | 6,403 |  |
財源内訳:県1/2、国1/2
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【H28年度】
地域で見守る特殊詐欺被害ゼロ作戦
○特殊詐欺被害を防ぐ地域モデル検証事業
地域ぐるみで特殊詐欺被害防止策に取り組むモデル地区を設定 し、地域一丸となって被害防止に取り組んだ。各地域の取組成果は 「とっとり消費者大学第8回公開講座」で報告し、成果の普及啓発に 努めた。
米子市車尾地区の取組−市街地モデル−
伯耆町番原区の取組】−中山間地域モデル−
○とっとり消費者大学第8回公開講座での報告会
モデル地区の取組について報告を実施すると共に特殊詐欺被害 防止落語により県民に広く特殊詐欺被害防止を呼びかけた。
○特殊詐欺被 害防止テキストを活用した高齢者の見守り
高齢者等がタクシーで銀行等に移動する際の車内で、ドライバーが 乗客に「詐欺」の可能性を助言するための特殊詐欺被害防止テキス トを作成し、鳥取県ハイヤー・タクシー協会に協力を依頼した。
【H29年度】
絆で防止特殊詐欺被害ゼロ作戦
○見守りカフェ事業
各地で開催されている地域サロン等を特殊詐欺被害防止の拠点と 位置づけ、高齢者等の特殊詐欺に関する知識の向上と、地域全体で 特殊詐欺を撲滅するための見守り力を強化するための講習会(見 守りカフェ)を開催した。
12月1日までの開催予定件数39件 出席予定者数954人
○見守り模擬訓練
地域住民が主体となって金融機関又はコンビニ等で特殊詐欺被害 防止の模擬訓練を企画・実施し、地域全体で高齢者等の見守り力を 強化することにより特殊詐欺被害ゼロを目指す。
➢銀行、郵便局、警察等と連携し、模擬訓練による体験を行う(公 民館等でも実施)
➢県消費生活センターが訓練の企画、実施について随時アドバイス を行い、研修の支援を行う
○中高生に対し、知らない間に犯罪に手を貸すことがないよう犯罪の 手口等について教育委員会及び警察本部と連携し注意喚起する
➢警察が行っている非行防止教室と連携し実施。
鳥取県立米子南高等学校全生徒 445名
鳥取県立日野高等学校全生徒 149名
これまでの取組に対する評価
【H28年度】
○市街地モデルではイベントでの啓発物の配布や、のぼりの設置、定期的なチラシの配布などにより、「特殊詐欺被害は他人事ではない。」という意識付けを継続して行い、住民に当事者意識が高まった。また、地域での取組の推進役である、自治会長や民生委員等が自ら企画した「特殊詐欺防止模擬訓練」により、地域見守力の向上につながった。
○中山間地域モデルでは、川柳大会、寸劇など全世帯参加により、地域住民の意識の高揚を図った。また、通話録音装置を集落全体の約8割が導入するとともに、大型看板を設置することで、犯罪の抑止力につなげている。
【H29年度】
○特殊詐欺撲滅リーダーが各地で開催される地域サロンに直接出向き、参加者に寸劇を演じてもらいながら特殊詐欺の手口を知ってもらう「見守りカフェ」の取組は非常に評判が良く、多くの高齢者に普及啓発ができた。
しかし、県内ではH29年の春以降新たな手口による振り込め詐欺被害が急増しており、被害に遭った年齢層も幅広くなっていることから、被害防止の取組をさらに推進する必要がある。