1.概要
CLT(直交集成板)が建築中途で雨水に濡れた場合に懸念される「反り」の発生について、製造者と共同で調査し、適切な施工と管理方法の提案を行う。
2.事業の背景と目的
【背景】
・本年4月に、製造者からCLTの変形(反り)に関する共同調査の相談があった。
・CLTは、建物の床や壁、屋根などに用いるが、建築業者は、CLT部材が建築中途に雨で濡れたり、完成後に室内が空調コントロールされることで「反り」が発生する可能性もあり、完成後の居住性に悪影響を及ぼすことを懸念している。以上のことから、これらに関するデータを収集し、早急に対策を検証する必要が生じている。
・鳥取県林業試験場ではこれまで、全国規模のプロジェクト研究でCLTの反りに関する研究を行ってきた実績があり、また、本年3月に「木材環境研究棟」が完成し、最新鋭の研究態勢が整ったことから、先方から4月下旬に調査協力について打診があった。
【緊急性】
・CLT業界が抱える喫緊の課題であり、CLT研究のトップランナーである鳥取県として、6月補正要求で早急に課題解決に向かいたい。
【目的】
実大のCLTが雨水で濡れたり、その後の室内での乾燥による「反り」の発生の実態を明らかにし、適切な施工と管理に役立てる。
3.事業の効果
・雨がかり後の「反り」の実証試験を実大のCLTで経過観察を行うことは、全国初の取り組みであり、CLTの製造、建築業界の発展に大きく寄与することが期待される。
・共同で調査を行うことで、得られたデータに基づき、CLTの生産活動に係る県内企業にとっても貴重なノウハウが得られる。
・製造者との共同調査により、技術者や有識者との技術交流を積極的に進めることで、研究員の資質向上に繋げると共に、鳥取県の木材高度利用の研究拠点としての役割が一層高まると思料。
4.事業の内容
・CLTの表面に散水した後、木材環境研究棟内(天然乾燥室、恒温恒湿室)に設置し、機器を使ってCLT実大材の反り量を一定期間継続的に測定する。
・有識者を交えた研究会を設け、計測手法や建築への影響や今後の対策など、様々な角度から検討を重ねることにより、実のある成果に繋げたい。
5.事業期間及び費用
・事業期間:平成30年度(1か年)
・経費の負担:
共同調査の相手方企業は、CLT製品・治具等の資材経費や運搬経費を負担。鳥取県は有識者の招聘に関する経費と散水に要する消耗品を負担する。
区分 | 事業内容 | 事業費(千円) |
平成30年度 | 散水後の反りの発生調査 | 500 |