1 事業概要
学校現場における働き方改革推進の一環として、教員の負担軽減のため、国補助事業を活用し、学習プリント印刷や授業準備など教員の事務作業をサポートするスタッフを非常勤職員(教員業務アシスタント)として県立学校、公立小中学校の一部に配置するもの。
2 現状・背景
○近年、生徒指導、いじめ・不登校への対応、特別な支援を必要とする児童・生徒への対応、部活動等業務は複雑化、多様化するとともに、増加する一方であり、その多くを教員が担っている。
○また、アクティブラーニング、授業時数の増加を伴う小学校における英語の教科化等といった新たな学習指導要領などに対応するための時間、何より、教材研究等、児童・生徒への指導の充実のための時間が、通常勤務時間内には確保しにくい現状。
○こういった現状の中、文部科学省が平成28年度に実施した勤務実態調査において、教職員の勤務実態が看過できない状況であることが判明。同時期に実施した本県調査(28年9月分)では、月100時間超の時間外勤務者が小中学校あわせて143人もいるなど、改善すべき喫緊の課題であると改めて認識。
○上記調査結果を受けて、中央教育審議会(働き方改革特別部会)において、「学校における働き方改革に係る緊急提言」がとりまとめられ、本件スクール・サポート・スタッフの配置について提言。
○なお、県教育委員会としては、過労死ラインとされている月80時間超の時間外勤務者の解消を市町村教育委員会との共通目標としているところであるが、学校単位の平均で見ても、上記勤務実態調査において、1人当たり月平均時間外業務時間数が45時間以上の学校が小学校で6割、中学校で9割、高校で3割を超えており、全県的に対策が必要。
3 非常勤職員を配置する必要性
○校務分掌業務における事務作業は、全教員が分担して行っているが、特に小学校では授業の空き時間もないことから放課後を利用して対応しており、サポート体制の構築が必要。
○中学校、高校においては、時間外業務の主要因は部活動と校務分掌業務であり、部活動指導員の配置促進や部活動休養日設定の取組と併せて、事務業務の合理化についても推進する必要がある。
○学校全体の負担軽減のためには、働き方改革部会での提言にもあるとおり、教員でなくてもできる業務を見直すという観点から、プリントの印刷業務などの教員の補助的な事務作業は、非常勤職員を事務室ではなく職員室に配置した上で、業務を集約することが合理的かつ効率的。
4 小中学校配置(国1/3、交付税措置)
(1) 国事業名・・・補修等のための指導員等派遣事業(スクール・サポート・スタッフ配置事業)
(2) 国予算案
ア 業 務 例:学習プリント等の印刷・配布、授業準備の補助等
イ 勤務形態 1日6時間×週5日(週30時間)
ウ 単 価 等 1,000円×6時間×5日×42週
エ 積算基準 小学校25学級以上、中学校20学級以上の学校に対して、12学級あたり1名配置
オ 配置方針 4年間かけて上記に該当する学校数分を措置(H30年度は 全国3,000人)
(3)平成30年度要求単価等・・・940円×週20時間×42週
(4)平成30年度配置人数・・・10名(小学校7名、中学校3名)
(5)平成30年度要求額・・・8,799千円(0千円)
5 県立学校配置(国1/3、交付税措置)
(1) 国事業名・・・補修等のための指導員等派遣事業(学力向上を目的とした学校教育活動支援事業)
(2)平成30年度要求単価等・・・小中学校に同じ
(3)平成30年度配置人数・・・3名
(4)平成30年度要求額・・・2,640千円(0千円)
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
平成22年の実態調査結果を踏まえ以下の取組を実施
・「帰らーDAY」「リフレッ週」(一斉退庁日・一斉退庁週)の設定
・管理職による勤務状況把握の徹底
・各学校内の衛生委員会での対策検討
「教職員いきいき!プロジェクトチーム」での対策検討と実施
・「ノー会議デー」の設定
・勤務時間管理サポートシステム等の全県立学校への導入
・学校改善モデル校における業務改善取組の実施
・教職員の業務の一部取り出し(障がい者雇用の活用)
・電子掲示板の導入、個別事務の見直し 等
平成26年度の学校改善モデル校での取組を踏まえ以下の取組を実施
・「学校カイゼン活動の手引き」の発行
・県立学校で学校カイゼン推進校を指定し、モデル校の取組を参考に学校カイゼン活動を実施。県教委が校内研修講師を派遣し、活動支援
近年は、県議会等からの指摘も受け、市町村立学校への支援を強化
・市町村立学校等への研修講師の派遣
・平成28年2月に、市町村教育委員会等と協同し、多忙解消・負担感軽減に向けた「市町村立学校に係る業務改善アクションプラン」を策定し、課題の共通認識を図り、業務改善の取組を推進。
・平成28年度以降、毎年県教委から各市町村教委へ時間外業務時間数に関する調査を行うこととし、平成29年度からは、時間外業務が月80時間を超える職員数や対応状況を調査項目に加えたところ。
・平成29年度には、国モデル事業「学校現場における業務改善加速事業」を活用し、鳥取市内の小中学校をモデル校として業務改善の取組を推進するとともに、業務の効率化及び負担軽減を図るため、県も財政支援し、市町村立学校の統合型業務支援システムを全市町村共同調達し、平成30年度からの運用開始を予定。
これまでの取組に対する評価
実態調査結果とプロジェクトチームにおける検討結果を踏まえ、教職員の多忙解消と負担感軽減のための対策を順次実施してきたところであるが、なかなか目に見える効果を確認するまでには至っていなかった。
平成26年度以降、管理職に対するセミナー開催や業務改善研修を実施するなどして、徐々に職場改善意識は醸成されつつあると認識しているところであるが、意識醸成は意識が定着するまで継続的に行う必要がある。
また、学校改善モデル校での取組を通じて学校現場でのカイゼンのありようが示され、取組効果も確認できたことから、これを活用し、学校カイゼン推進校を中心に全県的に各学校が学校カイゼン活動に取り組めるよう各階層に向けた意識醸成と支援を行っていく必要がある。
特に取組が遅れている市町村立学校においても、平成28年9月の勤務実態調査により、月80時間を超えて時間外業務を行う教職員が多数いることが判明しており、取組強化が求められている。
<県立学校教職員取組後アンケート結果>
・平成26年度(モデル校)
取組前と比べて時間外業務が減少した:34%
取組前と比べて1日の充実感を感じる: 31%
・平成27年度(県立学校カイゼン推進校12校)
取組前と比べて時間外業務が減少した:23%
取組前と比べて1日の充実感を感じる:12%
・平成28年度(県立学校カイゼン推進校12校)
取組前と比べて時間外業務が減少した:26%
取組前と比べて1日の充実感を感じる:11%